基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

時間的無限大

時間的無限大 (ハヤカワ文庫SF)

時間的無限大 (ハヤカワ文庫SF)

 これは、凄い。本書『時間的無限大』はたとえるならば豪華なフルコース料理とでも言ったところか。とにかく豊富なアイディア、SF理論ががしがし出てきているのがその理由だ。ワームホールを利用したタイムマシン、1500年後の未来から来た『ウィグナーの友人』を名乗る未来人、異世界人からの侵略、異星人と戦う人間ども、特異点大統一理論ドライブ、生きた宇宙船・・・などなど。久しぶりにSFっぽいSFを読んだなーという気にさせてくれる超ド真中のSFだ。物語自体もかなり大味だったように思う。何か起こるたびに『因果律のゆがみだー!』とか叫ぶキャラクターがいるかと思えば、滅茶苦茶スケールのでかい革命の話をする『ウィグナーの友人』達に度肝を抜かれるし、どっかんどっかんって感じ。因果律のゆがみがー! って叫ぶのは多分状況的には正しいんだろうけど、大人がその言葉を連呼しているとギャグにしか見えないんだよなー。別の例でいうと、エヴァンゲリオンでゲンドウさんとかが真顔で中二的なセリフを吐くところもげらげら笑ってしまうし。いや、どちらも凄く面白いからいいんですけどね。あと作中で、スターブレイカーとかいう超凄い武器があるんですよ。どんぐらい凄いかって言うとね、文字通り星を破壊しちゃうぐらい凄いんですけど、いい大人がスターブレイカーだー! うわああ! みたいに叫んでるのが凄い面白かった。本書は、こういった大味なところを楽しみながらもハードSFとしてちゃんと成り立っているところが素晴らしいと思う。