基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

不気味で素朴な囲われた世界 西尾維新

あらすじ
平和な学園で殺人事件が起こる!(思いつかんかった!)

感想 ネタバレ無

さすがにもうまともなミステリーを書く気は無いとみた。いや、もうって言ったら最初はまともなミステリーを書いていたみたいだな・・・・。頑張って推理してみようかと思ったけど無駄だ!わからん!

しかしいつもどおりの作風だな。一冊気に入れば他の作品もすべて読めるっていうのは魅力だが、たまにはドシリアスな話でも書いてみてほしいものだ。言葉遊びとか抜きにして・・・。

西尾維新の言葉遊びはとどまる事を知らない。何でこんなに色々考えつくのか不思議だ。

ていうか、ミステリーで推理して論理的に犯人を導いた事がないんだけど、ミステリーの楽しみ方間違ってるかも知れんな・・・。それとも本格ミステリとかじゃないと普通はわかるようにできてないのかなぁ。

わかるようにできているのか、できてないのかすらわからないんだが。それからどのタイミングから推理すればいいのかわからんな。本格ミステリだったらそういうのわかるようになってた気がするんだが。

まぁしかしこの作品に関しては推理とは遠いところにあるだろうというのは、わかる。

それから、もんだい編。大もんだい編。 みかいけつ編。 えんでぃんぐ。とわかれているが、そのたびにちょっとした漫画が入っていて、それが盛大にネタバレ。簡便してくれ・・・・驚きが減るじゃないか・・・・

しかし今回は、徹底的にミステリーという考え?枠組み?を手のひらで転がし続けたな、というのが印象。ミステリーの暗黙のルールをそりゃーないだろ、常識的に考えて、と否定していくミステリーである。 よく漫画や小説の中で、漫画じゃあるまいし・・・というセリフを見るとついつい突っ込みたくなるような、なんかもやもやした気分になるが、読んでいる間ずっとそんな気分だった。

表紙が学ランの女の子だが、学ランにはピンと来ない自分であった。

ネタバレ有

思わず笑ってしまった場面 
主人公串中弔士とその姉串中小串の会話。

「それとも弔士くん、UFO研入る?」
「入りませんよ」
そこでどんな運動をするのだ。
「んー? 前に教えてあげたじゃない。 こうやてねえ。みんなでおててを繋いで、『ジェントラージェントラー、スペースピープル』って言って宇宙人を呼ぶんだよ」
「紳士的な宇宙人が来そうですね・・・」


や、やべえ読んでた時は面白かったけど冷静に考えるとあんまり面白くないかな・・・という現象かもしれない・・・。あんまり面白く感じないぞ・・・。
2個目

「つまりねー、弔士くんはなんだかんだ言って、大人になりたくないだけなんだよ。小理屈こね回してそれっぽいこと言っちゃって、ただ単に、小学校から、中学校に上がって、情緒不安定になってるだけなんだよ」
「大人になりたくない・・・・ですか」
「そう。ピーターパン将軍だね」
「強そうですね・・・・」

いやいやいやこれもどうだろう。うーむ、その場のノリって怖いな。

きみとぼくの方は妹を溺愛していたがこっちは姉か・・・まぁ溺愛っていうわけではないが。串中弔士という名前は縦で読むと一本筋が通っているが、それだけでつけた名前なんだろうか・・・。

しかし一番最初に死ぬのが、串中小串だとは、これは全く予想していなかった。どう考えてもふや子さんが死亡フラグだったのに、どういうことだこれは!

作中に、時計の針を戻すことはできない、だが進めることはできるという台詞が、有名なアニメにあるのですけれど とあったが何のアニメかなーと思って調べてみたらエヴァンゲリオン碇ゲンドウの台詞だった。
「進んだ時計の針を戻すことはできないが、自らの手で進めることはできる」

しかしトリックをイラストで説明したり、するというのもまぁミステリーには無かったものだろうか。それも含めてミステリーというルールで遊ぶという考えのほかに出てきているものといえば、普通の大人だったら実際の殺人にはトリックなんか使わないだろうという誰もが考えている事、だったりほとんどのミステリーのように完璧な犯罪を犯す人間なんてそんなにいないだろう、という事だったり、ミステリーファンのいうところの、アリバイなどという単語を一般人は知らないんじゃないか? 知らない人間が犯罪をおかしたらどうなるのか? それから人は人の事をそう簡単に殺さない。などなど。

まぁ誰でも考えることだが、明らかにトリックなどに使うエネルギーは無駄だという事だな。普通に考えりゃ夜道で後ろから殴って見つからないところにやっとけばあっというまに完全犯罪の出来上がりだし。そもそも人は人の事をそう簡単に殺さないよね、というのももうそのままだろう。

少年犯罪の増加みたいに書かれているが、日本に限って言えば殺人の件数は年々下がっているわけですし。

だからそれを踏まえた上での話の構成、という事になっている。
人が人をそう簡単に殺さないのは、主人公の操作ということで説明がつくし、普通に分別のつく大人がトリックなんて使わない、というところは思いつきで行動してしまう中学生だから、という事だし、犯人だってミスは犯す。

現実的じゃない世界の中で現実的な考えを持って行動するキャラクター達だからこそ、漫画や小説の中で、漫画じゃあるまいし・・・という台詞を言ってもそれ程の違和感もなく受け入れられた。

「考えてみれば、ミステリー小説ファンの傲慢って言いますかね。誰もがミステリー用語を知っているわけじゃないです──アリバイ、密室、物理トリック、入れ替わり。そんな言葉は普通使わないし、知りもしない。それを失念していました。アリバイという概念を知らない以上、そもそもアリバイ工作がするわけなどない ──」

しかしまぁそれでも高校生にもなれば、詳しくは知らないまでもアリバイ──の意味ぐらいは知っているだろう。だからこその中学生設定だったのかもしれない。

いやまぁ知らないのだけれども、ていうかアリバイの意味を知らない人が中学生にもいるのかと今でも疑問だけれども。

スタンガンで何時間も失神していたーみたいな話のところはスタンガンってそんなに何時間も失神してるもんなのか・・・?と心底疑問だったのだが、気を取り戻しそうになるたびにスタンガンを押し当てていた、が正解だとは、さすがにわからなかった・・・。常識じゃ測れないぜ・・・。

最後の最後に、病院坂黒猫がやってきて今回のネタバラシ。まるでクビキリサイクルの赤い人みたいだ。ここで全ては串中弔士くんの操作の仕業だったと判明したわけですが、ここで自分を将棋で例えると王将、といったことの真の意味というわけか。

自分はほとんど動かずに、周りの駒を動かして勝利を得る、そういう意味で自分を王将とたとえたのだろう。なかなか面白い伏線だった。

主人公が周りを操作して小串を殺すかもしれない状況に動かしたことの動機は、二段ベッドの上の段を使いたかったから、というものだが、なんかこのしょうもない動機から砂糖菓子の弾丸は打ち抜けないでも出てきた、あの有名な犯罪心理学の話を思い出したな。

夫が死んで、葬式に行ったあと夫の同僚と会い、次に子供が死んだ。母親が犯人だったのだが、何故夫と子供を殺したのか、という問題。

正解は夫の同僚に会いたかったから、なのだがそういった他の人には理解できない──ような動機を作りたかったのかもしれない。

しかし病院坂迷路、小物すぎて笑ったなぁ。あっさり殺されてしまうなんて・・・。

病院坂黒猫が特別だったという事か。