基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

鬼かっけぇ──BLAME!

漫画です。ちなみにid:daen0_0 さんにお借り&オススメされました。妙にそそる廃墟で高層な建築物と、無敵主人公が織りなすアクション場面が最高でした。今までdaenさんにはいくつかオススメされてきましたけれども、これを読んでいたらdaenさんの好みの傾向がわかってきたような気がします。筒井康隆、小林泰三、円城塔弐瓶勉……ここに現れる一つの共通項とは……、もちろんSF、ですがそれ以上に「私があんまり友だちになりたくない著者たち」です!(だれにもつたわんねぇ!)

その中でも特に、弐瓶勉さんは特にお友達になるのは厳しそうです。なんか出会った時に挨拶したっきり、二度と会話が成立しないような気がします。それどころか、挨拶をした瞬間にぶん殴られそうです(あくまで私のイメージです)。

まったく説明が行われない

著者の方に対してそんな理不尽なイメージを持ってしまうぐらい、このBLAME!という漫画は、不親切なんですなぁ。これ、一回読んだだけじゃ絶対に意味がわからないと思います。主人公は無口で何もしゃべらないし、周りにいる人たちも読者のことがまるで見えていないかのように、わかりやすく説明してくれたりしません。何の説明も前提知識も共有せずに、専門用語をばりばり使って、異次元会話を繰り広げます。

とりあえず二回読んでわかったお話の流れと言えば、
1.遥か彼方の超未来のお話である。
2.人々はネットにつながって、超高層体の中で暮らしていたが、災厄によりネットに繋がる権利を失い、ネットのセーフティガードのような存在から敵と診断され攻撃されるようになる。
3.主人公は「ネット端末遺伝子」を持った人間を探している。
4.主人公は何でもぶっ壊せる最強の武器「重力子放射線射出装置」を持っている。しかもどんな攻撃を喰らっても、対してダメージにはならない。確実に人間じゃない。
5.ネット端末遺伝子を持った人間が居れば、ネットにアクセスすることによって現在の人間がシステムから放棄されてしまった状態から抜け出すことが出来る(?)

あとはもうネタバレですな。これぐらいで。

全然わかんねぇ、みたいな話ですが基本的に把握しておけばいいのは、「主人公は何かを探して旅をしている」だけでいいんですよね。なので普通に読んでいればストーリーを追っていくことはできる。このストーリーの基本は「主人公が探し物をして旅をしていたらしょっちゅう誰かに襲われて戦って殺す」ですからね。ストーリーなんか、賞z機どうでもいいのです。その間ずっと建築物を異常なディティールの細かさで書き続け、無音で会話も一切しないアクションシーンの連続を「アニメのコマ割か!!」というぐらいに執拗に書き続ける。アクションに酔いしれろ! と言わんばかりです。中でも、絵の描き込みは凄まじいものがあります。

鬼かっけぇ

ベルセルク」を読んでいると、「この絵はいったい何がどうやったら思いつくんだよ……」と絶句してしまうようなかっちょいい絵や構図があるのですが、BLAME!に関するかっこよさはこれに通じているような気がします。頭の中の映像をそのまんま漫画にした感じと言うか。絵というか造形のセンスって、基本的には言葉にできないのでうまくいえないのですが……。BLAMEは特に背景の描き込みと、人間以外の気持ち悪いモンスターを描くのがべらぼうにうまい。人間性を疑ってしまうようなものを次々と描きます。背景は完全に想像力で組み立てられているような不思議高層建築物ですし、もう長いこと人間がいないので廃墟感がパネェです。無駄に背景ばっかりが画面に映るので、ひょっとしてこの人、物語が描きたいっていうかただ単に超高層建築物と廃墟とモンスターが描きたいだけなのじゃないかと疑ってしまうぐらい。

正直……

正直主人公は無敵すぎてまったく緊張感がないし、誰も知らない複雑な造語をたくさん使っているので話が難しくなっているだけで、ほんとはこの話、大したことないだろ……とも思いましたけどでもやっぱり、異常に描きこまれた虚無感漂う廃墟を、一目みたら忘れられなくなりそうな奇矯なモンスターを、超無敵な主人公が超無敵な銃で破壊しまくるのは楽しいですよ爽快ですよ。うん、特にここで描かれている建物は正直圧巻なので、一度ブックオフでもどこでもいいのでパラパラっとめくってみたらいいじゃない、と思いました。ちなみに下は一番好きな7巻の表紙です。

BLAME!(7) (アフタヌーンKC)

BLAME!(7) (アフタヌーンKC)