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基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

キウイγは時計仕掛け by 森博嗣

森博嗣さんによるGシリーズ最新刊。もう9作目だし、紹介などはしない。今回も結構なおてまえでございました。とても楽しかった。前作よりもまた少し時がとんでいて、この時間の感覚がいいな、と思う。初期の頃からすると当たり前だけどキャラクタが歳をとっている。考え方、受け止め方、対応、行動が変わってくる。昔熱中していたものに今はさほど興味がなくなっていたり、あらたな生活がうまれている。

人間が時間を経ていくことで変化していくのは当たり前のことだ。しかし、そうした一つ一つの変化が愛おしい。シリーズを通して、ずっと読んできたからこその楽しさだろう。ずいぶん馴染み深い世界になったものだ、とGシリーズだけではなく、S&Mシリーズから今までずっと読んできた自分自身の経験もあわせて思う。

なにしろ四季を四冊と数えると36冊? も、この世界に触れてきたことになる。漫画ならそれぐらい続いているものもざらにあるが、毎度部がわかれているとはいえ、小説で36冊というのは相当なものだ。恥ずかしさをおしていえば、もうこの世界が自分にとってもうひとつの現実であるぐらいにたしかに感じられる。

余談。事件ごとの時間を数年単位であける、というのは連続して殺人事件が起こるミステリ作品の理不尽さをある程度緩和させているよなあと思う。もちろん多くの作家はみなその点についてそれぞれ言い訳を用意しているものだけど、やっぱり事件が身の回りで短期間に起こりすぎるのには違和感がある。余談終わり。

『キウイγは時計仕掛け』森博嗣|講談社ノベルス 左記HPにある著者コメントを読むと、次のように書いている。『さて、Gシリーズは残すところあと3作になりました。このあと、また少し時間が飛びます。2014年は、Xシリーズに戻って、2作を発行できたら良いな、と考えています(いずれもまだ書いていないので、大きなことはいえませんし、そもそも、大きいことではありません)。』 この世界もまた終わりに近づいているのだなあと思うと、寂しい気持ちが湧いてくる。

特に加部谷なんかは、奇人変人と能力の高い人間ばかりにフォーカスがあたるこの世界で、その普通さと、自分とは違う人たちへの羨望、そして少しの感覚のズレがここにきてとても鮮明に浮き上がってくる。このキャラクタ、いいなあ……。さあ、次はXシリーズだぞ。本シリーズにかぎらず、森博嗣さんがすべての作品を出し終えた時、きっとそれが「森博嗣」というひとつの作品になるのだろうな、と本作を読んでいてふと考えた(ようするに、毎度タイトルだと思われているものは毎回変更されているペンネームだったのだ)