基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

地球を所有する為にはどうしたらいいか──惑星のさみだれ完結!!

※思いつくままに書いているのでナチュラルにネタバレありまくり

惑星を砕く者の物語、これにておしまい。読み終わって、まったくまとまらないまま一応書いておきましょう。十巻、最終決戦、別れ、そして長いエピローグ。最初から綿密に計算されつくしたような構成に、もうぼろぼろ泣きながら読んだ! 感動した! 面白かった! 大好き! ということで最高でした。

それにしても──、最初から最後までブレないお話だったな、というのが読み終わって一番に思う感想でした。ビスケットハンマーによって砕かれる地球を守るために立ちあがり、逆に地球を自分だけのものにする為に惑星を砕く者の物語。最初から最後までこのあらすじにのっとって、そして最後まで完遂した。

地球を征服して自分の物にしてしまおう、という発想は昔から誰もが持ってきているものの、実際に経済を支配するのが地球を支配することだー! といってみたり、人間を全員統治下に置くことが地球を支配することだー!! と割と解釈に幅があるんですよね。その中でも「地球を所有する為に地球をぶち壊す」という発想は飛びぬけて異質で、面白かったなと。なにしろ自分で所有していないものは、破壊できませんからね。しかしこの最終巻にて、「地球を所有する」に別の解釈が生まれる。

そこに至るまでのさみだれの葛藤と雨宮くんの対比というのは、素晴らしいものがあります。さみだれは重い病を抱えていて、自分一人だけで死ぬのが嫌で地球を巻き添えにしたいのかと思いきや、病はどうでもよく、人生が幸福でも何でもなく、地球がただ欲しかったから求めた。しかし成長し、仲間を得て、幸福を知り、しかしその一方で病はある。

「病気を最初に治しておけばここまで厄介な物語にならんかったのに……」とは思うものの、そこで雨宮夕日ですよ! さみだれはある意味、だだっこみたいなものだよな、と読んでいて思ってしまいました。めちゃくちゃ止めてほしいと思いながらも、自分では止められないんですから。しかしこの葛藤が……うまく説明できないですけど、ほんとに良いのですよ。

『言ってくれただろ!! ぼくはきみより高く 飛べるって!!』と言いながら落ちていく夕日を見る時のさみだれの顔とかもうね。毎回表情が素晴らしい(顔が安定しなかったりするが)惑星のさみだれですけれども、この最終巻は最後だけあって、泣き、笑い、と表情の振れ幅がめちゃくちゃ多いです。さみだれの表情は、どれもいいんですよこりが。

最後に辿り着いた、最終巻の副題でもある『全部 きみのためにある』という所有の解釈も、ここまでの葛藤と、そして成長があったからこそでしょう。今にして、段々と成長させていく為に、二人とも凄いひねくれた位置からスタートしたのだろうな、と思いました。ほんとうに、最初から見たら見間違えるようにみんな成長しました。

そして「継承すること」もこの漫画のテーマの一つとして、描き切られていたと思います。東雲さんから雨宮夕日に技が受け継がれ、アニマはさみだれのお姉さんの子孫であり、そして何よりこの長いエピローグが現しているように、「一つの物語が終わっても、また別の物語が始まる」のだ。

まだあんまりまとまっていない上に「少年から大人へなるってどういうことだろう」という点についても色々書きたいし、全巻通しても色々書きたいのでまた落ち着いたら何か書きます。とりあえず読み終わって興奮して書くのはこれぐらいで……。※最後に判明した南雲さんの願いごとは割と今までの株を全て落としかねないぐらいのかっこ悪さでした。

成長したみんなが凄すぎて泣いた。

惑星のさみだれ 10 (ヤングキングコミックス)

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