基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

故郷から10000光年 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

光年は時間じゃない・・・!距離だ・・・!

あらすじ

短編が 15個も 入ってる!

感想 ネタバレ無

前回読んだ老いたる霊長類の星への賛歌、は正直いって読みづらかった作品であったが、こっちは短いものが多い事と、わかりやすい作品が多い事もあって楽であった。

ちなみに老いたる霊長類の星への賛歌が読みづらかった理由として、基本的に異世界の話であるから、体が人間とは違う描写が多いんだが、いろんな星系のいろんな登場人物が出てくるから、なんかもう名前とイメージが全く一致しない。さらに新しい用語がぽんぽん出てきて、それの役割を把握するのが非常に困難であった。

例をあげるとすると、惑星連合艦隊司令とかわかりやすいのならばいいのだが、転送する際の問題を処理する人間とか、動物レースのルール監視員とか、なんか架空の存在が多すぎて把握するのに時間がかかるのだった。

って、この例に出てきたものが出てくるのは故郷から10000光年の方なのだが。

今回は主に、故郷に関する短編が集められている。故郷に対する深い思いというのは、言われるまでもなく強いものだろうというのは容易に想像出来る。

なんか、うまく書けないのだけれども、故郷が誰にとってもかけがいの無いものであるという事はみんな感じる事が出来ると、思う。生まれた場所であり、帰る場所であるはずなのだ。そういえばいつだって故郷は帰る場所として、書かれている気がする。いや、この短編集の話じゃなくて、世間一般論として。

今回はちょっと長丁場になりそうだな・・・。7000文字も書くはめにならないといいんだが・・。

さきに気に入った短編をいくつかあげておくと、故郷へ歩いた男。 ハドソン・ベイ毛布よ永遠に。スイミング・プールが干上がるころ待ってるぜ。ビームしておくれ、ふるさとへ。

いうまでもなく他の作品も、素晴らしいものであるのだが、自分の中ではこれが面白かった、という事だ。というか、非常に残念な事にあまり集中出来ていなかったのかしらないが、というか十中八九そうなのだけれども最初のいくつかの短編は印象に残っていない。

ネタバレ有

マザー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ

だが、悲しい事に全く・・・わからなかった・・と言ってしまったら敗北宣言みたいで悔しいけれど、全くその通りだった。読んでる最中は自分の読解力が足りないからわからないのか、それとも最初っからわからないように書かれているのか、それすらもわからなかったが、結局最後までよくわからなかった事を考えるとどうも読解力が足りなかったのだろう。どんな話だったのか、という事がわからなかったのではない、どんな意味があるのかがわからなかった、という事だ。
なんか、ラグナロクが巨大なエネルギーをもった物体だということもわかるし、何かから逃げているのもわかるけれど、宇宙シャベルとか石ころ雲をがっちり掘り進んで、トロイ岩にぶつかって爆発した可能性はある。そうすれば、ちょっとした太陽ができる。 とか 正直意味がわからない。石ころ雲・・・?トロイ岩・・・?

われらなりに、テラよ、奉じるはきみだけ

銀河系規模で、生物にレースをさせようという試み。壮大な話だなぁ。壮大な話は好きだ。

ジャンルごとにレースがスタートするわけだが(蜘蛛同士とか恐竜同士とか)そんな都合よく蜘蛛と同じような生物がいたり恐竜がいたりするか・・・・?と思うわけである。

他の星にもし知的生命体がいたとしても、それが人間と同じ形をしているということは絶対にありえないというのはもう定説だが、それなら他の動物にだってそういう事がいえるんじゃないかなぁ〜とは思うが、よく考えたら知的生命体に限った話だったのかな。まぁそんな重箱の隅をつつくような追及をするのはハード SFだけにしておけっていう話であるが。

テラを失った人々が、テラをなつかしがる場面 以下引用。

「われらがドームよ、安けきふるさと、みどりのテラいまはなく……」彼はもちろんのこと、十五代前の祖先だってみどりのテラなど知らないし、ドームにさえ住んだことはない。だが心象は深く刻まれていた……

地球へ・・・を思い出したなぁ。あれも見たことのない地球に思いこがれて果てしない距離を故郷に向けて旅をする話だった(ちょっと違う)どんなに離れていても、見たことがなくても、その血に記憶が刷り込まれていくのだろうかとそんな感傷にひたることが、出来る場面であった。

「われわれの銀河では、母星を失った生物は長く存続しない」
「ここでも同じです」クリスマスは重い口調でいった。それは事実だった。みなしご種族はみんな死に絶えてしまうのだ。理由は誰にもわからない……いや、それより、この痛みがなぜ消えないかだ。痛みに耐えて生きてゆくか、あるいは痛みを忘れ、そのうちいなくなってしまうかなのだ。


故郷を失うというのは想像も出来ないが何か心の一部がかけてしまうようなものだとは、考える事が出来る。というかこれもうまく書けないなぁ・・・。故郷に関するこのもやもやとした感じが、とても文章に出来そうにない。

故郷へ歩いた男
故郷へ歩いた男、というタイトルだけでなんかくるものがある自分はきっと故郷オタク(なんだそれ)

どうでもいいけれども、こいつが戻ってくる事によって過去で大爆発が起こったならば、こいつはその時点で存在しているんじゃないのか?という事なんだが違うんだろうか。 タイム・パラドックスだ!雷電!いやなんでもない

あれかな、こいつが戻ってくる事によって起こった大爆発で死んでしまったのか。そう考えるのが自然だな。一年が彼には二分の一秒ってこんな設定どっかで見たなーと思ったら古橋秀之の短編集でこんなネタがあったな。あっちはあっちで秀逸な短編だった。

われわれの過去は彼の未来であり、われわれの未来は彼の過去である。というのは非常になんというか、状況を的確に表していていいなぁと思った。

唯一正しい道の周囲はすべて誤りでしかなく、彼の心臓が、血液が、あらゆる細胞がその原子の深みから求めるのは、故郷、故郷!


そう、故郷について何がいいたいのかというと、心の奥底から求めるものであるというこの感覚なのだけれども、それがうまく書けなかったのだ・・・。要するに生まれた地に愛着を示すのは精神の本質なんじゃないかと。

まぁ規模にもよるけれども。日本に生まれたから日本を故郷と思うのか、地球に生まれたから地球を故郷と思うのか、それとも東京都に生まれたから(ry

そこんところもよくわからんよなー


ハドソン・ベイ毛布よ永遠に

これは地味に一番好きな話だったなー。割とストーリーの内容はありふれている?と言ってもいいぐらいの話なんだが・・・。
タイム・トラベル出来る機械がほんとうにごく少数だがある世界の話。
たとえばその機械を使って、20年後に行ったら20年後の自分と今の自分の精神が入れ替わって活動できるというもの。もし未来の自分が死んでいたらそれはキャンセルされるだけで特に何も起きない。ここではその機械のことをジャンパーと読んでいるが、先日同名の映画を見に行ったがかなり面白かった って、この話全く関係ないな。

ちうか、最高に面白いんだけれどもどこか一場面だけ抜き出して記憶にとどめておくってことができないんだよなーこの話の場合。もし思い返したい場合全部読み返さなきゃならん。ってことで終了。

スイミング・プールが干上がるころ待ってるぜ

これも非常に面白いんだけれども、またしても一場面だけ抜き出してどうこうっていうのはきつい話だ。 たとえるならば、ドラゴンボールなら、フリーザと闘ってるところは最高に燃えたよな、とか言えるけれど、・・・ってここまで書いたけどいい案が思い浮かばなかった 投げっぱなしジャーマン。


ビームしておくれ、ふるさとへ

国家は歴史から何一つ学ばないという古言とは裏腹に、アメリカは、ベトナムでの長い苦闘から学び取った証拠を見せた。アメリカが学んだのは、こういうことだった。人民投票、軍事顧問、訓練プログラムなどにかまけて時間をくわれるな。すぐ動け。そして叩きのめせ。

なんだか、実際にCIAに勤めていたティプトリーから出てきた言葉だと思うと全く笑えないな。

というかこの作品とハドソン・ベイ毛布よ永遠にが個人的には二強であった。

特にこの作品は最後のシーンは鳥肌ものだった。死に向かって行く時の様子がおだやかなものなんかじゃなくて、燃え盛るように突っ走っていくものだったり、その燃え盛るような情熱のまま、目的を到達するあたり、というかこれは目的を到達した時に死んだんじゃないかと思うんだがどうだろうなぁ・・・。まぁ十中八九死んじゃいないんだろうが・・・。なんというか、これまた説明できないんだが、命をかけて、最後の最後に目的を達成し、笑ってしんだ。という表現がこの場合一番適切だと思うんだよなぁ。

「心配しなくてよい」声が聞こえてきた。声は、キャプテンのコンソールのわきにある球から流れてくるように思われた。「きみがいまどこにいるか教えよう」
「わかっています」ホビーはささやき声でいい。泣きながら息を吸い込んだ。
「帰ったんだ!」そう叫び、気を失った。