基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

タカイ×タカイ/森博嗣

 彼らのひとりは、自分が手を下した動物の肉は食べることができない、といった。また、自分の知っている牛は殺せないだろう、乳を搾ったことがあればなおさらだと、そう言った者もいる。そこでわたしは、ビカリオ兄弟が自分たちの飼っている豚を屠殺していること、そして彼らが名前で区別できるほど豚に馴染んでいることを、想い起こさせた。「確かにそうだ」とひとりが答えた。「だが、いいかね、彼らは人の名でなしに、花の名前をつけていたんだ」
『予告された殺人』/G・ガルシア=マルケス

シリーズ一作目より二作目の方が萌絵が出しゃばってきて、二作目より三作目の方が出しゃばってきている。・・・・これは4巻はどうなることやら。それに引き換え紅一点の小川さんはよりどりみどりで、なかなか面白いことに。随分登場人物が少ないような気がするが、それは前作からのつながりで出てくるキャラクターが少ないからだろう。今回殺人が起こるのはマジシャンの館である。それだけで、何かそそるものがある。とんでもない大トリックが使われていたんだぁ!みたいな。プレステージの謎を見た時は度肝を抜かれたが、似たようなものを求めていたら失敗した。しかしプレステージみたいなオチを持ってこられたら一気にSFになってしまうからダメだな。

タカイ×タカイというタイトル通り、普通じゃ絶対に死体を釣り上げられないような高いポールの上に死体がひっかかっていたー! という謎。これを聞いただけでは、あまり解のパターンが多くない問題である。まぁ妥当なところで、紐をつかって上まで運んだかどこかから投下されたか、自分でよじ登って死んだかぐらいがパっと思い浮かぶ。さらにマジシャンの家という条件が加われば、選択肢の一つにポールが上下運動するというぐらいのことは、挙がってくるだろう。ていうか、トリックってそういうのでいいんだと目が覚めるような思いだ。何か推理の極意のようなものをつかんだような気がする。

それはそうとマジシャン、一昔前は大分流行したけれど、最近滅多にテレビでも見かけなくなってしまった。いや、自分そんなにテレビ見る方ではないけれども、見かけないような気がする。定期的にミスターマリックとか出てたような気がするのだが、さっぱりである。でじなーにゃかでじにゃーにゃか忘れたけどあの子供二人組みも見ないし。もう誰も謎をマジシャンに求め無くなってしまったのだろうか。それともこういうのって、波があるもんなのかな。

二作目を読み終わった時に、次こそはぜってぇ犯人あててやっからなぁ! と誓ったが、なんとか犯人をあてることに成功した。少なくとも半分はあたっているので、まぁ当たっていたといってもいいだろう。作中でもどちらが本当にやったかは明かされないわけであるし。やっぱり今回もどろどろしていて、どろどろしている部分を狙い撃ちしていけば簡単に、少なくとも犯人を当てるだけならそう難しいことではなくなってきた。
タカイ×タカイじゃなかったかもしれないが、小川が先生だか師だかに言われたという言葉、無駄なことが一切したくないのならば今すぐに死んでしまえ(細部は違うだろうが)は傑作だったな。最後萌絵が、鷲津に金があるんだから仕事しなくてもいいじゃーんと言われてなんでやねーんとなっているところに繋がってきて、いいものだ。仕事なんかしなくていいじゃんに限らず、〜〜しなくていいじゃんという言葉を突き詰めていけば最終的に何で生きているの? という問題に行き着く。何にしろ軽々しく言葉を発するべきじゃない。どこに落とし穴が待っているかわからん。

どうでもいいっていうか関係が無い話だけれど、鷲津っていうとどうしてもアカギを思い出してしまう。漢字はちょっと違うんだが読みがな・・・。