- 作者: 清涼院流水
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/04
- メディア: 文庫
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笑いが止まらないことの一つとして、一体この19個の密室にどんな意味があったのかさっぱりわからないところだ。そりゃ中には重要な手がかりも残されている。たとえば密室卿の使者が殺される密室十八だったり、手がかりをつかんだ人間が二人いるけれど、二人とも殺されてしまったりである。いやしかしこれは全部無駄なんだろうなあと思いながらなんだかんだいって全部読んでしまったのだから普通に面白い。いずれ殺される人の描写なんか読んだってしょうがないような・・と思いながら読んでいると、殺される人とほとんど関係のない人間の描写が続いて突然やってきたピザ配達人が殺されたりするので油断がならない。
いやいやいやしかし舞城王太郎の九十九十九を読んでずっと待っていただけに、JDCのメンバーに話が移り変わった時は全く狂喜乱舞したものだ。しかも出てきたのは絶対に推理を外す能力を持つ迷探偵ピラミッド水野という強烈な個性を放つ探偵である。何故ピラミッドなのかさっぱりわからないのだが、殺されてしまったので多分永遠に謎は解決されないのだろう。というか絶対に推理を外す能力を持つなんてすばらしく面白い能力を持っているのに、こんな10ページぐらいしかない短編で使い潰されてしまってショックなどというレベルではなかった。ピラミッド水野が殺された時に本気でちょっっちょっと声に出していたのは自分だけではないだろう、きっと。そうであってほしい。しかも十九人も殺しておきながら、事件はまだ本当には始まっていないというではないか。いったいどういうことなのか今からわくわくが止まらない。