基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

コップクラフト

Amazonより

ティラナ・エクセディリカ。異世界から来た見習い騎士。常識不足、白皙の美少女。
ケイ・マトバ。サンテレサ市警の敏腕刑事。猫アレルギーの不器用な男。
超空間ゲートで異世界とつながった都市サンテレサで、二人に命じられた合同捜査。
ことあるごとに対立し、罵りあいながらも、マトバとティラナは
共通の敵を追っていく。次第に二人の間には、奇妙な信頼が芽生えていき……。
ドラグネット・ミラージュ』(竹書房刊)が大幅改稿で完全復活!痛快無比のポリスアクション!

一巻を読んだところ面白かったです。

話を書いているのはフルメタル・パニック賀東招二さん。フルメタル・パニックはほんの少ししか読んでいないわけですが、設定とか話のつくり方がうまいなあ! というぐらいの印象でした。この本を読もうと思ったのはだからまあ、お話に期待して、というよりかは絵が好きだからですね。村田蓮爾さんの絵は最高やで!

あらすじを読むとわかるけれど、現代の都市と神話が支配する異世界が繋がってしまった世界の話。このあたりを読んで彷彿とさせるのは科学と魔術? が入り混じった『とある魔術の禁書目録』でしょうか。こっちも途中まで読んでやめてしまったわけだけれども。

まあ思い浮かんだからどうっていうわけでもないんですけど。何か適当に関連付けられるかな、と思っただけで。本作は流行の学園物でもなく、渋いおっさん(見た目)とかわいい幼女が主人公のブラックラグーンて感じですよ。ファンタジー設定が無かったらそのまんま一般向けに出来そうなハードボイルド物でございます。

口ではぶつくさと言いながらも何だかんだ言って人助けをしてしまったり人情に溢れるおっさんがまた超かっこいいんだなこれが。幼女も幼女でお嬢様ながら気が強くまた実力もあって優しい。之が良い。この二人がぶつくさ言いながらも一つの大きな事件を通してなんだかんだいって良きパートナーとして成立するまでが、本作の大まかな流れになります。

いやはや。相棒とかパートナーっていうのは、大抵なぜかいがみあっているものですがなぜでしょうな。恐らく漫才のように、会話の応酬として考えた時に最も話をぽんぽんと進めやすいのが、ボケとツッコミ、もしくは二人がいがみあっている、という状況なのでしょうか。

ちょっとしか見たことが無い「相棒」っていうドラマはまた違ったような気がするんですがね。僕が見た時はやけに直情傾向のある熱血漢となんか凄いコーヒー(?)の飲み方をする超理性的なおっさんのコンビで、これはこれで相反するでこぼこした性質からボケとツッコミのように機能しているんでしょうか。

話をこの本に戻すと、現代の都市と魔法世界が繋がってしまった、っていう設定が非常に面白いですね。現代は神話が失われてしまった世界と言えます。神話はよく世間一般に言われるような神々が〜てな狭い意味で使っているのではありません。

たとえば法廷。裁判長は何やら大儀そうな服を着ている。たとえば結婚式。花嫁は豪華なウェディングドレスを着て、大層な式典を行う。なぜこのようなことをするのかといえば、それは儀式という物語が、人間にある種の区切りを、認識を与えるからです。昔はこれがもっとたくさん、大規模に行われていたんですね。雨乞いとか。生贄とか。

ただどんどん科学的な考え方がしみついてくるにつれ、非科学的だとして多くの儀式的習慣が失われていっている。現代をそういう過程として見ることもできる。しかしどうなんでしょうね。神話的考え方が失われて、合理主義的な考え方に大勢が流れていく。そこに失われるものがあるのではないか?

無駄に長くなっているのでもう書かないですけど、合理的な思考ではない、儀式が優先される魔法世界と現代的な合理主義的な消費社会、効率化社会の対比、という形で本作は進行していくのかな、と思っています。賀東招二さんのプロットはよく練られていて最後まで飽きずに読めるし、一巻の時点じゃまだ明かされていない設定とか、これからまだまだ続けて行くぞ! ていう伏線がいっぱいあったような気がして、続きがたいへん楽しみです。

コップクラフト (ガガガ文庫)

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