基本読書

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秘曲 笑傲江湖 第五巻 少林寺襲撃/金庸

あ、あかんわ、面白すぎるわ。そしてどんどん強くなり、立場があがっていく令狐冲。立身出世もほどほどにな。この巻でも、死ぬ死ぬ詐欺令狐冲は絶賛死ぬ死ぬ中である。どうやらこいつ、ケガをしていないといかんと思うたちらしい、なんというドM。岳霊珊にふられても岳霊珊のことを想い続けるし、ストーカーっぷりも半端ない。いやむしろもう岳霊珊とか岳不群にののしられるためにわざわざめんどくさい方向に話を持っていっているのではないか? と勘ぐりたくなってくるような令狐冲である。


そして令狐冲の立場があがっていくのに反比例するかのように岳不群が外道への道をひた走る。いやはや、よきかなよきかな。これで無残な死を迎えたら拍手喝采というところなのだが。はてさて。


それにしてもしょっぱなから冲虚道人をぼこぼこにするなど、令狐冲の強さをアピールしまくりである。正派の中でも一、二を争う人物を五巻の時点ですでに倒すとは・・・恐ろしきかな令狐冲。いや、本当に恐ろしいのは独孤九剣だろう。なにしろ独孤九剣を習う前の令狐冲といったらガンダム最終回の、まわりがみんな最強性能とかしたファーストガンダムなどが戦いを繰り広げる中で一人ただようザクのようなものだったのに、いつのまにか令狐冲は最新版ガンダム、種とかのアホのような性能を誇った機体でファーストのあのシンプルなデザインのガンダムが闘っているところに突っ込んでいくようなそんな性能差になってしまっている。


いくら中にのっているパイロットがシャアだろうがアムロだろうが、ジャスティスガンダムとかフリーダムガンダムとかいうわけのわからんアホみたいな名前のガンダムに勝てるはずがない。


裏の帯に、少林寺で待ち受ける驚愕の罠。襲いかかる百八体の鉄人形に、必殺・独孤九剣が唸る。とか書かれていて異常に興奮した。というか刀語を思い出した。何でだろう、確かにからくりは出てきたけれど百八体ではなかったはずだが。とも考えたが、どうやらこの無茶なあおりというか展開そのものが、刀語とちょっと似ている、と考えたのかもしれない。しかし何故百八体だとわかったのだろうか? 本文のどこにも百八体いた、なんて書かれていなかったように思うのだが。百八って煩悩の数と水滸伝の英雄の数以外に何か由来があるのだろうか。さも重要な仕掛けのように書かれているが、まるであっけなく突破してしまうので正直拍子ぬけといわんでもない。そして表の帯には出でよ、東方不敗の文字が・・・。うーむ、魔人っぽいなぁ。


しかし東方不敗はたんに東に敵がいないというだけだが、独孤九剣を作ったやつは独孤求敗となのっていたのだ。ようするにすでに東方不敗はすでに名前の時点で令狐冲に負けているのである。なんてこった、もし東方不敗が、全方位不敗という名前だったら独孤求敗vs全方位不敗の間で、なんでもきれる剣と絶対にきれない盾の戦いのような、素晴らしい戦いが起こったに違いないのに何で東方不敗なんていう限定的な名前にしてしまったのだ。


令狐冲一味が、決して正義とはいえないような行動を常にとっているのにようやく気付いた。というか令狐冲、隠れていたら偶然あの人たちの内緒話聞いちゃった! 義に反するからとっとと逃げよう・・・でも気になっちゃう☆ みたいなそんなノリで人の会話を盗み聞きする場面が大量にある。基本的に一巻に一つはそういう場面がある。岳不群や少林寺の総帥、任我行らが集まっているときも屋根裏でひっそりと話を盗聴していた。きっとこいつは一流のスパイになれるであろう。さらにこの巻ではおいおいおいとどうしても突っ込みをいれたくなる場面が存在している。雪のふりしきるなか突っ立っていたらみんな雪だるまみたいになっちゃった☆ でもみんな気付かないから雪だるまの前で重要なことを話していくよ、聞いてもしょうがないよね、的な場面である。別に文章だけだったら、ふーんで済ませてしまいそうなところだがなんとイラストがついている。きっとドラエモンみたいな雪だるまなんだろうな、と勝手に想像していたがこのイラストの雪だるまはどうみても人型である。いや、そりゃ普通に考えて雪の中にたっていて、全身に雪がついたらドラエモンみたいにはならなくてこのイラストみたいにはなるとおもうけど、普通こんな人型の雪だるまは作らない、っていうか一目みたらこれ中に人はいってね? と気づくであろう。どう考えてもこれをみて雪だるまだーといって喜んでいる岳霊珊はドアホウである。さらにいえば雪だるまの中にはいってひっそりと息をひそめている任我行を想像すると笑いが漏れる。


まぁ盗み聞き展開が多いのも仕方ないのであろう。一人称で展開する以上、登場人物が聞いた話以上の事は書けない。展開をはやくするためにこういった無茶な展開でもばんばん使っていかないと情報が開示できないのであろうから。圧倒的密度のストーリー展開のための犠牲となったのだろう。


さて、令狐冲一味が正義とはいえない行動をとっているという話に戻る。こいつら平然と変装したりして、ごまかしながら東方不敗を不意打ちして殺そうとしているのである。おいおい、令狐冲、お前ウソをつくのは男としていけないって何回もいってなかったか? 変装して東方不敗をだまくらかしてぶっ殺すのはいいってのかい?


そしてそして、ついに次巻、東方不敗がその姿を現す。