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基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ヒストリエを読んで歴史が好きだった昔を思い出した

寄生獣などの名作を送りだした岩明 均さんの現在連載作品、『ヒストリエ』を昨日寝る前に読んだのですけどめちゃくちゃ面白くて、結局最後まで読んでからでないと眠れませんでした。 以下略
ヒストリエ』は紀元前、アリストテレスなどがまだ生きていた時代の物語です。主人公は後のアレキサンダー大王の書記官となるエウネメス。幼いころから本が好きで、図書館にこもりきりで本を読みまくり、図書館での勤務に思いをはせるなど、なんというか個人的にひかれるところのある主人公です。

この漫画を読んでいて、小学生の頃狂ったようにギリシャあたりの歴史を読み漁っていた記憶がよみがえってきました。『ローマ人の物語』が大のお気に入りで、特に意味とかも考えずに、知略でもって敵をぶっ殺しまくるカエサルに惚れこんだり、たったの数百人で何万もの相手を相手にするスパルタ兵を脳内に想像したりして、本当に楽しい読書でした。

思うに歴史の醍醐味というのは、フィクションにも劣らない物語性に加えて、やはり「過去に実際にあった出来事だ」という部分が強いでしょう。描写されている状況を読んで、見て、過去にあったであろう出来事を想像する。あたりまえの話ですけど、歴史は(恐らく)実際にこの地球で起こったことで、その場所へ行こうと思えば行くことが出来る。よくアニメで舞台にされた場所に「聖地巡礼」といって回る行動がありますけど、歴史好きはそんなことはずっと前からやっているんですよね。

しかしやはり「ローマ人の物語」などを読んでも、想像するのにも限界があるんですね。スパルタの壮絶な戦いも、カエサルの天才的な計略も、図などで頑張って説明してもらえるのですが、やはり絵の力には敵わない。何百もの兵士が、鎧と槍を持って一列に並んでいる場面も、一般市民の衣服も、何を食べているのかなどなど、そういう「想像しづらい部分」を絵で見ることが出来るというのは素晴らしいです。

というかまあ、絵で見ることが出来るとはいっても、それが楽しめるかどうかは書き手の実力が伴って初めて、ですよね。

あと主人公のエウネメスというのは、大変な読書家で博識な人物という設定もありますし、要するに「智略の人」なんですよね。頭を使って、敵と戦う。何か使いづらいものがあれば、それを使いやすいように自分で改造してしまう。この辺は「寄生獣」の流れを引き継いでいるのかなーとか思います。というか、ヒストリエは大分前から温めていた作品だということですので、寄生獣や他の作品はヒストリエを書く為の、技術、演出的な練習の一環だったのかもしれませんね。

まあ話を元に戻すと、その「智略」こそがこの作品の魅力の一つなのは間違いがないということです。このあたりうまく説明できないのですが……。たとえばエウネメスが馬に乗る際の「鐙(足場のアレ)」を考案する場面があるのですが、その際のやり取りが結構面白いのです。鐙を発明して「やったー! これで楽になったぞー!!」とエウネメスは超喜ぶんですけど、周りの人たちは「でもお前そんなん使ってたらそれが使えなくなった時馬に乗れなくなっちゃうじゃん」といってスッゲー冷ややかなんですね。

確かに20歳とかにもなって自転車に補助輪つけている人がいたら僕もその人たちのような感想をしてしまいそうです。たぶんそういう感覚なんじゃないかなーと思うんですよね、この時エウネメスの鐙を自分には無用の長物と断じている人たちは。でも後世に居る僕達は、その「鐙」が馬に乗る際に非常に重要で、誰もが利用するようになる魔法の道具であることを知っている。

よく物語では、「メタな位置に立てる読者だけが知っている情報」が、しかし「登場人物の大多数は知らない」というジレンマを生みだして面白さを演出することがあります。たぶんエウネメスの智略は、そういう面白さも一つにはあるんだろうなーと思いながら読んでいました。

無駄にだらだらと長くなってしまった。とにかくめちゃくちゃ面白い(問題は発行ペースが異常に遅いことだけ)ので、歴史好きも今まで歴史に触れたことがない人も、読んでみたらいいと思います。

本当にこれは「発明」だと思う、それぐらいの傑作です。何の発明かというと、「歴史に興味がなかった人でも歴史に引きずりこんでしまう」、つまり読者に「歴史好きの回路」を作ってしまうことが出来る作品だと言う事です。

かつて横山光輝が「鉄人28号」で巨大ロボットアニメを発明し、「魔法使いサリー」で魔法少女というジャンルを発明したのと、匹敵するぐらい凄いんじゃないかなぁと言っているということです。

このあたりの事を(発明とか)、もうちょっと深く考えられたり出来たらいいなぁと思うのですけど、もうちょっとじっくり読んでからにします・x・

オススメ!

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(2) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(2) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(4) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(4) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(5) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(5) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(6) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(6) (アフタヌーンKC)