基本読書

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かぜの科学―もっとも身近な病の生態

これは面白いポイントがいっぱいあって、良い本でした。

何しろいつも読む時は、良いな〜と思ったところはページの下側の端を折るのですが、今みると20か所ぐらい折ってある(笑)。その分多すぎて、一つ一つ紹介するわけにもいかないので特に面白かったところを適当に。

なぜ風邪を治療することが難しいのかについて。科学も発展したこの時代なら、風邪を治療することぐらいわけがないように思えます。本書によれば、風邪の治療が難しいのには、二つの理由があります。まずウィルスの数があまりに多く、いくらでも変化し、曖昧な状態を保っている。

ウィルスが自分を複製する時に、必ず誤りが発生するので「抗原連続変異」といったプロセスが起こり、凄まじい勢いでウィルスが変化していき、さらには変化したウィルス同士が組み合わさってさらに新しいウィルス株が生み出されるのだといいます。

これ、凄いですよね。ちょっと想像できないぐらい凄い。要するに、凄い勢いで生き死に、多様化を繰り返すことで、たとえ一種類が殺されても全体は難なく生き延びることが出来るような、生存戦略になっているのです。凄まじい勢いで変化していること、これがウィルスを倒せない一つの理由です。

次に、風邪は放っておいてもすぐに治ってしまう為に、それを治療する為の薬は、それよりも速効で、しかも安価に治せなければ需要が無いんですよね。放っておいても7日もすれば完全に治ってしまう風邪は、それだけ治療薬を作るのも難しいようです。しかも副作用は許されません。

なるほど確かに……。もっと言えば、放っておけば勝手に治ってしまうものだからこそ、胡散臭い本当に効くのかわからない薬とか、健康法、健康食材なんかが巷に溢れかえっているんですよね。本書によれば病気に効く○○なんていうのは大抵誇大広告です。ビタミンやハーブで免疫力があがるなんて、ほとんどありません(笑)

そういうエセ健康食品でも、薬でも、とってもとらなくても勝手に治るので、エセでもとって、治った場合は「薬のおかげだ!」と思ってしまうんでしょう。また本書でも重要視されているプラシーボ効果というのもあります。ようするに、それが絶対に効くんだと信じていると、本当に効果があるんですね。

だからみんな好き勝手に自分の信じる治療法を選択するのは、そうそう悪いことでもなさそうです。たとえば、温かいスープを飲むとかして。ただ何事もやりすぎはよくないという話ですね。ちなみに本書で紹介されている、治療法は一度で効果があり、副作用もなく効果も風邪の期間が丸々一日減るという奇跡の治療法があります。

それは、「愛情に満ちた看病、または共感」だそうです。まあ、ほんとかどうかはわからないですけど(笑)害もありませんし、いいんじゃないでしょうか。他にも本書には風邪にかかった時に飲むべき薬や、対処法が巻末に付録としてまとめられていて、これだけでも家に置いておく価値があると思いました。

いまのところ、おそらく作家のロバート・ベンチリーの助言に耳を貸すのが賢明なようだ。「風邪をひいたと思ったら、いい医者を呼ぶことだ」。さらに良さそうなのが、「いい医者を三人呼びつけてブリッジするといい」(p.208)

かぜの科学―もっとも身近な病の生態

かぜの科学―もっとも身近な病の生態