基本読書

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8の殺人/我孫子武丸

8の殺人 (講談社文庫)

8の殺人 (講談社文庫)

 かまいたちの夜のシナリオ担当が我孫子武丸だと聞いてずっと読んでみたかったのだが、やっと読む事が出来た。清涼院流水もそうだが、我孫子武丸もまた京都大学ミステリ研に所属していた人間である。推理小説大好き人間に共通しているのかもしれないが、コズミックもこの8の殺人もやけに他のミステリ作品の話題が多い。それから密室講義。一回読めばわかることなのに、色々な作品でこの密室講義をやらかしてくれる。そうなるともう二回目だし、密室講義にそれ程幅があるわけではないので非常に退屈である。島田荘司本格ミステリー宣言も、内容自体は面白いのだがいかんせん本格がどうとか、ミステリがどうとかの話に興味が無いのでなんともいえない。この本の解説でやるべきことだったのだろうかと少々疑問に思う。

 ああしかし全体的にうまくまとまっていて普通だった。Amazonのレビューを見るとすぐにトリックがわかった、とか書いてあるけど全然わからなかったよ! これがヒントだよー! と凄い強調されているヒントが次々と出てくるのだが、それを一つに結びつける力が足りない。というか考えていないような気がする。一気に読んだからなぁ、読みながら考えるのはまだつらい。トリックには素直に感心した。解決編は先に述べたように、密室講義がだらだらと続いてテンポが悪かったが問題編が面白かったのでとんとんぐらいである。問題編は探偵の三兄弟の面白さ、さらには間抜けな探偵の部下をそのままあてはめたかのような木下と恭三の馬鹿なやりとりでさすがは我孫子武丸と思わせてくれる。かまいたちの夜でも、笑える場面は結構あった。どこまで我孫子武丸が書いているのか知らんが。

 うん、ていうか他に書く事はないな。建物についてでも。八の字になるように家が作られているというが、縮尺がわからんので本当に可能なのかどうかわからん。ボウガンの飛距離もよくわからないし、想像していた家の広さと実際にここで展開されている家の広さが多分かなり違っていた。推理するのって本当に難しいと思うんだけどなあ。森博嗣とかはほとんどのミステリは普通に読んでいると犯人がわかるというし・・・。ミステリィをたくさん読むことによってパターンが読めるっていうのはあると思うんだよなあ。たとえばアパートで殺人事件が起きたならばまず部屋を間違えていたり、エレベーターに細工をされているのを疑えとか双子が出てきたら入れ替わりを疑えとか。それから犯人の傾向も数をこなすことによってわかってきそうだ。一番最初に犯人かもしれないとあげられる人間は間違いなく犯人じゃない! とかは基本だが。そもそも数をこなして傾向を知ればなんとかなる、自分はまだ数を読んでいないだけだというこの軟弱で卑屈な姿勢がすでにダメなのではないだろうか。対決していかなくては!