ほとんど愚痴みたいなものなのですが、最近…具体的には、ここ二三カ月におけるはじめの一歩の展開が少々ひどいんじゃあないかと思うんですよ。ひどいっていっても色々ありますけれども、ひと言でいうならば、グダグダの極みです。擁護する言葉が見つからないぐらいグダグダ。なんでこんなことになってしまったのか。わたしはね、一歩は好きなんですよ。引き伸ばしだなんだと言われても、現在やっている「ウォーリー戦」が始まるまでは楽しく読んでいたし、始まってしばらくしても楽しかったです。それがおかしくなり始めたのはいつからだったか……。
プロローグ
ことの始まりは昨年の8月末にゴングが鳴った「一歩vsウォーリー」戦です。ウォーリーはどっかのジャングルで猿とおいかけっこが出来るようなチートキャラで、戦う前からその人間離れした運動性能がヤバイ!! とみんなビビったりしていましたが、まぁそうはいっても一歩さんだって今まで並みいる強豪たちをKOしてきた怪物です。いつもどおりに練習していれば勝てるでしょう。とかなんとかやっているうちに、ついに本番を迎えました。悲劇は、ゴングが鳴ってから起こったのです。
ゴングが鳴った。
知らない人もあまりいないと思いますが、主人公である一歩さんはパワーファイターで、身軽さで勝負するというよりかは相手のパンチをさばきながら、その大砲のようなパンチで相手をKOするボクサーです。対するウォーリーは、その類まれな身体能力を生かして一歩に高速で近づいてパンチを放ちます。それをなんと、しょっぱなから一歩さんは今までの経験を生かしてすべて捌き、逆にパンチを放ち、それがカスってウォーリーをダウンさせます。
おお、さすが一歩さんだぜ
このまま決めてくれるだろうな一歩さん、あんたには戦わなきゃいけないライバル達が大勢いるだろう、と誰もが思ったことでしょうが、しかし、さすがにそこで終わるはずもなく、ウォーリーは平然と立ち上がり試合はリスタートします。まあカスっただけですからね。
問題はこの後で、一歩がウォーリーをダウンさせたのは昨年の9月9日。その後、なんと今週(2月24日)にいたるまでに一歩がウォーリーに対して出来たことといえば、「ピチ」と相手に触るだけのパンチを合計六発当てただけ………。その間、ウォーリーさんも突っ立っていてくれるわけではありません。じゃあ何をしていたのかと言えば、
ウォーリーはその身の軽さを生かして、一歩を何百発も殴っていました。
いや、誇張表現でもなんでもなく、本当に何百発も殴るのです。何しろ9月から2月まで殴られっぱなしですので、一週間に十発殴られている計算だとしても(実際は1コマで5発ぐらい殴られているように見えるのでもっとあると思う)170発はパンチを受けています。しかもそのほとんどを顔面に。そんなバカな! 素人の私だってたぶん170発も人の顔面を殴ったらKOぐらいできるでしょう。ていうかそれいぜんに、体力が持たないでしょうけど。
ここ数週間、ようやく一歩さん反撃のフラグが立ち始めたんですが、そこに至るまでに約15週間、いかにウォーリーが強いかの描写に使い続け、その間ずーーーーーっと一歩さんは顔面を殴られ続けているのです。しかも反撃フラグといっても、パンチをもらいながらなんとかして相手の体に「触る」というもので、「今5Rだから5回触ろう……」「次は6Rだから6回触ろう……」っておおい!! 浸透頸の使い手かなんかじゃない限り触っているだけじゃ敵は倒せねーってばよ!!!
もちろん後にパンチを当てる為の伏線ではあるんでしょうが、少なくとも15周もかけてウォーリーの凄さを描写する必要はまったくないわけです。そんなことは描く前からわかっているだろうに、なぜ延々と一歩が殴られるだけの場面を描き続けてしまったのか疑問です。途中何度か休載もありましたし、いつもの半分しかページが無い時もあったりして、ジョージはんも疲れてんのかなーとも思います。いったん、ウォーリー戦を終わらせて休んでくれ!! というのがわたしの望みです。
どうしてこうなったの?
ほとんど無敵キャラのようなウォーリーが出てきてしまったのも、ある意味仕方のないことなのかもな、という気もします。今の一歩には事実上敵がいない状況で、いったいどういう敵をぶつければ倒すことが出来るのか想像できなかったんですよね。こちらのサイトでは「一歩を負けさせることができない」点についての考察が行われています。
少年漫画の『爽快感』について、または『はじめの一歩』の構造問題
要約すると、最初はいじめられっ子が自慢のパンチで強敵をなぎ倒していくところに爽快感があったのに、チャンピオンとなってしまった一歩にはもはや勝手当たり前の試合しかなくなってしまって、構造的に負けさせることが出来ないキャラクターになってしまった、ということです。
なんとかして一歩を苦戦させるようなちょーすごい新キャラクターを作ったら、思いのほか強くなりすぎて倒す方法がわかんなくなってしまったとか、そんなところかもしれませんね。
なんとかして現状を解釈する。
1.何百発もパンチを当てて倒せないウォーリーは実はボクサーとしての才能がないのではないか説。
今週号にて、勉強する為に手加減していたことが判明したのでこの説は却下。もし次週以降も一歩を倒せないようならウォーリーは自身最大の弱点、「パンチ力が皆無」ということを世間に晒してしまうだろう。それがウォーリー終了の時だ。
2.実は一歩は『ハンター×ハンター』の王なのではないか説。
そう考えるとすべてが繋がる。つまりネテロ会長=ウォーリーだ。ウォーリーはいくら一歩にパンチを打ってもダメージを与えることが出来ず、ネテロ会長も王にダメージを与えることが出来ない。ウォーリーは実は今、猛烈に焦っているのだ。どれだけパンチを放っても倒れない怪物一歩を、どうやって倒したらいいのかがわからなくて。この奇妙な相似通りに物語が進むならば、次週ウォーリーの足と手は吹き飛ぶだろう。
はじめの一歩(1) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (1532巻))
- 作者: 森川ジョージ
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