基本読書

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ラーゼフォン時間調律師 神林長平

ラーゼフォン時間調律師 神林長平

アニメラーゼフォンのノベライズである。 ちなみにアニメは見ていない。神林長平がこんなもの書くなんて・・・と正直かなり意外に思った。悪い意味か良い意味かはよくわからんが期待していたのは確か。

あらすじ
繰り返し生きる存在 村瀬明。死んでも16歳の春に戻ってしまう。数もわからなくなった膨大なリフレインを繰り返す中で、異空間に存在する自分からのメッセージを受け取る。それはこのループを脱出する鍵になるか。

感想ネタバレ無

死んでも過去の自分に戻ってやり直すというのは、他の作品だとAll you need is killとかひぐらしのなく頃にとかがあるな。うえ二つとは内容が全く違うが。Allyouneediskillに量子力学的平行世界を加えて平行世界を行き来出来るようにしたのがラーゼフォンって感じ。

あとがきでラーゼフォンの監督が、繰り返し生きる存在を願望充足的に書いていないのは珍しいと書いているけれど、上二作は両方とも願望充足的には書かれていない気がする。

まあサンプルが少なすぎるな。前半は割とわかりやすく、世界観を説明しながら丁寧に進んでいる感じがするが、後半から掌を返したように謎を入り混じらせて俺を混乱のど坪に陥れた。 
正直いって後半は全く意味がわからん。悲しすぎる。というのも登場人物に名前がいくつもあって紛らわしすぎる。一人につき神話上の名前とその世界の名前と違う世界の自分の名前がくっついてしかもそれが同時に出てくるもんだから理解不能。 がんばって名前を覚えようとしても、覚えられないので、そのうち俺は考えるのをやめた・・・・。 

なんか形而上学的な難しい話がいっぱい出てきた気がする・・・・。メタ的というか、神話にたとえられてるからそのまんまなんだが。

さっぱり理解できませんがなー。しかし話自体は面白いのはなんでだろうな 神林信者フィルターがかかっているんだろうか。全く理解できなくても面白いというハードSF的な感覚がある。 

それにしても神林長平の書く親子関係はどの作品も共通して殺伐としてるなあ。子供は親を憎むのが当然だというルールが昔の作品から変わっていないのか。

ネタバレ有


ヒロインらしき存在が何だか可哀そうな扱いを受けていたな。まあ神林長平作品でヒロインがヒロインらしい扱いを受けるなんて思ってもみなかったからこれでいいんだが。冒頭の文いつも楽しみにしているんだが今回はこれだった。

ねだるな
あたえて
かちとれ


よく聞くセリフだと思うが、さっと思い出そうとしても一つしか浮かんでこない。エウレカセブンで誰かがしきりに言ってた気がする。

それにしても愛をくださいって言ってきたヒロインに対して
愛とは物乞いのように求めるものでも、待っていれば向こうからきてくれるものでは、決してない。「ほしいものは、生命をかけて奪い取れ。愛とはそういうものなんだよ、ヒロコ。奪えないのなら、自分から与えることだ。それで、勝てる。愛とは勝ち取るものだ」とかいっちゃう主人公が強靭すぎる。しかもそのセリフいうときにはすでにヒロコ死体だし・・・・死体にまで鞭打つのか貴様は!

あと印象に残った所は、明日すればいいことを今日やってしまうのは古代エジプトでは罪になるというところかな。時間の先取りは罪なことらしい。

勇気を与えてくれる言葉だがどう考えてもマイナスに作用する言葉だよこれは・・・・。しっかし最終的に何万もの平行世界を消滅させてるんだがその点に関する罪の意識はないのかなあ。

神的存在だから平行世界がいくつ滅びようとも関係ないのか・・・? 

死んでもまた昔の自分に戻る存在ってのは、肉体と魂の年齢があってないからその辺の葛藤をどう書くのかってのが凄い興味をひくところなんだよなあ。こんな問題に正解も不正解もないからどんな風に書いたって楽しめるのが凄い。

それから最終的に世界は元に戻ったがヒロコ死んでてわろた・・・。最後までかわいそうな扱いを受けていたヒロコに敬礼。