クリスタルの陰謀―グイン・サーガ(8) (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1981/10
- メディア: 文庫
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今のところ面白いと感じているポイントは、パロの人たちが「あのおとなしいレムス…」とかいったりしているのを読んで、心の中で(レムスはもう王の風格を備えてきているから、戻ってきた時にこいつらが驚く描写が楽しみだな)っていうのと、パロの人たちが「豹頭の男だと? そんな奴がいるはず無かろう」みたいな話をしている時に(しめしめ、こいつら実際にグインが姿を現した時にどんな反応するんだろう…)という楽しみで読んでいます。なのでとりあえず双子のパロ帰還がもっぱら最大の楽しみですね。しかしこの楽しみ方はかなりパターン化されたものだと思うんですが、うまく言葉にできない。二場面で話が進行している時に、片方が知らない情報を読者(神)は全部知っているんだぜ、という優越感からくる面白さだと思うのですが。
執拗な運命描写
七巻ぐらいまではすぐにヤーンの神がー! とか、俺たちはこの先〜〜なるような気がする…みたいな運命描写がうぜぇなあお前らどこの少女マンガの住人だよと思いながら読んでいたのですが、よく考えたらこれはこれでありだなーと。
物語に一本軸を通すのは通常の場合『テーマ』や『主人公の最終的な目的』ということになると思うのですが、グイン・サーガほど長大な物語になると、ゴールを見据えた発言をしてもそれはあまりにも先のことで、物語をまとめ切れない。だからこそ、とりあえず途中の中継地点とでもいうような場所の予言発言を繰り返すことで、物語に短い軸を何本も通しながらの進行ならば、運命発言は非常にお手軽な指針となっているわけであって。最終的な終わりはわからないけれど、とりあえずイシュトヴァーンは王になるみたいだからとりあえずそこを目指して読もう、みたいな。