基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

Angel Beats!で一番の勝ち組は誰か

 関東では今、三話まで現在放映が終了して、今夜四話が放送されます。ダイジェストの感想を書くと、一話がうむむという感想で、二話がおおーという感想で、三話が、えぇーという感想でした。意味が分かりませんね。なんかよくわかんないけど死後の世界で目を覚ました音無くんが、なんだかよくわかんないけど死後の世界で生活しながら天使と戦ったり、いるのかいないのかもよくわかんない神様を探してぶっ殺してやる!! というお話みたいです。全体的によくわかりませんが、最近これぐらい不親切によくわからないお話もあまり観ていなかったので新鮮で面白いです。特に「神」だとか「天使」だとかを真正面に捉えて「ちくしょーどうにかしてやるぞおお」と燃えあがるような作品って、世の中にはあまり出回ってないというか最近の草食系でもなんでも、クールというか一歩引いた目線で世界を眺める人が多いのでやりづらいってこともあるんでしょうな。まあ何はともあれ「今この瞬間によく神とか天使とかの物語が出来るな」という点で非常に注目して、面白く観ている訳です。

 そういえば今日は作中に登場するガールズバンド、通称ガルデモのシングルが発売されたのでさっそく買ってきました。普通の学生がやっているガールズバンド、という感じを残しつつも商業に載せる一定のクォリティを保っていて、そのバランスが面白かったです。女子高生がやっている! しかもなんか微妙にうまくて微妙に素人っぽい! みたいな、絶妙なラインがね……いいんですよ。シングルに入っている曲が使われている一話のバンド場面は、放映当初「いきなりバンドをやられても知らないキャラクターだからハルヒみたいなカタルシスがない」とか、そういう批判がいっぱいありましたけれども、AB!におけるバンドっていうのは「日常」の作戦の一部であって、何ら特別なものではない、ということが一話の唐突なライブからはわかります。また日常的だからこそ、物語にも深く関わってくる。第三話のサブタイトルは「My song」ですし、第六話は「Your Song」第十話は「Our Song」と、歌が重要な鍵になっていることがわかりますし。しかし三話のMy Songで歌った本人が成仏してしまったことから考えると、きっとYour Songでは歌われた相手が、Our Songでは歌った人も歌われた人たちもみんな成仏してしまうのでしょう、なんか悲しいなおぉい!

Crow Song

Crow Song

Angel Beats!における死後の世界で一番の勝ち組は誰か?

 AB!の世界というのは、死んだ後のロスタイム的な扱いのようだと今のところは解釈することができます。よく「地縛霊」なんていう言い方がありますけれども、意味するところは「現世に未練があって成仏できない」。つまりそれが彼、彼女らの現状なのではないかと。そして過去にあった出来事が「許す」とか「肯定」することが出来たときに、もしくは日々の生活に慣れていってすっかり忘れてしまった時に晴れて「成仏」できるんじゃないかなーと。でもそれってゲーム的に言えば彼らはその死後の世界に辿り着いてしまった時点で、もうゲームが終わって「あなたの名前を入力して記録を残してください」っていう残務処理みたいなレベルのお話ですよな。なもんで言ってしまえば全員この世界にきた時点で負け組なのですが(いやまあきっとまだ何かあるんでしょうが)、しかしひょっとしたら勝ち組はいるのかもしれないと思いました。ちなみにここでの勝ち組とは、成仏しないで世界に残り続ける、ということです。

 二話で神を倒そうと頑張っている彼らは、武器を作っていることが判明します。しかしその作っている場所と労働条件がひどい。入り組んだダンジョン、その地下奥深くに武器製造現場はある。そしてそこにはムサイ男どもが集まって、女の子なんて一人もいない。風呂もない(多分)。土ぼこりが凄くて体調に悪そう。という最悪な労働条件の中で黙々と武器を作っているんです。私、それ観たとき「なんてかわいそうなんだこいつらは!!!! カイジでも地下ではもうちょっとマシな生活してたぜ!?」と思ったんですが、でも良く考えたらこの死後の世界において「ブラック労働条件」というのはむしろプラスに働くんじゃないかと思うんですよ。だって満足したら成仏しちゃうんだもん。この世界ではグーグルに就職するよりも毎日帰宅が終電もしくは帰宅できないとか言うブラック会社の方が勝ち組になるという逆転現象が起きているのです。

 正直いってゆりっぺとかガルデモのメンバーとか、あんな可愛い子がいっぱいいる状況で、野球とかバンドとか潜入作戦とかなんか胸が熱くなるような作戦をいっぱいやって満足しないはずがないんですよ。彼らは自分で自分の首を絞めている。神に反抗するとかいいながらリア充っぷりを神に見せつけて「やーいやーい悔しかったら出てきやがれ」という作戦なのかもしれませんが、それは骨を切らせて肉を断つ行為。彼らの命はもう長くないでしょう。しかし地下で武器を作っている奴らは違います。男だけ、一日中働き詰め、娯楽もない、太陽も拝めない、そんな状況下で日々を過ごしていれば絶対に成仏することはありません。きっとゆりっぺ達がみんな成仏しても、地球が滅びても、彼らは延々と地下で武器を作り続けるでしょう。やったね!