基本読書

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アイアンマン2を見たよ

アメコミから生まれたハリウッド映画、監督は前作同様ジョン・ファヴロー、アイアンマンシリーズ第二作。シリーズ物の2というと割と微妙な立ち位置、というのも2がつくられるのは最初から予定していた場合を除けば、1の期待が高かったからなわけであって、2ではその期待を超えて行かねばならぬわけです。しかも1が受け容れられたであろう、その立脚点を使う事が出来ないというデメリットもあります。かといって1が受けた以上、1と同じ路線でいけば人気も横ばいのままいけることもあって、2というのは安易な商売でもあります。アイアンマン2は、どうなのでしょうかね?

どこが面白かったの?

まずストーリーですけれども、これはちょっとひどかった。特に今回アイアンマンの敵として出てくるウィップラッシュという男が居るのですけど、こいつが浅い! 浅すぎる! まあどう浅いかまで語ってしまうとネタバレになるのでいいませんが、最後の最後、こいつの浅さが完全に露呈して観客は総立ちでツッコミを入れるはずです(いいすぎ)

でも、悪かったのは逆に言えばそこだけですね。特に良かったのは、1の時はメインストーリーを追う事、まあ「アイアンマンがいかにしてヒーローになったか」に軸、基盤を築くことに費やされていたので、それはそれで非常にストーリー物として面白かったのです。しかし今回2では、「ヒーローになったトニー・スターク」を描くことで、幅の広い軸、つまりテーマの展開が可能になっていたと思いました。

たとえばアイアンマンといういってみれば超常兵器を使うことによって行われる「世界平和」なんかも、この作品を追う上での重要なテーマでしょう。アイアンマンという超強いスーツを手に入れたトニー・スタークが国に呼び出されて「そのスーツ、兵器だから没収ね」と言われるのですがそのあたりの発言の応酬のシークエンスは単に世界説明になっているだけではなく、テーマの開示とトニー・スタークのキャラクター付けにもなっていてとってもよかったです。

トニー・スタークは自分のことを「抑止力だ」というわけですね。圧倒的武力によって世界中の戦争に介入する。2で問題になったのは、「しかしその中にいるのは一人の人間だ、危険すぎる」「だから抑止力には人間ではなく機械、システムを置くべきだ」というこの対立なわけです。また同時に「科学技術の進歩こそが世界を完全平和に導く」というテーマや「父と子の相克」であるとか、死の運命を乗り越えるヒーローとか、とにかくテーマとしてはごちゃごちゃでむしろそこがよかった。

あとあとやっぱり重要なのは、アイアンマンが「スーツだ」っていうところにあるんじゃないかな〜と思うんですよね。スパイダーマンやスーパーマンのような特殊な力でも、バットマンのような生身の暴力でもなく、純粋な科学技術、物作りの技術の上に成り立っている訳です。それをカーンカーン! と打ちながら、自分で作っていく場面が、アイアンマンの核を見ているようでとってもよかった。「まさに今何かが生まれつつある瞬間」って、どきどきとわくわくが押し寄せてくるんですよね。