基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

復活の地 2 /小川一水

ずっと違和感を感じていたのだ。何で恒星間飛行が出来るようになったにも関わらず、こんなに文明レベルが低いのだろうかと。たまにでてくる未来的な道具は全部レンカ帝国以外の星系からもたらされたものだ。しかもその中に住んでいる人間の考え方などなどが、明治とか大正あたりの雰囲気が漂いすぎている。このミスマッチさが、どうにも気に喰わない。

三巻の参考文献を見たらその疑問も解決したのだが。ほとんど関東大震災もしくは阪神大震災の時の資料である。そりゃあ中に居る人間も古臭くなるし科学でどうにかもできないわな・・・。資料が1923年の時のものなのだから。それ以外に大震災の資料がないとのもあるので、どうしようもないが。こうして考えてみるとこの作品なかなかの冒険だな。何故やろうと思ったんだろうか。気になる。

一巻の時はイラストがまだマシだ。全体の挿絵の半分ぐらいは背景が書いてあった。なのに二巻はどうであろうか。最初の挿絵一枚以外、背景が真っ白ではないか。あれれー? この人たちブリーチの世界からやってきたの? 何でこいつら真っ白の世界に体だけ浮き出てるの? 

ちょっと人物に対する突っ込みを。クロノック公爵のアホさにはついていけんわ・・・。たった1日いろんな人間の動きを観察しただけで、セイオに君に決めた! と巨大な権力を押し付けたかと思いきや、勝手に期待して突然裏切りおったわ! この外道が! といって怒っている。 いったい君たちの間にどれだけの信頼関係があったのだと。割とビッグな人間で、どんな事態にも平然と対処していきそうなキャラクタではなかったのか。こんなことぐらいであっさりと役立たずになってしまうとは・・・。

あとネリな。ネリ・ユーダ。1ではさほどウザくなかったが2巻でどうにもこうにもウザくなってきたな。何だか足が動かないっていう設定でもって同情をひこうとしているのが気に食わんな。マスコミが障害者の人間を悲劇の主人公にしたてあげてドキュメンタリーを作るような、そんなウソ臭さを感じてしまう。

それから工作員。なんなのこいつ。サランナガンの暗号指令書を持っていたからサランナガンの手の者だ!って安直すぎるだろ。もってねーだろ普通、身分をバレるようなものは。何でわざわざ指令所持って敵地に行かなきゃいけねーんだよ。しかも指令書って・・・。ってこれ別に工作員に対しての突っ込みじゃなかった。あまりにもお粗末な作戦を行うダイノンのバカ者どもに対しての突っ込みだった。

工作員と戦うスミルには燃えた。いやいや、日本が舞台だったらさすがにこれはなかったな。いや、あるかな?雅子さまが長剣をもって北朝鮮工作員と大立ち回りをする話? そんな話書いたらどこかから消されるんじゃないか。

ウザいかとおもっていたスミルは思いのほかいいキャラに。このまま勅命です! が口癖の超高飛車天皇ツンデレヒロインに成長したら凄いぜ! 一時代築けそうだ!  女王様を通り越した新たな境地! 女皇様だぜ! ドMセイオとセットで勅命プレイはいかが? セイオ! ひざまずきなさい! 勅命よ! って書いてて恥ずかしい。なんだこれは・・・。

はやくもセイオとスミル、ソレンスとサユカの二カップルが成立しかけている。このまま第六大陸のような、大団円エンドに持ち込んでくれることを祈ろう。文句ばかり書いてきたが面白いのは間違いないのである。特に100ページあたりで、実は今回の災害は地震ではないのではないか、というSF設定がいよいよ本格化しだしたあたりから、流れみたいなのが生まれてきてようやくはじまったな復活の地。と思えた。

そして何よりも驚かされるのはラスト30ページの怒涛の展開である。ついに明かされる地震の真実、それは超高密度の天体が付近を飛んでいたからであった。そしてその天体はブーメランのように戻ってくる・・・!? 

なんという驚くべき展開。戻ってくるってなんぞ。ブーメラン、飛んでいるか?  どういう原理で戻ってくるんだ。どっかでスイングハイでもして戻ってくるのだろうか?今まではすでに起こった災害の復興という、どうにも盛り上がらない(個人的に)展開だったのだが新たな試練が現れることによって期待が高まる。