基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

トップラン〈第1話〉ここが最前線/清涼院流水

 サブタイトルやら表紙から、清涼院流水が書く戦争ものが読めるのかと期待したがもちろんそんなことはなかった。この表紙の絵というか雰囲気はとても好きである。ストーリー的には、主人公が相手側のだす課題をクリアしていき莫大なお金を得るというカイジやらライアーゲーム的なノリである。ただし作中ではまだ主人公の価値を測るという俗にいう零崎の人間試験的ノリ。この先どうなっていくのか今のところ予想がつかない。またいつもの通りこの物語も世紀末から始まる。言葉遊びは控えめで、そういう場合結構世間の評価はいい傾向があると思うのだがこれに関して言えば可もなく不可もなくといったところか。流水先生以外の作家だったら、作者の評価が高かろうが低かろうが正直どうでもいいのだけれどこの場合気になる。なんでかなー。好きな作家はやっぱり売れてほしいんだろうか。とりあえず現時点で気になることといえば、登場人物紹介のところに全部女子大生?とかOL?とか会社員?などのように、全部はてながついているという点。この先実は女子大生は世をしのぶかりの姿で実は全員悪の秘密結社の手先だったのだー! とかいう大どんでん返しが無きにしも非ず。

 前半部はキャラ紹介やらなんやらの、本当の導入部でそこには幸せに暮らす六人の家族が書かれている。こんなに仲の良い家族を読むことも見ることもないので何だか読んでてほんわかした気分になった。さて、問題は後半部である。人間の価値を測る心理テスト、TOPRUN TESTを受けることになる。がしかしこれがまた御大のダメなところというか、人気のでない理由というか読者参加型企画はもういいよと言いたいところである。33問の心理テストを主人公が受けるというだけならまだしも、全部の質問を書いて、しかもそれに一々主人公が自分の感想やら考えをつけ加えていく。それが33回繰り返されるので恐らく大多数の読者はこの時点でこの本を読み始めたことを後悔したと思う。また質問が全部書いてあるので読者も自分の価値をはかることができる。いやでもこれはこれで心理戦の一環なのだから、批難するのはおかしいな。

 この一つ一つの質問に主人公が悩んで答えを出していくという形式が御大は好きなのかなぁ? 秘密室ボンもなぞなぞを主人公が延々と十何問も解いていく話だったし、秘密屋も一つ一つの都市伝説に説明をつけていくし、コズミックも前半部で延々と十九人を一人ずつ殺していく。別にその形式は悪くないのだけれども、本当に必要があったのか? という疑問が読み終わった時に常に付きまとう。今回でいえば33問全部に主人公が悩んで回答を出すのに意味はあったのだろうかと。いや多分無いんだろうが。真の流水ファンならば意味のないところにこそ意味を求めなければならない! 死中に活を求める。なにはともあれ二話に期待である。