基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

原潜サターンの作戦/ピーター・シェパード

オーストラリアの日本食料理店にて見つけたこの一冊。作者をWikipediaでさがしても出ないというかなりマイナーなような気がする・・。

あらすじ
ソ連空母、ハリコフに新兵器ウルトラ・ソナーが装備された。 その性能をさぐるため、イギリスの潜水艦サターンは極秘裏にソ連の領海に侵入する。 だが、その作戦はすでにバレていて、絶対にバレてはいけないサターンは待ち伏せされてしまうが・・・


感想 ネタバレ無

というか、潜水艦ネタのものを読むのはローレライに続いてまだ生涯2作目と言っても過言ではないなぁ。しかし見所は現実感を感じさせる作戦内容(実際こういう作戦は行われていた、立場は逆だったが)や、イギリス海軍の潜水艦乗り発案というリアリティあふれる描写といったところか。

正直言って、そういう本場の人がついていてくれることによって、安心して読める。それから、たまにいいなぁと思う比喩表現などがあって、そういうところも面白いわけである。

正直言って潜水艦のことなんか全くわからないので、適当な事書かれてもスルーしてしまうが、細かいところまでよく設定が練られているように感じた。

しかしこの人、この一冊しか本を出してないんだなあ。作者が政治学と経済学をおさめているのと関係があるのかどうかはわからないが、政治色も当然のごとく濃い。 もっとも、こういった話だと政治が絡むのは避けられない事だけれども、うまく書いたなぁという印象である。

潜水艦に興味がなかったり、単純にこういう話に興味がなかったとしても、こういう歴史もありえたかもしれない、または起こり得る話かもしれないとして読む方が楽しいかもしれない。

ラストはちょっと泣けた。

ネタバレ有


ちょっと笑ってしまったのがこのセリフ

われわれは諦めない。真のロシア人は決して諦めないのだ!


ジョジョのこのセリフを思い出した

う…うろたえるんじゃあないッ! ドイツ軍人はうろたえないッ!

あれ?よくみると別に似てない

しかし真のロシア人は決して諦めないって結構うざい奴等だ・・・。諦めればいいのに・・・。しかも結局はこいつのアホな命令無視のせいで200人以上死者が出てるし・・・。そこは諦めろと。

本編で凄腕の潜水艦艦長として書かれているヘンダーソンのセリフ

指揮官はいつまで自分を証明しつづけなければならないのか?


しらんがなー。しかし、自分を証明しつづけたヘンダーソンは正直最後の一瞬まで格好良かった。 これ以上は望めないっていうぐらいに。


ローレライを読んでた時も思ってたけど、潜水艦同士の戦いっていうのは思いのほか緊迫感がある。戦闘機同士の飛行機っていうのも手に汗握るものがあるが、どちらかというと潜水艦の戦闘の方が好きだ。

何故かっていうのを考えてみたけれど、やはり戦闘機だと最終的に考えて決定するのがパイロット一人だけだからじゃないかなーと思う。潜水艦だと、乗組員が100人単位で居て、その一人一人にやることがあるからその分緊張感が増す。
たとえば

「深度二〇〇フィート・・・一五〇フィート・・・・」テートは自分の艦長と同じように確信に満ちていた。「一〇〇フィート・・・・・」

「攻撃用潜望鏡上げ!」
彼らはサターンが水平になるのを感じた。「深度六四フィート」
ヘンダーソンは手荒く潜望鏡につかみかかった。「第一ヘリコプター、計測」
ハワーズがほとんど歌うように答えた。「レッド二二、オン」


これだけ多くの人間が出てくるのも潜水艦特有だと思う。 潜水艦だけじゃなくて船関係はみんなそうだが。

最終的に、やりすぎた代償としてNATOによって消されてしまうサターンだけど、ラストは結構来るものがある・・・。

サターンを破壊したUSSローズモントからの電文 このときサターンは修理中のためソナーが一切機能していなかった為、USSローズモントからの攻撃に気がつかなかった。

宛=海軍作戦本部長
発=USSローズモント
任務完了

この任務完了があのルパン三世のフラッシュみたいに出てきたら格好いいだろうなーと思った。やるせなさも倍増だろうが。