基本読書

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三国志 四の巻 列肆の星/北方謙三

感想 ネタバレ有

孫家ほんとに不遇っぷりが半端ないわ・・・。

ここまで情けない孫家可哀そうだな。孫堅流れ矢で死んで、孫策もこれからって時に女に骨抜きにされて暗殺されるってどんだけぇー。

というか何回か三国志を読んでるにも関わらず、自分の三国志への把握度が本当に低い事に、これを読んでる最中に気づいた。孫策が死ぬのと呂布があんなに速く退場するの忘れてた。というか呂布があれだけかっこよく死んでいったのに対して、孫策の死に方は間抜けすぎる。こいつのエピソードで覚えてるの、女を奪いに行った話しかないぞ。不憫な孫策、まぁよく考えたらこいつ、別にそんな大した役割じゃないもんな、最強の称号を与えられている呂布と比べるのは、酷な話か。

孫権がいったいどうなっていくのか全く予測できんな。孫堅孫策に続いて、しょぼい死に方をしたらおもしろいのだが・・・。今のところそれもなさそうだ。孫権には成長してもらって呉をおさめてもらわんとならんからな。

抜け目ない袁紹が好きになりかけていたにも関わらず、曹操のなんだかよくわからん策にハマって負けてしもうた。なんというか曹操の勝ち方、納得いかない。恐らく一個や二個じゃない数の策を、袁紹に対して仕掛けていたであろう事は琴の女を送り込んだことからもわかっていて、数撃てば当たる戦法で一つの奇策があたったであろう事は予測出来るが、それにしても運の要素が強すぎる。

ほぼ負けじゃないか。いや、しかし北方世界じゃ男は死ぬべき時が来るまでほとんど死なないらしいから当然か。もっとスカっとかってほしかった、という気はする。だが、リアリティというものにこだわるのならば、三十万の軍を擁する袁紹曹操が勝てる要素は全くないわけで、それを勝たせるためには、運という要素が絶対に必要になってくるものな。

また理解できないのが、劉備曹操が勝つかもしれない、と予測するのはありだとしても、孫策まで曹操が勝つ方に賭けていた事かな。そんなに人間を把握するほど孫策曹操って接触してたかなぁ?袁紹も結構抜け目ないやつなのになぁ。

関羽曹操にくだって、顔良の首を討って恩を果たすところは、三国志屈指の名シーンだと思うわけで。少し影が薄くなりがちだった関羽がまた復活してきたな。それにしても一巻からもう十数年経過してるんだなぁ。二十年ぐらい経過してたかもしれんが。

とんでもなく早い時の流れ、と思ったがどっかで十年単位で飛んだような気がする。ええい、孔明はまだか。北方三国志の終わりはどこなのだろうか。このペースで時が進んでいったらみんな6巻で死にそうなぐらいなんだが・・・。

今回は特に震え立つようなセリフは無かった。ところどころ気に喰わない箇所もあるが、それを補って余りある名シーンの多さは何物にも代えられないものだ。平均的に面白い、というよりも突出したある一点が面白い作品という事になりそうだ。あくまでも、自分の中では。視点によって面白い場所と面白くない場所があるのが、その理由なのだが。
眼が止まった場所ならば、ある。


 「凡人にはできぬことを、平然とやってのける。いや、それでこそ曹操なのだ。曹操袁紹の戦の行方も、私には見えた気がする」


そこにシビレるあこがれるぅ。