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基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

インターステラー観た(ネタバレしまくり)

映画 SF

観た。いやー凄かったなあ。もう観終えた後呆然としてこれはいったいなんだったんだろうと考えているうちにあっという間にスタッフロールが終わってしまった。長かった。トイレに行く間もないほどの緊迫感の連続だ。とにかく金額を集める上で通るのが不思議な企画であり、脚本は挑戦的で、マスに届ける必要があるエンターテイメントにもかかわらずわかりにくい要素を大量投入しなおかつそれを映像として表現する、映画として配給できたというだけで快挙だと思う。

しかしまず面白かったか? と聞かれれば、見どころがありすぎる映画だった、と答えるだろう。全体的な出来としては正直、無茶苦茶だと思うところが多すぎてのめり込むわけにはいかなかった。ものすご~くハードに描写している部分があるかと思えば(Science)、めちゃくちゃ適当に流されてしまう部分(Technology)もあり、バランスがちぐはぐだ。また要素を詰め込みすぎて、ウマく結合されていないイメージを受けてしまう。ようするに全体の脚本の整合性、それからくる絵面的な説得力にはどうしても欠ける。一方でワンエピソードごとの描写、演出を切り取ってみれば、はっとするような迫力に満ちていて、盛り上がりもある。

日本語で書かれたレビューをいくつか読んでみたけどだいたい大絶賛だし、その絶賛の内容は僕もほとんど同意するところだ。一方で気になる、微妙だった部分もあり、「そんなところに拘る意味はない」と言われるのも承知で素直に書いておきたい。なんだかわからんがとにかく凄まじかったが、なんだか中盤から終盤にかけてめちゃくちゃだったぞ!? というのが正直な感想だからだ。英語圏のレビューは公開から日が経っていることもあり反対者と擁護者の間で結構荒れていて、その辺のバランスも面白いかったりする※たとえばここの冒頭の部分など、僕があらかじめ宣言しておきたいことである。The Space Review: “Interstellar” versus interplanetary 『And when the film’s dissenters and defenders clash online, you may wish you could flee through the nearest wormhole to another galaxy.』

何がひどかったのか

とにかく宣伝段階ではリアリズムにこだわった映画(特にブラックホールとワームホールについて専門家のKip Thorneを入れている)などとプロデューサーは言っているが、少なくとも僕は首をかしげっぱなしだった。映像的な部分においては科学的な面が取り入れられているのだろうと思うが、それ以外の部分について描写の緻密さを望むものではない。地球から飛び出した後に作戦のことを何も知らずに周囲の人間に聞きまくるアホパイロット、宇宙に飛び出した人間に相対性理論って知ってるかと聞く間抜け。宇宙に飛び出した後にワームホールを得意げに説明する間抜け。ろくに練られていないミッション。まるでTVシリーズの安っぽいスペースオペラのように宇宙と惑星を行き来する超テクノロジーなんか観た時や重力の扱いの雑さにも笑った。根本的な疑問として土星に2年でいけるんだったらそれ、火星まで数週間でいけるけど火星に移住したほうがはやくねーかな? ワームホールに賭けをするよりかは余程現実的だと思うけど。

プロットのぐだぐださはメインプロットが「脱出」と「探検」で分裂していることからきているようにも思える。地球が気候変動とかでやばい! よしじゃあ宇宙に逃げるしか無いな! とこの辺の話はわかりやすい「脱出・移転」そして帰還の行きて帰りし物語だ。よくわからなくなってくるのが「ワームホールがあるからそこで別の宇宙にいって住めそうな惑星探査してるよ」「いくつか候補があるけど具体的なことが何にもわかんないよ」「だから行って確かめてきてね」となったあたりで、疑問が沸きまくるのだが説明されないか、説明されてもよくわからないまま進んでしまう。「なんで信号がきてるのに映像とか具体的な情報が何もそいつらから送られてこないの? そういう仕組がないの?」「なんで行ったっきり回収班がいかないと戻ってこれない方法でやらせたの?」

何が面白かったのか

まあそれはいい。ツッコミをひとまずおけば、この惑星めぐりツアーは映像的には見どころの一つだ。ものすげーデカイ津波が定期的に襲ってくる惑星なんか、ブラックホールがめちゃくちゃ近くにあるからという一応の裏付けがあるから特殊事例として面白かったし、一面氷の星も、雲が凍っているなど見ていて楽しかった。こうした一連の冒険シークエンスはなかなかぎょっとさせられたが、そもそもなんであんなわけのわからない状況(居住可能性があるかないかを送るビーコンしか信号が届かない)に置かれなきゃいけないのかってことがさっぱりわからんのですげー、惑星探索たのしーとは思いつつもこの惑星めぐりツアー、ほんとにいるのか? とずっと考える羽目になった。

でもこれは「探検」の要素を入れたかったのだろうと思う。かつて存在していた科学的な開拓精神、アメリカが月にいった、というスピリットが忘れられてしまった世界で、今こそ思い出させてやるのだという力強い宣言だ。実際、冒頭のシークエンスで誰もが開拓精神を忘れてしまったエピソードの一つとして、学校では誰もが「実際にアメリカが月にいった事実なんてない」と考えて、それを教育し、主人公の父親が怒る場面が挿入される。今だってダーウィニズムを教えない学校があるぐらいだから全然ウソっぽく見えないし、主人公は今は農業をやっているが、実際はパイロットでありエンジニアだ。科学的な精神を否定することはできない。

だが「探検」の要素を入れたばっかりに、「地球外に逃げなければ」という最初に提示されている問題部分との齟齬が発生しているのではなかろうか。地球がヤバイだけならさっきも言ったように火星に行けばいい。それかもしくはせっかく存在しているワームホールを使うにしても、無人探査機を送ればいいのだ。なぜ馬鹿正直にいろいろと理由をつけて有人探査をさせて、しかもそいつらは映像も何も送れず、単なる「Yes or No」みたいなデータしか送れないんだ? それ人間が行く意味がまったくないじゃん。といったら、「主人公に探検させたかったんだもん!」という事情からきてるんだろう。わかるし、そのパートは面白いのは確かなのだが、そのせいでめちゃくちゃだよ。

映像的な意味では、ワームホール、ブラックホールの描写は良かった。もう「これがワームホールでございます」「これがブラックホールでございます」といったかんじで一目でヤバイとわかる映像になっている。ワームホールに突っ込んだら、どうなる? とかブラックホールに突っ込んだら、どうなる? という、言葉で提示されただけじゃあまったく想像がつかない領域のことを実際に映像にしているわけで、そのあたりの力技はとても楽しかったな。ワームホールはあれ、ドラえもんの四次元空間を参考にしましたか? みたいな感じだったけど。

そしてもちろん最後の「五次元空間」の演出も──まあよかった。まあよかったと微妙に濁すような形になったのは、ああいう明らかにぶっ飛んで普通の人が理解を拒みそうなもの、時間も空間も超越している存在になった人間を「描こう」「演出しよう」としたことそれ自体を評価しているのであって、映像自体はなんだかアホっぽいなと思ったからだ。だがさすがに娘との姿は見せないものの時計の針の運動だけで交流するところはグッと来たというか、あの辺前後から最後まで泣きっぱなしだった(泣きっぱなしなのにこんなに文句を書くのか)。ウラシマ効果なんかもあそこまで縦横無尽に取り込むのは凄いよなあほんとに。

またその時代の科学を礼賛するのではなく、「未解明の物を解明していくことこそが科学なんだ」という具体例として幽霊、愛といった部分を持ってくるのがウマかったですね。最初はどちらも単なる眉唾ものだったのに、後半にいたってその理屈が明らかにされたり、理屈は明らかにされないものの何らかの効力を考えさせたり。「未知に理屈をつけ続けていく科学というプロセス」そのものを実際の理論などで小難しく示すのではなく、ポルターガイストや愛のようなどちらかといえば身近な現象で説明づけるていくというコンセプト部分は、真に映画が開かれていくような感覚もある。

最初に観終わった後あまりに情報量が多かったか、あるいは上映時間が長かったかで頭痛がとまらなかったが、頭の中をぐるぐるぐるぐると渦巻いている「今自分がみたものはいったいなんだったんだ……」という情報でぶん殴られた感はほとんど味わったことがないような感覚だ。観たこともなければ、それどころか想像しようとしたことすらない「ワームホール」や「ブラックホール」にツッコむ! 時と空間を超越した五次元空間! 見知らぬ惑星! と初体験映像ばかりぶっこまれ、3つの映画に分割したほうがいいようなプロットを強引に一つのテーマでまとめあげて突き抜けたところにあったんだろうとこれを書いていて思った。

観ている間は各場面ごとに引きこまれ、グッと来たし、常に緊張感が持続し、紋切り型の表現になってしまうが、長さも感じない。終わりそうになってきたときに「え!? もう2時間半近く経ったの!?」と驚いたぐらいだ。Technology描写のひどさとか、脚本のちぐはぐさとか、最初に期待していたハードルが高すぎた分がっくりきたのは確かだけど、十分に楽しませてもらいました。

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