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ハチワンダイバー名言集──名言で振り返るハチワンダイバー

ハチワンダイバー 10 (ヤングジャンプコミックス)

ハチワンダイバー 10 (ヤングジャンプコミックス)

 もうすぐ十巻が発売されるということで、ちょうどいい区切りなのでハチワンダイバー1〜9巻までで名言集を作ってみる。十巻が発売されたらここに追加して、ただの名言集にする。谷仮面エアマスターの頃から柴田ヨクサルのセリフが一番脳に残る。舞台を将棋に移した今でも色あせることはなし! 正直どのセリフも印象的すぎて全部残したいぐらいなのだが、さすがにそれはいかん。また名言も柴田ヨクサルの絵があってこそ映えるものがたくさんあって、絵が無くなるととたんに寂しくなってしまう。まあ適当に。ああ、ついでにちょっとだけ振り返る感じで。ああ、あと複数の人間が喋るところは色分けしてあって、主人公の菅田は基本青、その時喋ってるメインの相手は赤、外野は緑。以下に続く

第一巻

 このコの事を 
 少し・・・
 わかった気がする
 最初から強かったわけじゃない
 彼女もまた 針の筵を敷き詰めたような 道を歩いてきた

 菅田が真剣師としての道を行くことを決意するきっかけ。受け師との目隠し将棋で彼女もまた将棋に人生をかけてきた人間であると気がつく。

 プロを目指していた頃の・・・ 師匠の言葉を思い出す
 「おまえの将棋は浅いんだよ、浅瀬でパチャパチャやってる将棋だ」
 「どういう意味でしょう?」
 「もっと潜るんだよ ココに!」
 「この9×9 81マスに 潜るんだよ!」
 「でも師匠?」
 「その自信は買ってやる」
 「どこまでも どこまでも深く深く 深く!!!! この盤に潜るのが将棋指しだ!」

 タイトルの意味が初めてわかる。ここから最後までの流れは圧倒的。

 「おまえ 名前は? 負けだ」
 「コイツ やりやがった」
 勝った・・・ この感覚は・・・
 潜った!!!! 81マスに!!!!
 「おまえの名前を聞いてるんだ おぼえておいてやる!」
 「・・・・・・・・・・」
 自分でもなんで・・・ そんな事 言ったのかわからない・・・
 「名前だよ!!!!」
 ハチワンダイバー
 伝説がはじまった

 一巻を買ったら多分ここで誰もがひきこまれるだろう。菅田ハチワンダイバーとして覚醒。ナレーションの伝説がはじまった、でテンションは最高潮に。ここで一巻終り。

第二巻

 「おまえに・・・ 小僧に・・・
 オレの気持ちはわかるまい・・・ 長い事誇り高く生きてきたつもりだ そのオレが恥をも捨てる
 この気持ち」

 「そ・・・ それがオッパイ」
 「そ・・・そうですか・・・ そう・・・ そうですか・・・ なるほど ただの冗談では ないんですね
 「当然だ」
 「でも 100万ぽっちじゃ釣りあいません」
 「ボクもオッパイで ・・・じゃなきゃ こっちも・・・ 本気になれません!」
 「いいだろう」

 二こ神戦。100万円と引き換えにおっぱいを揉むと宣言する二こ神にたいして100万程度じゃ足りるかい! 俺も揉んだるわ! と意地の張り合い。どう考えても100万の方がいいと思うのだが彼らにはそんな考えは微塵も見当たらない。

 オレが すんなり勝った将棋なんてごくわずかだ
 いつだって 粘って粘って 観てるものが「なさけない」と思うほど粘って勝ってきた!

 二こ神さんの戦い方。その言葉に恥じない闘いを見せてくれるのかと思いきや、このあとさっくりと菅田に一撃で戦意を折られてしまう。だがこの戦い方はのちのプロ復讐戦で存分に発揮されることとなる。

 僕は一度も女の人のオッパイを揉んだ事がありません なぜなら・・・ なぜならですね
 将棋で負けた時の悔しさが世の中の どんな感情より勝るからです
 だから将棋で負けるたびに 次は負けないように
 僕はただひたすら将棋だけをやってきました!!!!

 一巻でも言っていたように将棋だけに人生を尽くしてきた。と前置きしたうえで、それでもやっぱりどうしても揉みたい! と正直になる菅田。非常に正直で好感が持てる。人生を賭けてきた将棋も、オッパイの魅力にはかなわねーよ! というすべての本質を表している名言である。だがそれを見越した二こ神さんにてめーは揉んだら将棋弱くなるぞ! といわれ揉めず・・・。

 「''将棋''というゲームをオレが どの程度わかってるかって事だろ」
 「そうです」
 「5%くらいかな 残り95%は未知だ」
 強い この人
 「''将棋''はとてつもなくデタラメに深い」
 そうだよ
 「''将棋''というゲームは 神様がいるならきっと神から人間への贈り物だ」
 「''将棋''を100%理解できたら どうなると思う?」
 「え」
 「もうそれは 人間じゃない」
 「神のとなりに 座れる」

 文字山戦。漫画家でありながら将棋指しでもある文字山は、漫画と将棋は同じぐらい深いという。なるほどなるほど。のちに命を賭けるまでに将棋バトルの賭け対象はつり上がっていくのであるが、文字山戦にその段階を見ることができる。オッパイを賭けた次は人生を賭ける。なんだかまともなものを賭けてないな! これを初めて読んだ時は将棋すげー! と純粋に感動した。しかし将棋で新しい戦法が生まれて、また淘汰されていく様とかはまるっきりダーウィニズム的だなあ。これにて二巻終了

第三巻

 あきらめちゃ・・・負け
 じゃああきらめなきゃどうなる?
 先生の 勝利ナル!
 勝利っ 「あきらめなきゃ」 『勝利』っ!!!!

 続文字山戦。も、文字山せんせえええ。この後なるぞうくんたちの声援により文字山先生復活。だが負けてなるぞうくんはハチワン君に差し替えられてしまう。

 「「なるぞうくん」をやめないでくださーい!!!!」
 「ボクは「なるぞうくん」を読んで将棋をはじめたんです!」
 「キ・・・キミ達・・・」
 「オレは ガキ共が何やかんやで頼んで それに感動してホームラン打つような野球選手じゃないんだ だから描かない ゴメンな」

 意外とたんぱく・・・。だがこのあとなるぞうくん達の呼びかけにより書いてあげることになる。やっぱり優しい文字山先生。そういえば森博嗣も、声援が作品の質を高めることなんてありえねーとかなんとかいっていたが似たようなことか。違うな。三巻終わり。

第四巻

 人間は大小あれど何かに力を発揮する おまえは''将棋''!
 コツコツと堆く積みあげてきたハズだ
 自分の才能を将棋一点に賭けた
 そしてお前の将棋の力はここまでになった・・・としよう
 だがココに追いついてこれるものが 一つだけある なんだ?
 女だ
 女だけは必至で積みあげてきたもののとなりに一秒で座る
 男にとって鬼門は女 女にとっては 男だ

 さすが二こ神さんはろくに禿げてるだけじゃないよなー。ただのホームレスかと思いきや名言製造機になってるし。

 二こ神さんがヤクザ同士の代打ちで負けて、命を取られそうになった時に必死で命乞いをしたという話のあとに

 でもこれは辛気くさい話じゃないんだよ 生きてりゃ誰にでも起こる事なんだ
 その時になったら皆わかる
 それでも 何より コイツなんだ・・・
 将棋だけはやめられない

 プラネテスでの名言 愛し合うことだけはやめられないんだ、を思い出す。それにしても上のセリフ、のちの菅田の悲惨な展開を思うとしみじみとするなあ。

第五巻

 「また・・・ 雑念が入ったみたいだけど・・・」
 「心配に及ばず」 
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 「盤の前に座ってしまえば・・・」
 「背景は消えていく・・・」
 「あなたがゴチャゴチャ言った一切何もかも」
  「全部忘れてしまう」

 前回敗戦をきっしたキリノへのリベンジマッチ。二こ神の元で修行し、明鏡止水を会得した今の菅田には雑念など入り込まない。でもやっぱりおっぱいだけはダメでした。

 「ハチエンダイバー 前回の君はね」
 「8円の将棋だった フ・・・ おぼえてるよ 最初から ヘンな名前だったから」
 ハチワンダイバー
 「負けました」

 キリノに勝利。

第六巻

 「俺は 今 神様が何者なのか探ってる」
 「将棋を指していると 稀に・・・ 神の領域に入る事がある」
 「断言する 将棋を指していると 神の領域に… 入る事が ある」
 は?・・・
 「こんなクソみたいな世界をつくった 神サマって何者だ?」
 な・・・何言ってる?
 「神に会ったら言ってやる」
 「いいかげんにしろ バカヤロオ」

 神に喧嘩を売ろうとしているスミノさん。その手段として将棋を使っているのだが、どうなるやら。将棋を指しているうちに神との対話が始まっちゃったりしたら凄くSFっぽいなあ。でもそんな展開にはならないだろうなあ。文字山との戦いでも出てきた「神」というキーワードはこのあとどうなっていくのだろうか。

 「将棋を指す意味が 少し ボヤける」

 菅田の名言。将棋ゲームのボスを倒してくれという依頼を受けた時、勝ったらお金を手に入れて、負けてもリスクはないという依頼主に対して自分にもリスクはあるといった時のセリフ。哀愁漂う絵がかっこいい。

第七巻

 ぼくはプロ棋士ではありません でも僕の
 人生は将棋なんです

 将棋だけに人生を賭けてきた男だからこそ言えるセリフである。プロ棋士になれなかった人間でも、人生を将棋に捧げているというところがすさまじい。

 ドロリと欲が出てしまっているんです

 ゲーム将棋少年。あとちょっとで勝てそう、あとちょっとで目標が達成できそう、そんな状況になると余計に欲が出てくるものだ。

 桂馬に追われる
 夢を見な

 菅田らしくなく格好いい場面。まるでまたつまらぬ物を斬ってしまった・・・のセリフを言う五右衛門のようだ。もしくはキメセリフをいうヒーロー

 不条理という沼だ そこでは常識がまるで通用しない
 少しはつかめてきたか? 常識という巨大ビル群と その最悪の底なし沼との間には
 薄氷一枚
 透けて見えるほど薄い氷があるだけだ 毎日何万人単位で足下の氷が割れて 人生がぶっ壊れる
 男女年齢善人悪人関係ない 誰だって突然そこに落ちる可能性がある
 地球を想像しろ それが この世界だ 今・・・ここにいて幸せか?
 落ちたんだよ お前の足下の氷は…
 砕けた

 二こ神さんが言っていた世界が現実に。今まで薄氷一枚で隔たれていた別世界へ、急遽落下してしまう。ここからハチワンダイバーの世界で、将棋はただお金のやりとりだけでなく命のやりとりをする道具に変貌する。ルールが変わった世界で菅田はどう生き残るのか…! というところで七巻お終い。

第八巻

 第八巻は特に名言のオンパレード。菅田初の肉弾戦もあるし、やっぱり命がかかってるとセリフの重みも違う。

 命が賭かっていようが
 小指が賭かっていようが
 何が賭かっていようが
 忘れるな!!!! 僕は何で出来てる!?
 情けないほど将棋だろ!!!!
 将棋を抜いたら価値は0
 そんな人間が・・・
 将棋で引いて 何様だ!!!!

 命をかけた戦いというレベルに踏み込むことによって菅田、新たな次元へ。

 自分で自分の愛する人間だけは・・・他の人間はいい
 自分の愛する人間だけは最低限、絶対守るのが
 おまえの ささやかな世界 平和だ
 その腕力がなくてどうする
 度を越した人間とは最後は肉弾戦だ戦う時は戦うんだよ
 奇声をあげながら 原始人のようにな

 かっちょええスミノの名台詞。極真空手の始祖、大山倍達も同じ事を言っていた。しかしこれは将棋漫画だったよな?

 これが・・・戦いですか これがっ
 これが肉弾戦ですかっ!!!!
 痛いだけじゃないですか!! こんなもんですか!!!!
 これなら
 将棋の方が 何倍も
 痛い!!!!

 菅田が将棋の思いについて語る時はいつだって名言だなあー。将棋に人生賭けてるやつの言う事はさすがに違う・・・。このあとマムシジェロニモと呼ばれているのはなぜかとかいう話が入るが割愛。菅田ぐらい将棋に人生賭けられるならまだいいけれど、マムシのように中途半端なのも痛い・・・。

 弱い人間は弱い場所で暮らせばいい 将棋に限った事じゃない
 どの分野でも上で戦うには
 夢を見たいなら 
 才能 
 努力
 なんでもいい とにかく 
 実際 
 テメェの 
 体の 
 中に 
 ハッキリ 
 実力が必要なんだ

 マムシこんなことまでいわれたら死んじゃうから、死んじゃうから。とここで八巻終わり。

第九巻

 生きてくださいよ

 菅田の叫び。ジェロニモと呼ばれ鬼将会にはじかれたマムシとプロにはじかれた自分のどこに差があるのかという心の叫びからのセリフ。圧巻。

 でもそんな事はどうでもいいんだ 俺やおまえが死んでもあの世なんてちっとも面白くないんだよ
 死んだら将棋が指せん それだけの事だ
 だから俺は生きている
 どん底をなめて 負け犬と自覚して 負け犬のまま生きろ 最悪のまま生きろ
 おまえは 負け犬だ そしてまた将棋をっ 指してみろ
 戦法や勝ち負けだけじゃない 将棋はまだまだいろんな事を教えてくれる
 負け犬のまま生きて将棋を指し続けろ
 そしたらおまえは気づく 何も 負けていない事に
 まだまだ 先は長い事に
 一局指すか

 死にかけたマムシに菅田が案内したのは二こ神さんの家だった。二こ神さんはギャグからシリアスまでこなすいいキャラだなあ。さすがに登場人物の中で一番年食ってるだけはあるよね。かつて栄光を誇って、今はホームレスにまで落ちぶれている二こ神さんだからこそ言えるセリフである。そして何もこのセリフは将棋にかぎったことじゃなくて、将棋の部分を別のものに置き換えても何の問題もないからこその名セリフだよなあ。そして、マムシはまた生きることにしたのだった、めでたしめでたし。

 さて、そのあとおっぱいがおっぱいしたり菅田をエサに鬼将会を釣ろうとしたらエサだけ取られたり家が焼かれたりへんてこな場所に連れて行かれたりして九巻終了である。いやー十巻が待ち遠しいなあ。こんなしょーもないものを書いてしまうぐらいには待ち遠しいなあ。

第十巻

 まるでカイジのようなひどい地下闘技場に放り込まれてしまう菅田。無一文となった状態から必死に這い上がる。この巻を読んで実は菅田が強いってことを思い出したわ・・・。まわりが超人ばっかりですっかり忘れていたけれど。菅田の快進撃+圧倒的成長が始まる。

 コーギー牛乳が 血管を流れていく」
 コーギー牛乳が血管を流れたら死ぬぞ」
 「タオルください」
 「アイ ラブ 将棋」
 「おまえ将棋指したら なんだ さっきと顔がまるで ちがう…」
 「ここからが 僕の本業だ」
 「ぼ・・・僕の ぼ・・・」
 「僕の名前はハチワンダイバー!!!!」
 「全員相手してやるからかかって来お─────い!!!!」

 菅田覚醒。本当に将棋の事となるとまるで別人とかす。 

 「軽口一言で人は死ぬ事もある」
 「ハん?」
 「あなたは・・・軽々と・・・人の心を・・・えぐった 本当に・・・簡単に」
 「それが?」
 「私が勝ったら 死んで」
 「オレ?」
 「・・・・・・・って言いたいところだけど それだと鬼将会への攻めが切れてしまう そしてアナタへの罪はもっと重い」
 「私が勝ったら 鬼将会のアジトに案内してもらう」
 「想定内…」
 「私が勝ったら 私は… どれだけかかろうと歩いてアジトへ向かう あなたが案内する ただし あなたには…」
 「這って行ってもらう」

 間違いなく本書でボルテージが一番MAXに駆け上がった場面でもある。めちゃ燃えるぜ〜ちくしょお。普通考えないもんなー。這っていくか・・・。

 「今の俺とオマエ 周りの人間から見たらどう見える?」
 「わからない 一回さ 一回ちょっと集中させて 集中する!」
 「俺たち」
 「ショッカーのアジトにもぐり込んだ仮面ライダー1号2号に見えるだろうよ」
 「見えない 知らない 見えない 知らない 見えない」
 「オレが1号オマエが2号」
 「………」
 「いいか」 
 「鬼将会を乗っ取るぞ 俺とオマエで」

 文字山いい味出し過ぎ。やっぱり脇キャラの存在感の強さこそが面白さの一端をになってるよなー。エアマスターの最後の全員バトルロワイヤルなんて本当にどのバトルも興奮したし。かっこいーぜ文字山さん!