本屋でうろうろしていたら、『さすらいエマノン』をみつけた。1200円かー、ちょっと高いなぁと思って、買おうかそれともここはスルーしようかしばらく迷う。が、迷うぐらいなら買ってしまえ! えいや! とそのままレジに持って行ったんですが、やっぱりねー、鶴田謙二の描くエマノンはねぇ、もうさいこう! エマノンの容姿は、シンプルなセーターにジーンズ、ストレートのロングヘアー、鼻の頭にはソバカスがあって、それがまた一つのアクセントになっている。暇さえあればだるそうにタバコを吸っている姿も印象的で、思わず読んでいるこちらもタバコを吸いたくなってしまうんですなぁー。エマノンがタバコを吸っている姿っていうのはね、おいしそう、っていうんでもなく、加えている姿が自然で、絵になるんですなぁー。
そんなわけで、前作『おもいでエマノン』から約二年。中間報告的なムック本『さすらいエマノン』が発売されました。原作は『黄泉がえり』などで知られる梶尾真治。ストーリーは、前作同様、特別なことは何もおこりません。地球に生物が生まれてきてからの全ての記憶を持つエマノンが旅をして、誰かと出会って別れていくまでの物語です。さらに今回はムック本ということで、ウリはフルカラー&サイズがなんとほぼ原寸大。さらに描き下ろし表紙イラスト、これがまた良い。エマノンは30億年も生きてきたわけであって、そのスパンから考えれば服を着る文化なんていうのは、ごく最近のものに思えるんじゃないかな。だから裸でも堂々としている。エロくないんだけど、美しい、というよりかは、凄くナチュラルにうつる。
鶴田謙二さんの絵はやっぱり凄い。どのコマを観ても、細かいこだわりに満ちている。たとえばその表情。エマノンは30億年も生きてきているのだから、感情の起伏がとぼしい。だからエマノンの表情もあまり大きく動かない。でも、ほとんど同じような表情が出てこない。そうやって、表情からストーリーが伝わってくる。構図を見ても凄くて、どの場面をとっても表紙にできそうなほど絵になっている。そのどれもが、ほとんど理解の外にあるようなこだわりで、まいっちまいます。おもしろい。
EMANON さすらいエマノン Episode:1 (ロマンアルバム)
- 作者: 梶尾真治,鶴田謙二
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/02/24
- メディア: ムック
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