終わりのクロニクルで有名な川上稔のハードカバー本
あらすじ
何事に対しても本気になれない主人公は自分が何かに対して本気になれるのかを疑問に思っていた。しかしとある人物との出会いから、方向づけがなされる。その方向とは、シューティングゲームであった。
感想 ネタバレ無
まぁよくも悪くも川上稔だったかなと。しかしどう考えても最初の方の文章はひどい・・・・。
まぁ、何事にも本気になれない主人公が本気になれるものがシューティングゲームだったーやってやるぜーって感じなんだけれども、話がなんだかシューティングゲームを相手にしているにしては、人生の巨大な敵を相手にするかのような書かれ方でそれはそれで結構面白い。
ただ、やはり本音を言えばゲームごときに何をマジになっているんだ・・・こいつらは・・・という感じか。
しかしそこはやはり必然といえば必然だったのだろう。ただのゲームごとき・・・というままでこの小説を書いたらいったいなんなのかわからなくなってしまう。シューティングゲームを主軸にすえて書こうとした以上、多少大袈裟な表現ばかりになってしまうのもしょうがないのかもしれない。
内容に少しふれると、ところどころにシューティングゲームの解説が入る。シューティングゲームの事はちょっとかじっただけでほとんど素人と言っていい自分が知っている事しか書かれていなかったので、本当の中の本当の初心者のみを対象にした解説なのだろう。正直に言って、死ぬほど邪魔だった。
というか、正直に言ってしまえば、不覚にも全部読んでしまったがあまり面白いものではなかったな。
しかしあえて面白いところをさがそう。さすがにないわけがない。確かに面白い点もなくはないが、というかあるが、それでもそれに負けないだけのいい点も、確かにそんなにあるわけではないけれども、まぁないわけではないわけで。
まず解説がついているから、シューティングゲームのことを全く知らない人が読んだら、感謝するだろう。新設設計だ。絵で説明してくれたりするし、さらには巻末にシューティングゲームの歴史まで書いてある。それから真剣に本気になれない・・・と悩んでる人がいたとしたら、自己を肯定してくれような物語に救われる事だろう。
それから構成自体は、悪くない。物語作りは、きっとうまいんだろう。
それから、青春物語としても成立している。
ネタバレ有
俺が衝撃を受けた文章
以下引用
広い、白い空間が有る。
長いカウンターと、テーブルが幾つも並ぶ場所。
食堂だ。
テーブルと椅子にはどれも学生服姿が着いており、壁の時計は十二時五十分を指している。
ここは昼休みの学食だ。
ソシテカウンターに近いテーブルに、紺色の学生服が一人いる。
高村だ。
アwwwwwホwwwwwかwwwwww
読んでる時ギャグでやってるのかと思ったわ・・・・。ほとんどの作品を許容してきたものの、これにはさすがに付き合いきれん。まぁさすがにここまで酷いのはここだけだった。もう一回出てきたらさすがに読むのをやめていただろうな。
どうでもいいけど、作品中の高校だと授業がある時にゲームセンターに行っていたというそれだけで2週間の停学だとか。なかなか酷い話だ。厳しいなぁ。しかも受験間近の3年生に・・・ちょっとぐらい考えてやってもいいだろうに。
しかしそれだけでストレスで吐くとかどんだけ精神的に弱いんだろうという気がしないでもない。
下巻の帯の文も地味にひどい。
あらゆるゲームの中で
難度の高いシューティングゲームを
縦横にプレイ出来るものだけが持てる最高の攻撃手の称号であり、そしてゲームが出来ない人々を絶対に楽しませることが可能な、・・・・・ゲームセンター最強の守り手の呼び名。連射王。
──と、そういうべきかしら
(本文より抜粋)
冷静に考えるまでもなくありえないだろ・・・・。ゲームセンター最強の守り手ってなんだよ・・・。いったい何の存在からゲームセンターを守ってんだよ・・・・。
まだまだあり得ないことへの突っ込みは終わらないぜ。
ゲームセンターで遊んでいるゲームが、うまくできなくてクソっと叩いた人に向かって全力で何しとんねんと全力で鉄拳制裁をするようなゲームセンター狂が作品中で最も信頼されている人だとか大切な人には嘘をついちゃいけないのにおれは嘘をついてしまった・・・!とかいう滅茶苦茶な理論で落ち込みまくる主人公とか、嘘をついたぐらいで見損なったわ・・・とかいうクソヒロインとか色々あるけれども、まぁ全部ひっくるめたら相当に面白くない作品になってしまうんだけれども。
大体嘘をつかないとか不可能だろ・・・・私には嘘つかないで・・・!なんていわれたら百年の恋も冷めるわ。
そもそも何事に対しても本気になれないとかいうわけのわからない事を悩んだ事が無いから全く主人公が考えている事がわからなかったぜ・・・。
考えれば考えるほどつまらない作品に思えてきたからここらでやめようと思う。愚痴にしかならんわ・・・。
追記
やはりただの愚痴だとつまらん穴が多いな。つまらなかったと書く方が簡単で、たくさん書けるがその分浅いわさ。自分で自分の意見に反論してみよう。
自分の作品を滅茶苦茶にけなすとかいう自虐をやった作家が居たような気がするがそれの日記版だな・・・。筒井康隆だったかな。
嘘をつくつかないのくだりは、高校生だからという理由もあるだろうなと思った。要するに、若くて純粋な恋愛だなぁという目で見るべきだったのだ。ひねくれてしまった。本気になるならないというのも、思春期特有の問題だろうと思う。要するに青春物語であると、自分で理解しているかのように書いたのにそれを理解してなかったことから前提が間違っていたということだろう。
停学などのもろもろのストレスで吐く、という描写も、本人にとってそれがどれだけ重大な出来事だったのかを表す指標だろうか。
ゲームセンターで台を叩いたぐらいで本気でぶん殴る男も、本気の表れとしてみることができるかもしれない。たかがゲーム、されどゲームというところだろうか。正直いって、何をゲームにマジになっちゃってるの?という読み方をしたら全く楽しくないだろうが、なるほど、そういう考えもあるのかという読み方なら面白かった・・・・と思う。
惜しい事をした。考えが足りなかったか・・・。
しかしまぁ文章がきついのは無理。 あとゲームセンター最強の守り手も無理。