- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/11/05
- メディア: 文庫
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五編の短編によって成り立っている。一つにつき一人、殺人事件が起きてミステリー要素としては密室やらダイイングメッセージやらがより取り見取りである。いろいろな謎が見れるのがミステリ短編の醍醐味でもあるのだが、一冊につき五人も死ぬわけだからなんとなく違和感は拭えない。一つの短編がいうならばコナンのアニメ1話なのでコナンを5話連続して見た時のくどさといったら伝わるだろうか。いや、面白かったんだけどね。トリックも凄く素朴で思いつきそうなものなんだけれども、どれ一つとしてわからなかった。こういうのも本格推理小説というのだろうか。定義がよくわからん。うん、キャラクターも面白いはずなのだが大阪弁が思うようになじまず、その点は残念だった(作品が、じゃなくて自分が)。本書はどちらかというとトリックを基調にして読ませるというよりも人間関係の面白さを書くような作品なのでキャラクタを楽しめないのは致命的なような気がするのだがそれでも面白かったのは何故なんだろう。義理と人情に生きている大阪(偏見)そのものを読んだような気がするからだろうか。動機ひとつとっても何か違うな、というのを感じ取ることができる大阪の特殊性とでもいうべきか。何の気はなしに読み始めたので作者が東野圭吾だということに読み終わった後に気がついた。他の作品とまるで雰囲気が違うあたり、東野圭吾の芸の細かさを感じる事が出来る。