基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

地球の静止する日 SF映画原作傑作選 ブラッドベリ、スタージョン他

タイトルにもなっている地球の静止する日という映画が傑作だというのもあるが、読もうと思ったのは、自分の好きなアニメであるOVAジャイアントロボ地球の静止する日が副題となっているからである。 ちなみにこの本に入っているのはすべて短編である。5作の短編or中編と1作のショートショートが入っている。

あらすじ
1 趣味の問題 「イット・ケイム・フロム・アウターベース」の原作  レイ・ブラッドベリ
地球人達が宇宙を旅してたどり着いた惑星には知性体が存在していた。しかし、その知性体の形が・・・・

2 ロト 「性本能と原爆線」の原作 ウォード・ムーア
ひたすら脅威から逃げる。人間の悪意からも、無能からも逃げる。 宇宙戦争を見た人間ならそれと似たような感じといえばわかるか。

3 殺人ブルドーザー 「殺人ブルドーザ」の原作 シオドア・スタージョン
殺人ブルドーザvs人間 生き残るのはどっちだ!?

4 擬態 「ミミック」の原作 ドナルド・A・ウォルハイム
世の中には多くの動物が擬態して暮らしている。グンタイアリに擬態するいもむし 葉っぱに擬態するフナムシスズメバチに擬態するガ 擬態をするものは常に強いものに擬態する・・・

5 主人への告別 「地球の静止する日」の原作 ハリイ・ベイツ
地球に一人とロボットが宇宙船にのってあらわれた、そこで地球側がとった行動とは・・・?

6 月世界征服 「月世界征服」の原作 ロバート・A・ハインライン
月を征服しに行く男達の話。もっとも月に政府があるわけでもなく、人がいるわけでもなく、ただ単にそこに最初に到達して勝手に領土宣言をしてしまおうとするアメリカの話である。


感想 ネタバレ無
あらすじだけで、ずい分と幅をとってしまった。 ちなみに一番好きな短編は擬態と月世界征服で迷うところだが、擬態かな。 

ロトはオチが弱いと思ったし、殺人ブルドーザーはそのネーミングセンスに感激する程だが(英語のタイトルはKILLDOZER キルドーザーなんつうネーミングだ)内容は正直読むのに疲れた。 というか描写がよくわからんな色んな用語が出てくるがそれがブルドーザーの部品のどれをさしてるのか全くわからん・・・・ しかし設定自体は凄く好きだ.突然ブルドーザーが殺人ブルドーザーになるとか馬鹿すぎて面白い。 

擬態、だがこれは読んでいる途中でオチがわかるように出来ているが、そのオチが面白かった。多分すでにこういったオチの話は作られていると思うがこういった話は嫌いじゃない。 ちなみにこれがショートショート。 

主人への告別、これもオチが好きな作品。またそのオチにいたる過程もわくわくさせてくれる。起承が無くて、転転転結って感じ。映画とは全く話は違う。 色々突っ込みたくなる内容だったのが少し残念だった。 

月世界征服、中編なのだが、長編にも出来る内容だった。終わらせ方も好き。ハインラインだから当然と言えば当然かもしれない。完成度高し。ハインラインはよく人物の精神描写がうまいと言われているが、いつも思うが別にそんな事はないと思った。これぐらいならもっとうまく書く人間はたくさんいると思う。 

長編にしたら面白そうだな、と思ったのがいくつもあった。というか全部そうだ!全部面白そうだ。長編にしたら。もっともそれは映画原作だから備えていて当然の資質か・・・? ロトに関してはこのあと一応続編があるらしいが、鬱そうであまり読む気がしない。


ネタバレ有



順不同で書きたい順に書いていこう。 主人への告別だが、最後のロボットの言ったセリフ 「あなたは誤解している。真の主人は私なのだ」だがこれをこのまま受け取っていいのかと一
瞬迷った。 

つまり彼らの星ではロボットが主人という立場なのだろうか。 そのまま受け取るとよくわからない点が多い。最初に人間とロボットが宇宙船から出てきたときに、挨拶をしたのは人間だった。

これだけなら影武者と考えられるかもしれないがそもそもロボットには地球の攻撃など何一つ効かないのだから、影武者など必要がない。しかも人間の方がもろいのだから、人間をわざわざ表に出す必要がない。(現に人間が出てきた瞬間にライフルで暗殺されてしまったし)またロボットが主人の世界だというのなら、人間なんて連れてくる必要がない。

連れてくるだけ邪魔だ。また二人で来るというのも意味がわからない。普通もっと大勢で来るだろう・・・目的も不明だからその点はなんとでも理由がつけられるが。また、人間が暗殺されてからロボットは博物館に置かれたと言っている。

そしてカメラマンの主人公はその博物館にスクープを求めて一晩泊りこんでロボットが人知れず動くのを発見するんだが、どう考えてもおかしい。普通カメラぐらい博物館ならおいてあるだろうしそもそも警備員がいないというのがまずおかしい。

この時代にはすでにそれぐらいの装置は確実にある。すでに警備会社などもいるだろうし、しかもロボットは世間どころか地球をゆるがすほどの大注目を集めたのに、それからほとんど日にちも経っていないのに監視が何一つないというのはどう考えても現実的じゃないだろうと思った。

趣味の問題だが、これは普通に良かった。地球人が異星に降り立ったらそこには大量のどでかいクモが居て知的生活を営んでいたという話なのだが、これがまた面白い。何しろクモはまるで神のように博愛の精神をもっていて人間を害そうなどという意図を全く持っていないからだ。博愛の精神でもって接してくる化け蜘蛛相手に必死に話そうとしてみんな脱落していくのがおもしろすぎる。確かに相手がどでかい蜘蛛だったらとてもじゃないが相手がどんなにイイヤツでも手を取り合ってゲームをしたりサッカーをしたりしたいとは思わんからな。 

ロトは割愛しよう。確かに面白かったが特に語る感想が無いことに気づいた。

月世界征服だが、なんかやたらと簡単に死ぬのを認めちゃうのにびっくりした。月にて 

「俺達は帰れるのか?」「たぶん無理だ」「だが、やるだけやってみるさ!」


ポジティブすぎだろうお前ら いや?諦めてないからこんなにポジティブなのか?どちらにしろ思いきりがいい人間達を見るのは気持ちがいいもんだ。 それとも人類で初めて月に行こうなんていう人間は自分はもう死んだものと考えてるんだろうかな。それもありそうだな。割と成功率低そうだし・・・それにしてもこいつら本当にうっかりすぎる。しまった!大切なことを忘れてた!とかいう感じのセリフを何回も聞いた気がするぞ。何回大切なことを忘れれば気が済むんだろう・・

擬態を読んでて寄生獣を思い出したけどよくよく考えたら別に似てない。擬態の映画作品ミミックのほうなら寄生獣とよく似てるんだが・・・。主人公が昆虫学者で、世の中には強い生き物に擬態する昆虫がいっぱい居る・・・・なら、人間に擬態する昆虫もすでにいるんじゃないか・・・?という思考に読者を至らせる過程がイイ。実際その通りだしな。人間に擬態する昆虫がいたらえらいこっちゃ。もっとも難しいだろうけど。形だけなら真似れそうだなあ・

殺人ブルドーザーはもうなんかわけわかめ ブルドーザーに人間が虐殺されていくのはヤバイ・・・ブルドーザーにひき肉にされて殺されるなんてどう考えても最悪の死に方だ。倒す時も、もっとスカッと倒してくれたらよかったんだがなあ。何だかみみっちい作戦を立ててやられてたててやられてって感じ。しかし狂った人間は非常によかった。

殺人ブルドーザーにむかって、「手伝ってやるよォ 手伝ってやるからさあ殺さないでくれよお頼むから殺さないでくれよぉ 手始めに向こうに隠れてるヤツらを殺してくるからそれで勘弁してくれよ」などといってブルドーザーにむかってまじめに言ってるところを想像したら吹く。どう考えても。人間とち狂うとブルドーザーにむかっても命乞いするのかなぁと思うと悲しくなってくるな。


ていうか今回の感想ながっ レポートかよ・・・