基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

神狩り/山田正紀

神を狩る物語。

あらすじ
情報工学の若き天才島津圭助は、謎の古代文字の解読に乗り出した。しかしその古代文字は人間には理解不能である事が判明した。───それは、神。


感想 ネタバレ無

神を狩るというスケールのデカい話だなーと思ったが、ページ数が250Pしか無いのを見ていきなり不安に襲われる。え、ひょっとして・・・投げっぱなしスープレックスで終わるんじゃ・・・。 でも調べたら神借り2が出ていた。これで何の気負いもなく読む事ができるというわけである。

ここで古代文字が人間には理解出来ない=神だ。という理論が出てくるんだが、唐突にわけがわからないから=神という結論になっていないのがよかった。とりあえず整合性があってるかあってないかは別として、自分個人としては、難しい理解出来ない単語を並べてもっともらしい言い訳が書いてあった上で、わけがわからない言語=神という結論に達してもらえればよかったわけだ。その点小難しい論理記号だとかなんだかとかを持ってきて説明してくれてよかった。

そういうものかと納得させる事が出来れば、あっている間違っているにかかわらず作家の勝ちである。

神狩りというタイトルからわかる通り、神を狩る話なのだが、想像通り、相手は神であるから何もかも相手が有利である・・・。スティーブンスピルバーグ監督の宇宙戦争と同じぐらい絶望的な戦いである。

しかもこっちの戦力はとても神に戦いを挑む人数とは思えない。

こういう逆境系が楽しい自分にはいい作品だ。もっとも、逆境系が楽しいのは、そのあとにくる派手な大逆転劇を期待しての事なのだが、はてさて神狩りはどうなることやら。

ラスト、燃える展開で終わる。続きが気になる終わり方であった。

ネタバレ有

本文中のセリフで
神の干渉がある限り、われわれが自由になれることもないし、真の意味での愛を手に入れる事も出来ない とあるけれど、今まで愛なんて単語一言も出てこなかったのに突然愛を語りだしたのを違和感に感じたかな。

もっとも少し違和感を感じただけであってセリフじたいはとても好きなのだが。しかし言っている事が漫画版プラネテスとまったく一緒だな。

プラネテスの方のセリフ
真理の探究は科学者が自らに課した使命です。「本物」の神はこの広い宇宙のどこかに隠れ我々の悲しみを傍観している いつまでもそれを許しておけるほど私は寛容な人間ではない
神が愛だというのなら 我々は神になるべきだ。さもなくば、我々人間はこれから先も永久に・・・真の愛をしらないままだ。

なぜか覚えているこのセリフ。

両者ともセリフを言ったのは科学者という立場ゆえ、そういう観点に立つのかもしれぬ。共通していえるのは、神は人間に対して何もしてくれないという事であって、神がいる限り真の愛と手に入れる事が出来ないっていうのは、正直読解力不足でよくわからないが、操作されている可能性がある以上、自分のこの感情が本当に自分自身から生じている感情なのかわからないという事かな。

神がいる限り人間は人間として独立していない。ならば神を探し出してつぶすのみ。

神狩りの最後の方で火星に何かがある可能性を指しているが、そこに神が神たりえる何かがあるのか、それとも神がそこに存在するのか。 というか、人類が総力をあげて神と戦う時が来たのだ。とか・・・格好よすぎるでしょう。人類全部vs何か とかそういうフレーズが大好きな自分がいる。全人類vs1人とか アメリカ合衆国vsスナイパー1人 とかやはりSFをやる以上、スケールはでかければでかいほどいい。

神vs神になると神話になっちゃうのが悲しいところか。