あ・・・あれ?この本のジャンルはナンだろう・・・。
分類分けが不可能だぞ・・・ カテゴリ分類不可って一体全体なんのこっちゃ あえて・・・分類するなら文学かな・・?
あらすじ
多田便利軒 便利屋を始めてほそぼそと稼いでいた多田の元に、突然高校の頃の行天が転がり込んでくる。ところがこの行天、とんだ問題児なのである(世界丸見え風に)
感想 ネタバレ無
エッセイを読んだ感じではこんなにしっかりとした小説を書くとは全く思わなかった。かなり意外である。 特にストーリーを考えないで筆の向くままに書いて行くタイプかと思ったらそうではないのだな、と感じさせるストーリー構成だった。
文章表現などが俺の乏しい読書経験から言わせて貰えば、荻原浩に似ていると感じた。読みやすい文章や、思わぬところでグサっと突き刺さってくるセリフなどが似ていると感じた原因だと思う。
読みやすいといっても、村上春樹的な読みやすさではない。どこがどう違うといわれてもわからないけれど・・・。
女性が書いた本だと、やはり女性的だなと感じる事が多い(失礼か?)が、三浦しをんにはそれがない。分類不可と言ったところか。
あと、どうでもいいかもしれないけど、表紙のりんごとタバコが気に入った。いい表紙だな、と感じる。こういう事はあまり無い。でも、何で、リンゴなんだろう?なんかリンゴに関係する話があったかな?
ネタバレ有
いきなり最後の話になってしまうけど、多田が行天を追い出してしまった時に拾った犬が大きくなったから捨ててしまう、非常な飼い主のようではないかというような比喩があるけれど、ここに違和感を感じる。多田がそういった類の責任を感じることは無かったはずだし、自分を飼い主という位置づけに置くのは非常に傲慢な意思が見える。
しかし行天は思わせぶりなキャラだったが、大きな大きなバックグラウンドがあるのかと思いきや、あるにはあったが、あまりかかわってこなかったな。
しかし三浦しをんの犯罪感には興味がある。平然と犯罪を許容するその話の中身は恐らく本人から出てるものだろう。
「おまえ、犯罪に加担している人をみたらどうする」
「ほっとく」
こんな感じ。風が強く吹いているでも、平然と主要人物が万引きしているし。
ところで多田が便利屋になった経緯がよくわからないな。もちろん色んな事件があって便利屋になったという話はちゃんとあるんだが、いまいち納得がいかない。別に便利屋じゃなくてもいいのに。
唐突に笑った場面Pickup
便利屋の仕事で、チワワを預かっていたがふとしたすきに居なくなってしまったチワワ。
「だからいやだったんだよ、脳味噌の小さい犬は」
こうしてみるとあまり笑えないかもしれないが、個人的に全く同じようなセリフを脳内で思い浮かべたことがあるので、その時の事がフラッシュバックして思わず笑ってしまった。
考えて見れば、はははと笑えるような場面よりも、くすっとくるようなシーンが多い。 ほろりとは来ないけれどしんみりとはする。物凄い名言が出るわけではないけれど、なるほどーと納得する。 そんな場面が多い。