基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

リレキショ/中村航

文庫版の表紙がなんか結構お気に入り。紙みたいに薄っぺらい建物に囲まれて煙草を吸う主人公。右手には自転車。まるでブーメランみたいな月。やけに象徴的。この月はあれだな、攻撃に使えそうっていうかどこかからの攻撃みたいだな。ウルトラマンの頭のアレみたいな。この先には怪獣がいるのかもしれない。

しかしなんという姉萌え小説。姉萌えと姉の友達萌えしか思い浮かばない。しかも義理。このままエロゲーに出来そうだ。淫乱な姉の友達と離婚で傷を負った姉とストーカー女とよりみどり。さらにはカタコトの日本語を話すメカ娘まで完備とは恐れ入るぜ・・・。いや、ただの証明写真の時の声だが・・・。

解説はやけにこの小説を前向きなものにとらえているが、中村航作品をいくつか読んだ上だと前向きな話というのはどうにも信じられない。実際のところどうだっていいのだが。最近気づいたのだが、自分誤読の王様といっていいぐらい誤読が多い。もうここまで誤読できるのは一種の才能ではないかと思うぐらい。これこれはこういう解釈でいいのかね? と考えたものは大抵間違っている。というか純粋にちゃんと読んでいないだけのような気がする。普通に読んでればわかるだろというような間違いだらけだし・・・。あまり下手なこと言わないほうがいい、もしくは何か解釈的なことを言う時は、こうやって間違ってもしょうがないんだってことを必死にアピールして防御を図るべきだ、ということがわかっただけ一歩前進だと考えるのだ。なんて前向きな精神。素晴らしい。防御過剰である。

まったく関係のない話だが、中村航中村光、読み方が全く一緒である。作品の方向性どころか媒体さえも別なのだがこの二人に対談してもらいたいものだ。奇跡の対談!とかって雑誌に書かれていても、立ち読みさえしないことは間違いないが。

40に見えるおっさんに学生ですか? と聞く主人公は天然か、もしくは単純に頭がおかしいかのどちらかだろう。こうして考えてみると天然っていう言葉は馬鹿と同義語である。私天然ですーというやつは私バッカでーすといっているのと同じである。なんて恥ずかしい。あなた天然ですね、といわれたらあなたバカですねと言われたのと同じである。もちろんそうなった場合ぶん殴っても文句は言われないだろう。しかし実際あなた天然ですね!といわれた時に、いやいやそんなことはない、天然ではないと否定した場合と、はい天然ですといった場合、どちらもあまりいい状況には陥らない。否定した場合は、天然は自覚がないから天然なんだよと返され肯定した場合はやっぱり天然なんだねといって話はそこで終わってしまう。だったら唯一の解決策はあなた天然ですか? と聞かれた瞬間にこれが答えだよ! と右ストレートをたたき込むのだ。これで天然でないことが証明される。

さらにはガソリンスタンドで働く主人公を、双眼鏡で毎晩覗き、さらには手紙を渡して〜〜時にラヂオ体操をしてくださいとまで言ってしまう壮絶なストーカーヒロインが登場する。実際自分の身に起こったらと考えると、相手がもし美少女だったならば考えもするがそんなことをする存在が美を携えた存在であるはずがないのでかなり真剣に恐怖を覚えて働く時間を変えてもらうだろう。主人公が割とまともではないので、まともではない人間が集まってくるのかもしれない。類は友を呼ぶってのは本当だったのだ。友は類になるパターンも結構ありそうだけれど。今どき手紙を渡すというのがなんともいえないよさがある。男が手紙を書いたらなんかキモいけど女の子の手紙ならばありだなと思えてしまう。

さらには主人公を拾ってくれた姉と、姉の友達が両方とも美人ときたもんだ。これはいただけない。まったくいただけない。何がいけないって、そんな存在が二人も家の中にいるのにリビドーを全く感じさせない主人公の描写である。リビドー感じさせまくりでハァハァとかいっている主人公は勘弁願いたいが人害系統のキャラクターもなんともいえないもどかしさを覚える。しかしそうなるとじゃあどういうキャラクタならいいんだよボケがと自分で自分に突っ込みたくなるがまあそんなの知らない。

キャラクタの話ばかりになってしまったが正直ストーリーをあまり覚えていないので仕方がない。やはり読んですぐに書かないとダメだ。このあたりで糸冬。