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基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

The New Digital Age: Reshaping the Future of People, Nations and Business

洋書

『The New Digital Age: Reshaping the Future of People, Nations and Business』 以下 The New Digital Ageは、えーと……Googleの会長? chirmanって日本語だとなんていうのが正しいのかよくわからないが、まあchirmanであるエリック・シュミットによって書かれた一冊。タイトルからわかるように、これから来る、というよりかは既に到来しているテクノロジーがこれから先未来をどのように変えていくのかを、かなり楽観的に語った一冊である。

こうした本を読むと、Googleのトップにもなるともはや考えのベースは国家とそう遜色ないな、と思う。国際関係や国際紛争、政治的な圧力や人類の未来のことを、まったくもって「自分の責任として」引き受けているように思える。まあ、大抵の小国より影響力という意味では勝っているだろうから、そうした視座もまったく違和感がないのだけど、こういう人の存在時代が新世代だよなあと思う次第。

そしてこの未来観ときたら、壮大で楽しい。そうか、Googleのトップはこんなこと考えているのか、といろいろ考えながら読める。貧乏な国の、貧乏な子どもたちであっても将来はネットとタブレットの普及によって、無料の教材がネットにはありふれており、それで勉強をすることもでき、誰もが教育にアクセスできるようになる。

人生はもっとよくなるだろう。文化と知能はより豊かになって、誰か他の人と情報を簡単にシェアすることができる。医療はもっと進歩し、より健康に、より長生きすることが可能になる。またパーソナライゼーションによって、誰もが自分好みにカスタマイズされた、自分にマッチした、自分の好みにあった情報に囲まれて生きていくことができるといっていて、パーソナライゼーションをそんな無条件で肯定しちゃうのかー、まあGoogleのトップだしなーと話半分に聴いておいたほうがいいことも多い。

未来のアメリカ都市生活者はこんな朝を送るだろうというイメージもすごい。
朝、センサーはあなたの睡眠リズムをはかって、起こしてくれる。言えは電子機器のオーケストラ状態であなたは識者、手首をちょっと動かして、発生で情報を与えてやれば温度や湿度、音楽に光の調節を行うことができる。カレンダーは登録されている日程から今日が大事なミーティングの行われる日であることを知っており、自動化されたクローゼットはそのとっておきの日にふさわしいスーツを既に用意している。

セントラルコンピュータ・システムは本日の雑用仕事をリスト化し、ハウスキーピングロボットが今日行うべきものについて承認を出すだけでいい。今日のニュースやメールから読みたいものを選別し、あとはホログラフタブレットがあなたの前でそのニュースを表示してくれる。自分が必要とするデータはすべてクラウド上にあがっており、どんなデバイスから、どんな場所でもそこにアクセスすることができる。

会議はバーチャルリアリティスペースでおこなわれ、ホログラフのアバターをつかってやりとりをする。常に自動翻訳が走っており、言語間をほぼ完璧に、即座に翻訳してくれる。キッチンに移動するときに、タンスの角に足の指をぶつけて──痛い思いをしてもすぐにモバイルデバイスで診断アプリを開けばいい。デバイスに入っているマイクロチップが、自分の身体をスキャンしてあなたの指がただの打撲症であり折れてはいないことを教えてくれる。

そしてデバイスが提案してくる近くの医者のオフィスを断ればいい。そのすぐ後に家を出て車に乗れば、これもまた運転する必要はない。車は自動操縦で行きたいところにつれていってくれる。クラウド情報に接続し、あなたの予定を読み取って、どんな時間にどこに行く必用があるのかをきっちり把握しているからだ。

さて、ちょっとお休みしようかというところだがデバイスが甥の誕生日が近いことを知らせてくる。プレゼントのアイディアをシステムに提案させ、デバイスは匿名の、同じ年頃の子供が買いそうな情報の集合を提出する。もしそれが気に入らなければ、別のものを検索して買えばいい。それはすぐに相手のところに届けることができる。

胸焼けがしそうなテクノロジー描写の連続だが、でもこうした発想がなければGoogleGlassなんてアイディアがそもそも出てこないし、出てきたとしても実現しようと思わないだろう。上記みたいな「未来の生活」を僕が言っていたら「頭のハッピーな人だね」で終わってしまうが、エリック・シュミットが言っていると「こいつ……マジで実現するつもりだ……」と戦慄することになる。

もちろん、すべてがすべて上記のように楽観的な未来観をつづっていくわけではない。プライバシーの問題があるし、自由と規制の問題もある。ネットは国によって容易く検閲されたりする。Googleは中国と悶着があったから、その辺についてはかなり過敏だ。ネットへの攻撃も、今後実際の戦争と同じように組織化され、大規模化していくだろう。未来のテクノロジーは決して成功が確約しているわけではない(当たり前だが)。

We cannot eliminate inequality or abuse of power, but through technological inclusion we can help transfer power into the hands of individual people and trust that they will take it from there. It won't be easy, but it will be worth it.

ところで、正直僕の英語力が足りていないせいもあるのかもしれないが、本書は同じ内容の繰り返しが多く、「だろう」というだけの退屈な内容だった。未来にどんなすごいテクノロジーがくるのかといったテーマで読むのならば、本書にも名前の出てくるレイ・カーツワイルの未来本を読んだほうがよほど面白いと思う(本書の価値は別にそこにあるわけではないが。)

そして明らかに本書で語られているような未来像はバランスが悪い(パーソナライゼーションがまったくもって素晴らしいことのようにかたられているように。Googleからすりゃ、そりゃいいのかもしれんが)。訳されるかどうかわからないが、本書一冊で未来像をつくってしまうと微妙なことになりそうだ。 今はラニアーのWho Owns The Futureを読んでいるのだけど、こっちがNew Digital Ageへのカウンターパンチのようになっていて読むのならば同時に読むといいと思う。

The New Digital Age: Transforming Nations, Businesses, and Our Lives (Vintage)

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