基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン

劇場版ガンダムZの副題に星を継ぐものとついていますがそれとは関係ありません。

あらすじ
月面にて一人の男の死体が発見された。しかしその死体はすでに5万年前に死亡していた事が判明する。何故、5万年前に月に人間の死体があるのか?異星人なのか?はたまた地球人か?謎は謎を呼ぶ。

感想 ネタバレ無

凄い凄い・・・!面白いよこれ・・。 とてもミステリー的な要素を感じる。未知との遭遇、ファーストコンタクトをしょっぱなに持ってきて、その後にはひたすら、何故?なぜ?の疑問解消にあてられる。次第に増えていく情報と、深まる謎はミステリーの王道である。

ちなみに、最後に驚異的なギミック?トリック?が明かされるわけだが、それを推理出来たのがうれしい。というか、ネタバラシされた時に自分の推論とぴたりと当てはまっていた時に、思わずやったああああと声に出してしまった。恥ずかしい。

ストーリーというほどのものはなくて、ひたすら謎を究明していくだけである。最もそれで面白さが損なわれるというわけではなかった。登場人物は自分の考えというか、科学的根拠を論理的に喋る時に本当に楽しそうなのだ。もちろん読んでいるこっちも楽しい。理解なんて全く出来ないけれど、楽しい。

基本的に、未知との遭遇のような物を書くと、書くときの情報量が、リアリティのあるものを書こうとすると莫大なものになる。政府はどう動くのか、とか言語学とか生物学とか、生半可なレベルじゃ書けないと思う。

だからほとんどの作品は、ファーストコンタクトをしたら、そこで終わるか、またはちょっとだけ進んで深いところには触れずに行くか、という事になると思うんだが、これに限っては最初に持ってきてあとの部分を全部書ききっている。

実際、言語学だとか、自然科学だとか生物学だとか、かなりたくさんの面からかなり論理的に書かれていると思う。自分には言語学について登場人物が語っている内容が現実的かどうかは知識がないからわからないが、それとは別として、リアリティを出すのには十分な知識量だと感じる。他人に信じ込ませようと思ったら、たとえ全部ウソだとしても、かなりの知識が必要になってくるのだ。 

まぁ、矛盾点というならば、それを最初から見つけようと思って読めばかなり見つけられるというか、普通に読んでいても、んっ?と思わないでもなかったが、それは作品の内容を無理やり現実にわかっていないところに押し込めた形だからしょうがないといえばしょうがない。あらさがしをしようという目で見なければかなりの傑作である。


ネタバレ有


あまりにも推理が当たっていたのがうれしかったので書く。

作品中の登場人物がぶちあたった疑問点としては、まず第一に何故、ミネルヴァと月は遠く離れているのに、月でしんだ男は日記の中で出発後1日で着いたと書いているのか、また月からミネルヴァに攻撃をした後、それを確認するまで本来なら30分近くかかるところを何故、4分で攻撃判定を下せたのか。

うーむ・・・こう書いてみると誰でもわかる気がする・・・。大体推理小説でほとんど犯人を当てられない自分があてられたんだから、誰だってあてられるのかな・・・悲しくなってきた。

シンプルに、月がその時にはミネルヴァの近くにあったんじゃんという結論にいきつくのは当然の帰結か。 でもいいや、当たってたと知った時は本当にうれしかったからね。

ちなみに一番最後のエピローグ。

発掘隊が発見した頭がい骨の断片、眉のあたりが隆起しているといっているけれど、これは誰なんだ?コリエルかな、と思ったけどコリエルに眉のあたりが隆起しているなんていう描写があったという記憶はないんだがなぁ。
それから最後、腕輪に書かれた文字。

帯に彫られていた文字は、翻訳すれば<コリエル>と読めたはずである。


一瞬、よく意味がわからなくて、自分のあまりの読解力の乏しさにしばし愕然としたんだが、これは一番最初に出てきた巨人といわれるコリエルが、ちゃんと地球に行くことが出来て、ネアンデルタール人ホモ・サピエンスミッシングリンクになる事が出来たというダンチェッカーの理論の裏付けになってるのかな?

核心を持てないところが本当に悲しいが・・・。 まあしかしそうとしか考えられないからそれでいいんだろうな。いやそもそも、コリエルは巨人って言われてたんだから、普通の人間と同じ頭がい骨っていうのはおかしいのか?

それとも巨人ってのはただのあだ名みたいなものなのかなあ。

じゃあ最後の骨は誰のなんだろうか、あああ全然読めてないやん・・・。いつかもう一回読み直さないと。

と思った後に調べたら、どうも続編があるらしく、そこで詳しい事も語られるんだな、暇を見つけて読むとしよう。

最後にダンチェッカーさんの格好いい言葉で締める。

「われわれの伝統には、敗北の概念はない。今日は恒星を、明日は銀河系外星雲を。宇宙のいかなる力も、われわれを止めることはできないのだ」