基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ピギー・スニードを救う話 ジョン・アーヴィング


あらすじ

短編とエッセイが8個入っている。

1.ピギー・スニードを救う話。
タイトルのままの内容。これはエッセイだと思うが・・・違うのかもしれない。
2.インテリア空間
自分の好きなものを守ろうとして隣人と闘いを繰り広げる。
3.もうすぐアイオワ
車にひたすらに話しかけながらアイオワに向かうキチガイの話。
4.疲れた王国
おばはんががんばる
5.ブレンバーの激論
タイトルのまま
6.ひとの夢
ひとの夢を見ることのできる能力を手に入れた男の話。
7.ペンション・グリルパルツァー
観光局につとめてるおやじとその一家がペンションにとまって評価していく。
8.小説の王様
ディケンズについてのエッセイ・・・だと思う。


感想 ネタバレ無

なんじゃこりゃああああ
な、なんかよくわからんな。 読み終わった後に「・・・・・?」とか頭の上に出てきてしまいそうな短編ばかりだった。
しかしピギー・スニードを救う話はよかったな。小説の王様はディケンズについてのエッセイなのだが、ディケンズの事を一ミリグラムたりとも知らないので全く話についていけなかった。お気に入りの野球チームについての解釈を延々と語られたところでそのチームに興味のない人が全く楽しくないのと同様にまったく楽しくない。
ていうかこの短編集に入れる必要はあったのだろうか・・・?

でもよく考えてみたら、つまらないと言い切れるのは小説の王様だけで他のものは普通に面白かったな。

もうすぐアイオワが一番好きである。本気で車に話しかけて本気で車を大事にして本気で車のために怒れるのならば、それはもうただのキチガイじゃないだろう。そう、突き抜けたキチガイだ。読んでいて楽しいのはただのキチガイじゃなくて突き抜けたキチガイである!んっんー名言だねこれは

疲れた王国はその微妙な人間関係や、心情がこそばゆいところに手が届く感覚でとてもいい感じ。面白いというよりも心地よいという感覚であった。

ブレンバーの激論およびインテリア空間については読んだけれども注意散漫な状態だったためか内容を覚えてないのでスルー。



ネタバレ有


ピギー・スニードを救う話
この短編を表すのには、少し引用するだけでいいだろう。

「おやおや、ジョニー。だからスニードさんが生きてた時分に、もうちょっと人間らしい扱いをしてやってれば、そんな面倒くさいことをしなくてもよかったろうに」
 それができなかった私は、いまにして考える。作家の仕事は、ピギー・スニードに火をつけて、それから救おうとすることだ。何度も何度も。いつまでも。


インテリア空間
一本のクルミの木をめぐって隣人と心理的駆け引きを行う短編。

動物がヴァーモントからカリフォルニアまで、何か月も足を引きたどり着き、足の裏から血を流しつつ、尻尾をふて、元の雇い主一家と再会を果たす。これが大向こうをうならすのは、現実にはあり得ないという常識に心地よく反するからである。普通なら、マサチューセッツあたりで車に轢きつぶされるか──もっと厳しい現実として──ヴァーモントで捨てられたまま幸せに暮らすことになる。

現実にはあり得ないという常識に心地よく反す、と書いてあるけれども、最後のエッセイ?小説の王様でディケンズの作品を現実じゃあり得ないというやつらがよくいるが、現実の方がよっぽど奇妙であるというような事を書いている。
と批判する事も出来るが、小説の中身がそのまま作者の思っている事だと考える浅はかな考えだろう。
小説の中身のような出来事が現実に無いのと同じように、現実の出来事は小説の中には無い。

ひとの夢
妻のいない家にもどった。こわさを知る男になっていた。あやうさの極致というべき傷をかかえていた。この世界は、たくまずして残酷でもある能力を、むやみに人に押しつける。持たされてしまったものを人が使いこなせるかどうか。世界のしったことではない

内容には特に触れるところがなさそうだった。ラストのこの3行だけが、心に残ったといえる。残りかすだ。

ペンション・グリルパルツァー
ばあちゃんうざいな・・・・。熊や、人の夢を見る男や、逆立ちで歩く男などがいる不思議なペンションを評価するためにいった家族の話。
変人ばかりでさぞやにぎわっているかと思いきや、まぁ当然のことだが客なんかまったくいない。現実はまったくもって非情である。
何年後かにもう一度このペンションを訪れてみると、みんな死ぬか散り散りになりペンションの経営は落ち目。見るも無残な正当な結末というべきか。それだけに小説という話の中では際立つ話でもある。
なんの障害もなくなるべきしてなった結論というのは存外少ないのかもしれない。得意に小説の中では。

小説の王様
ディケンズなんて人しらねーよ!と思ったけど調べたら結構有名な人であった。むしろ知らないなんてこっちが恥ずかしいお話である。まぁ知らないもんは知らない。凄い好きなんだろうなぁとは思うのだがこっちとの温度差がすさまじい事に。まぁそれはそれでありか。