基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ゲームにすればうまくいく―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク

著者の深田浩嗣さんは前著『ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足』がめっぽう面白かったのでこの『ゲームにすればうまくいく─<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク』も読んでみた。そもそも前著はゲーミフィケーションとはタイトルに入っているものの、とってつけたような感が否めず、ほとんどソーシャルゲームの分析になっていたので、著者的にはリベンジといった意味合いも強いのではないだろうか。
ゲーミフィケーションとは簡単に言ってしまえば「ゲームの仕組みにすればみんな自発的にやる気出してくれてビジネスもうまくいくよ!」ということです。僕は今個人的にゲーミフィケーションについて、結構な興味を持っています。というのもこれから先「モチベーション3.0」が人を動かすモチベーションになっていくと思われるのだけど、その時に人を動かす具体的な方法論がこのゲーミフィケーションなんじゃないかなあと思っているからですね。

『モチベーション3.0』なる本が一時期話題になって、今でも度々話にあがるけど、この本によると人間のモチベーション1.0は生存を満たすための欲求。空腹とかね。モチベーション2.0は報酬が上がればモチベーションもあがるというアメとムチ。でも現代はモチベーション3.0の社会になっていて、3.0とは「学びたい、創造したい、世界をよくしたい」というようなモチベーションなのだそうです。

そこでゲーミフィケーションという仕組みは、このモチベーション3.0に対応する一番わかりやすい形だなあと僕は思っていて、なかなか面白いところです。実際ゲーミフィケーションの仕組みはアメリカなどでは活発的に行われていて、数々の成功事例が『幸福な未来はゲームが創る』などで紹介されています。たとえば本書(ゲーミフィケーションの方)で仮想的な例としてあげられているたこやき屋でもゲーミフィケーションっていう概念が生かせる、ようにみえる。

本書で例としてあげられているのは、スタンプカードを配る⇒でもめんどくさいし、いっぱいそういうのがあっても無駄だしみんなやらない⇒店にボードを用意して、名前を書いてもらって、来店するたびに★をつけてもらうようにしたらいいんじゃないか⇒来店回数が他のお客さんにも可視化され、自然に競争が生まれ、売る側としてもお客さんの名前と顔が一致してくる。良いことづくめ

みたいな感じ。もちろんこれは一例で実際にあった話ではないだろうし、そうそううまくはいかないだろうけれどゲーミフィケーションの仕組みがここで少し垣間みれる。余談だけど本書ではゲーミフィケーションを「ビジネスにゲームの要素を入れていくためのプロセス」として9つに分解しているけれど、一般的なゲーミフィケーションはビジネスを良くする為だけのものではないので、これは本書のオリジナルな発想であることには注意。

9つのブロックとは何か。最初に可視化(来店数が誰でもわかるようになる)、次に目標(来店回数○○回を目指して○○をもらおう!)、3つめに「オンボーディング」。4つめに世界観、5つめにソーシャル、6つめにチューニング、7つめに上級者向け、8つめにゴール、9つめにおもてなしです。めんどくさいので一つ一つをここで解説したりはしませんが、本書ではそれぞれに具体的な事例を用いて説明を加えてくれるのでものすっごいわかりやすいです。

この9つのブロックをみて思うのは、ソーシャルゲームが顧客を誘い込む仕掛けとほとんど同じものを使っているな、ということ。前著『ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足』を読んで「ゲーミフィケーションはおまけ程度じゃん」と思った僕は、そういう意味では読みが足りなかったんだな。ソーシャルゲームの仕組みが、そのままビジネスへの応用に繋がっているのだから。

ゲームにすればうまくいく―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク

ゲームにすればうまくいく―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク