あらすじ
神から与えられた生命のデータだけが、現代の人間の手に渡った。はたして人間は、生命倫理も科学的問題もすべてすっとばして、神のメッセージをこの世に生まれさせることができるのか!?
感想 ネタバレ無
うーむ。面白いな。今回はそんなバカな!というよりも、それはちょっと・・・・という感じだったが。またしてもテーマがほかの2作品とかぶっている。自分たちは何なのか、何をすればいいのか。その結論が大筋で、神様のパズルと僕たちの終末とかぶっているのが少し惜しいなぁ。
しかし、さすがに3作品もうじうじと悩まれてそれを読んだ身としても、人間とは何かというのを否が応にも考えないわけにはいかなくなった。一応現時点での自分の公式見解として書いておこう。
人間というのは、常に揺れているものである。決して固定されるという事がない。定義なんて出来ない。自分とは何か、という問いにその一瞬だけ答えが出せても、それは永遠の答えにはならない。だから人は、自分とは何かを問い続けていかなくてはいけない。常に揺れている自分という存在に、その時々で、定義し続けていく必要がある。
本の内容に戻ろう。
救世主を生み出すというのだが、人間とは違うものを人に生ませるというわけで、生命倫理に違反しまくっているのだが、登場人物はあまりそのことについて考えない。作者お得意の、とりあえずやってみよう、そうしなきゃ何も始まらない理論である。正直ちょっとひいた。
説明出来ないのだが、終わり方がパターン化しているような・・・。まぁいいや。規模の大きい話である。何しろ救世主を作ろうというのだから、個人的にはこれが作者の作品の中では今のところ一番かな・・。
終わり方は、これでよかったのかなと思う。
ただ、やはりとってつけたような一番最後の結論は納得いかねー。好きな作品だからこそ納得いかないという事もある。
ネタバレ有
もし仮に、不空がメタモルフォーゼして完全体になって後光を発する存在になったら、この作品は収集がつけられなくなっていただろうな、と読み終わったとき思った。
さっき書いたように最後のまとめ方には納得がいかない。不空が死んだのはいいが、それでどうして能動的に行動するのはいい事だ。それがぼくたちが不空から学んだ事だ!みたいになってんだ・・・!?
不空関係ないような気がする・・・。
そこだけ気になったものの、メシアを作る過程はほかの作品にも共通してるごとくわくわくどきどきさせてくれたし、特におもしろかったのがメシアが生まれた後の話だったが。触手が生えてるとか冷静に考えると気持ち悪いです・・・・悪いです・・・・。
後半の盛り上がりは異常。何万もの人間に守られて、死んでいく神とかシュチュエーション最高すぎるだろ・・・・。
「もしそれが有機生命体だったら、ボク、神様だって作れますよ」
のセリフを見て空の境界を知っている人間なら確実にこのセリフを思い出しただろう。
「生きているのなら、神様だって殺してみせる」
そう簡単に神を作られても困るな。しかし2030年という設定なのだが、当然今じゃ出来ないのだろうなぁ。
笑ったところ
「救世主のおむつを替えられるなんて、名誉なことだとは思わないのか」真田が皮肉交じりに言う。
「もう十年もすれば、おむつを替えているお前の銅像が駅前に立つぞ」
実際に書いてみると、面白くない病が発病した・・・・。
しかしこうして思い返してみると、注目するようなところが特にないような・・・。
またあとで思い返してみて書く事があったら追記。