基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ミステリ

史上最悪の悪党になった男──『エンジェルメイカー』

エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: ニックハーカウェイ,Nick Harkaway,黒原敏行出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/06/04メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る文字を読んでいてここまでの興奮が押し寄せることがある…

魔術×ミステリ──『魔術師を探せ! 』 by ランドル・ギャレット

魔術師を探せ! 〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ランドルギャレット,旭ハジメ,公手成幸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る本書『魔術師を探せ!』はランドル・ギャレットによる魔術が当…

ヒーローが持つ複雑さを複雑なまま描く──『超人幻想 神化三六年』

超人幻想 神化三六年 (ハヤカワ文庫 JA ア 6-2)作者: 會川昇,團夢見,原作=BONES・會川昇出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/17メディア: 文庫この商品を含むブログを見る10月から「コンクリート・レボルディオ〜超人幻想〜」というアニメが始まるが、…

犯人絶対殺すマン──『野獣死すべし』 by ニコラス・ブレイク

野獣死すべし (ハヤカワ・ミステリ文庫 17-1)作者: ニコラス・ブレイク,永井淳出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1976/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (11件) を見る『わたしは一人の男を殺そうとしている。その男の名前も、…

群衆の、個人の、暴走する妄想──『九尾の猫』 by エラリイ・クイーン

九尾の猫〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: エラリイ・クイーン,越前敏弥出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る初エラリイ。後ろの著者近影を見て「なんで二人いるんだ」と疑問に思うぐらい…

ルパン対ホームズ by モーリス・ルブラン

ルパン対ホームズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: モーリス・ルブラン,平岡敦出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見るルパンシリーズのモーリス・ルブランがはじめて本格的にルパンとシャーロック・ホームズを…

思い込みとの戦い──『密造人の娘』 by マーガレット・マロン

密造人の娘〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: マーガレット・マロン,E9L,高瀬素子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見る書名の通り、密造人の娘であるデボラ・ノットを主人公にしたミステリ・シリーズ…

「火星の人」以後まで完全カバー『海外SFハンドブック』と『海外ミステリハンドブック』

海外SFハンドブック (ハヤカワ文庫SF)作者: 早川書房編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る火星の人、ミエヴィルなど最近名を馳せてきた海外SF作家を新たに網羅し長谷敏司、藤井太洋両氏の…

記憶を持たない英雄vs殺人鬼──『記憶破断者』 by 小林泰三

記憶破断者作者: 小林泰三出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/08/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見るホラーにSF、ミステリーにウルトラマン(?)とジャンルを特定せずに書いてみせる小林泰三最新長編『記憶破断者』は、記憶が数十分しか持たない…

伝える、ただそれだけの難しさ──『王とサーカス』 by 米澤穂信

王とサーカス作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/07/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る「事実」というと、それは目の前にあることなんだから確認するのは簡単だろうとおもいきや実際にはなかなか難しいこともある。…

来訪者 by ロアルド・ダール

来訪者〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ロアルド・ダール,山?若菜,田口俊樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見るロアルド・ダール作品はひとつも読んだことがない。一番有名なのはティム・バート…

近未来☓ド田舎ミステリ『美森まんじゃしろのサオリさん』 by 小川一水

美森まんじゃしろのサオリさん作者: 小川一水出版社/メーカー: 光文社発売日: 2015/06/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るどことも知れない片田舎で起こる様々な田舎特有の土着信仰に関わる事件・問題の解決に二人の若い男女が挑…

ママは何でも知っている (ハヤカワ・ミステリ文庫) by ジェイムズ・ヤッフェ

短編連作の安楽椅子探偵物の中でも傑作と名高い作品。安楽椅子探偵物とはいったいどのようなものをさすのかといえば、安楽椅子に座ったまま事件のあらましを聞いて幾つか質問をしただけで理屈をこねくりあげたちまち事件の真相に至ってしまう、つまるところ…

アデスタを吹く冷たい風 by トマス・フラナガン

不思議な読み味を残す短篇集。ざらざらとしてはいるものの心地よい味が長く残る感じ。冬が終わりかけのロシアのような。解説によれば本書は1998年及び2993年のハヤカワ・ミステリの復刊希望アンケートで二度にわたって票をいちばん集めたらしい。それほどま…

ミステリ編集道 by 新保博久

タイトル買い。『戦後のミステリ出版史のアウトラインが辿れるものに、結果的になったように自負する。』と語る内容そのままに、殆どは既に定年などで退職した名編集者らへのインタビューを丁寧にまとめた一冊になっている。人選もさることながら、注釈が充…

特別料理〔新版〕by スタンリイ・エリン

ハヤカワ・ミステリ文庫から出ているし、表題作はミステリマガジンのオールタイム・ベスト短編部門の第二位をとっているぐらいなのでミステリ短編集と呼称したほうがいいのだろう。が、殆どの作品は別段謎を解くわけでもなくむし殺人などの事象はジレンマが…

忘却のレーテ (新潮文庫nex) by 法条遙

断言する、読み終えた後に貴方は最初から読み直す! とかもう一度観たくなる! とかいう煽り文句がたまにある。本書の場合はちょっと違って、読み終えた後に「後ろから読み通したくなる」という意味で特異な作品だ。本書『忘却のレーテ』は、昨年単行本で出…

ビッグデータ・コネクト (文春文庫) by 藤井太洋

ビッグデータ・コネクト (文春文庫)作者: 藤井太洋出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/04/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る「底の深い人」という表現は褒め言葉として捉えられることが多い。底が深ければ深いほどいろいろなものが入っ…

シャーロック・ホームズの冒険 by アーサー・コナンドイル

シャーロック・ホームズの冒険 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ト 1-12)作者: アーサー・コナン・ドイル,大久保康雄出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/04メディア: 新書この商品を含むブログを見るシャーロック・ホームズの冒険 下 (ハヤカワ・ミステリ文…

トネイロ会の非殺人事件 (光文社文庫) by 小川一水

いつもはド直球の長編SFばかり書いている小川一水さんだけども、短編も傑作揃いで芸が細かい。ただそんな中でも本作はミステリっぽい話を3編集めた短篇集になる。SF系短編はイメージの飛躍とロジックの詰め方が絶妙なイメージがあるけれど、ミステリ系の短編…

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) by ベン H ウィンタース

書名からして出オチ感半端ないけれども、人類が滅亡しかかっていて小さい村に一人だけいる刑事──とかそういう意味ではなく、半年後に小惑星が地球に衝突して人類はあぼーんするよという世界で懸命に刑事稼業に励む刑事さんを追っていくお話だ。こういう大味…

サイタ×サイタ (講談社ノベルス) by 森博嗣

Xシリーズ最新刊。レトロでシンプル。今回はあらすじだけを読むと、なかなか飛ばしているというか派手な感じ。なにしろ連続で発火現象を起こす危うい奴が街にいるのだからなんだかもうそれだけで危ない。爆弾ではなくたんに発火現象を起こしているだけだか…

未来探偵アドのネジれた事件簿: タイムパラドクスイリ (新潮文庫) by 森川智喜

タイムパラドクス × 推理 = タイムパラドクス入り TIME PARADOX times DETECTIVE equals the entrance into TIME PARADOX 時空を飛び越え事件を解決するミステリはこれまでいくつも出てきたがここまで軽快に、簡単に時空転移、タイム・トラベルとその矛盾を…

未必のマクベス by 早瀬耕

徹夜小説という、面白すぎて徹夜してしまうような小説に対する呼び方がいつから出来たのかあいにくわからないが、僕は好きな本ほど徹夜したくないと思う。徹夜したくなるほど面白い小説であればこそ、集中力が落ちた状態で一読めを乗り切ってしまうことにも…

ぼくらの映画のつくりかた by 機本伸司

機本伸司さんはもともと『神様のパズル』や『メシアの処方箋』などのように、どちらかといえばハード系に分類されるようなSFを書いてきた作家の一人で、ライトノベル的なキャラの立て方と作風のハードさがあいまったところが好きだったのだけどそういえば名…

ローマで消えた女たち (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) by ドナートカッリージ

イタリアの作家ドナート・カッリージによる第二作。ミステリ? というよりかはサイコサスペンス。二段組で500ページ超えとかなり分厚いが内容は面白い。特徴的なのは綿密な、「細部」を重視した描写と道具のとっぴさだろうか。もともと映画やテレビドラマ…

ムカシ×ムカシ (講談社ノベルス) by 森博嗣

古くから続く血統、お金持ちのお屋敷、探偵事務所、連続殺人……古典的な道具立てを現代的な感性で解体していくXシリーズ最新刊がついに出た。6年半ぶり。中学生だった子が大学生になり、大学生だった子はとっくに卒業して院生かサラリーマンかニートか自営業…

アリス殺し (創元クライム・クラブ) by 小林泰三

「アリス」とタイトルに入り、表紙の絵もそのまんま「不思議の国のアリス」のアリスそのものなのだ。ちょっとその直球さはどうなの、どうせたいしてアリスはそれほど関係してないんでしょう、と惹かれないタイトルに惹かれない装丁だったので、おもしろくて…

〈小市民〉シリーズ by 米澤穂信

〈小市民〉シリーズとは、米澤穂信さんによって書かれた春期限定いちごタルト事件、夏期限定トロピカルパフェ事件、秋期限定栗きんとん事件 (上)(下)を対象とした名称。いつのまにかKindle化していたので読んだ。最近こうやって、いつか読もうと思いなが…

圧倒的暴力!──『犬の力』

わが魂を剣から解き放ちたまえ わが愛を犬の力から解き放ちたまえ。 傑作!! あまりにも凄いものを読むと、わたしは「喜び」と同時に「怒り」を覚える。なぜなら、それを読まなかったら、同じジャンルの作品をいくらでも楽しめたはずなのに、傑作はその可能…