基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

押井守監督最新作『ちまみれマイ・らぶ』

原作・監督押井守。キャラクターデザイン・左。脚本は山邑圭という方。この方、脚本家をやられているようですがあまり聞かない名前ですね。

iPadなどのデジタルアプリとして出ておりまして、一話ごとに250円払って買っていくタイプのお話になります。現在二話まで公開中で、何らかの大きなお話が提示されるというわけでもなく、とりま今のところ行き当たりばったりに物語が進行している形です。いつ終わるのか、全何話なのか、まったく検討もつかない。

あらすじとしては、献血マニアの高校生である<俺>が美少女吸血鬼と出会い、家にかくまい(ギャルゲーのお約束として、親は家にいない)、美少女吸血鬼に食料源である血を供給するために周囲の献血マニアから血を集めようとする……というのが今のところお話の流れになっております。やたらと美少女吸血鬼の表情が豊かで、キャラクタの振れ幅が大きいのが魅力的。

いちおう触れ込みとしては「電子出版時代の「マンガ」の新様式を世界に問う! 押井守がマンガからコマ割りの概念を取り払った新たな表現を模索! 新たな「様式」に挑む野心作!」とありますが、下に四角いスペースがあって、そこに台詞と地の文が出てきて、上の画面でキャラクタや絵がアニメ的演出で動くという、「マンガでもなんでもねえし、それただのギャルゲー(ノベルゲー)だし」というものになっております。

百歩譲って一回文字が進行するたびに何らかの演出が一回入り、簡易な立ち絵をほぼ用いない演出は素晴らしいものですが、それも現在においては『魔法使いの夜』以後であることを忘れてはなりますまい。正直言って新様式でもなんでもなければ、マンガでもなく名前を変えたただののノベルゲーだとするのならば、これは残念であります。

ストーリーは今のところ完全に特異な事情を持った美少女が一人暮らしの男のところに潜り込み男はそれをなんとかしようとする──という定型的なギャルゲーラインをなぞっておりますがこれが今後どうなっていくのかはまったくの謎。

ちなみに「何がコミック・アニメーションじゃい」というところに文句をつけているだけであって内容はすげえですね。絵が綺麗で演出のインパクトは強いです。一話ごとにかかっている労力を想像するとすごいなあと。ただお話の流れとしては、まだまだこれからですかねえ。