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基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

An Economist Gets Lunch: New Rules for Everyday Foodies by TylerCowen

洋書

Food is a product of economic supply and demand, so try to figure out where the supplies are fresh, the suppliers are creative, and the demanders are informed.

経済学的に、需要と供給、かかっている「飯」以外のコストが値段に反映してくること(従業員や場所代とかね)をふまえて「安くてうまい飯の探し方」を教えてやる!! という本。主にアメリカ国内でさまざまなエスニック料理(民族料理)をどう味わい尽くすかに焦点があたっているので日本に住み日本食ばかり食べている僕にはあまり縁がない本だが、これがなかなかおもしろかった。

もっとも各国に旅行した時の、食案内もついている。その中でも東京は「値段は高いがちょーうまい。けど新宿は迷路みたいで目的地にたどりつけないし、英語が通じないしで大変だから覚悟していってね」といった感じで「まあ、そうだよなあ」といったところ。もっとその辺の大衆居酒屋にいけばいいのに、と思わないでもないけれど、新宿は僕だって迷う。中央東口と東口が別々にあるなんて信じられない。

いやあしかし読むのがつらい本だった。さまざまな国の料理が美味そうに紹介されるものだから、読むだけでお腹が減ってたまらない。だいたい僕は一日に1.5食(1日2食食べた次の日は1食しか食べない)だったのに、この本を読んでいる間は1日3食になってしまうこともあった。この飢餓感には参った。

しかし世の中には国の数だけどころか、民族の数だけ料理があるのだから、食べつくそうと思っても食べ尽くせるもんでもないよなあと今更ながらに思う。ロシア料理、メキシコ料理、タイ、中国、韓国、日本にベトナムに……と数え上げられるものでもない。日本でも高野秀行さんの『移民の宴』という日本に移民としてやってきた人たちの食事を堪能する企画があったけど、民族料理というのはほんとに多種多様だ。

国によって当然ながら扱う食材がまったく違えば、その調理法も異なる。日本人はいろんなものをたくさん作るが、ロシア人はじっくり時間をかけて一品を作って(ボルシチは作るのに三、四時間かけてその後毎日食べるらしい)、食べる。料理にほとんど関心がない国だと「肉を焼いて、食う!!」だけが正義の場所もあったりしてなんでこんなに食に対する考え方、文化が民族によって変わるんだろうなと不思議に思う。

そして移民の宴ということならばアメリカがいちばんだろう。『移民の宴』は各自がご家庭で作っている民族料理におじゃましちゃおう、といった感じだったけどアメリカでは店が大量にでている。アメリカにある料理でベストな物は、ほぼ移民によってもたされた料理であるといってもいいだろう(大きく出たな。⇒この本に書いてあったことをそのまま書きだしただけだが)。

もちろん現地での味が完全に再現されることは稀だし、何より材料が揃わなかったりするが(たとえば築地から直行便で魚を輸入する店もあるみたいだが、直行便の存在意義が疑われるような行為だ。読んだ時笑ってしまった。)各国の調理法はアメリカ国内で混ざり合い、独自の料理になっている(Sushiとか)。というわけで、なんでも食べられるところがいいところでもある。もちろん、探し方を心得ていればの話だが……。

著者のタイラー・コーエン氏がアメリカ在住なので基本はアメリカで食す民族料理なのは先ほど書いたとおりだが、ここで紹介されているいくつかの手法はアメリカ以外でもつかえる。たとえば大通りに面した人通りの多い場所にかまえている店は、場所代がかかっているからそれが料理代に反映されてしまう。見晴らしの良いところや、従業員の態度がよく、椅子に座るときにわざわざコートをとってくれるような、一流の接客でもてなしてくれるところも同様だ。一流の接客にはそれだけのコストがかかっている。

だからこそ狙い目は家族経営や大通りから離れた、細い道に入っていくようなところにある店だ。余分な人員はいないし、土地代は安い。土地代が安ければ競争が発生し、マイナな料理、調理法でも出店することが可能になってイノベーションが加速する。それから当然だが日本人のような金持ち国家からくると人件費も高く、ハイクラスの人間に向けた高い料理を出すようになるので「どこの国からきているのか」もひとつの判断基準になる。悲惨な言い方だが、貧乏国家からきていれば、それだけ安くてうまい料理が食えるだろう。

うまい飯屋を知るには、人に聞くのが一番だ。知らない土地にいったらタクシードライバーにオススメの店を聞けばいい。知り合いに聞くならば35〜55歳ぐらいの、そこらじゅう動き回っているような良い店を知っていそうな営業マンや消防士に聞くといい。もしうまい飯屋を訪ねて、相手の目が輝かないようだった、さっさと無視して次にいくに限る。

動機から考えるのも重要だ。病院の食事がまずいのは、病院には食事をうまくする動機がないからだ。逆に考えれば、食事をうまくする動機があるところはどこだろうか? たとえばカジノ。最高の中国料理や日本料理をスロットマシーンの「後方に」用意しておけば、中国人や日本人が飯を目当てに集まってくる。ついでにギャンブルもしてくれるというわけだ。

本書で紹介されている例のいくつかは具体的な店の選び方だ。たとえばタイ料理店でヤバイ店を見分けるサインが二つあるという。一つは料理店にデカいバーがくっついている店。一つはsushiを出している店。この二つのサインはその耐料理店が真剣に料理に向き合っていない証拠だ。またドイツの中国料理店は風味に乏しく味のないソースに山ほど肉が投入されていて、つまりほとんど失敗作。これはアメリカでも残念ながら同様で、中国人向けに料理を出している四川のグループ以外は味がよくない。

と、この辺は実際にアメリカにでもいかないとなかなか役に立ちそうもない知識だけれども、いざ旅行にいって、高くてマズイ飯ばかりつかまされてもおもしろくないだろう。安くてうまい飯を得る道には、やはりそれなりの理屈が通っているものだ。需要と供給、それから「うまい飯が出せる動機」を考えていくと、ガイドブックに載らないような、秘境の安くてうまい店が探せる……かもしれない。

An Economist Gets Lunch: New Rules for Everyday Foodies

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移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

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翻訳されたみたいです。危うく買うところだったけど商品説明みててなんか記憶があるなあとおもってたらこの本だった。
エコノミストの昼ごはん――コーエン教授のグルメ経済学

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