基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

適切なおすすめのやり方

自分がすごくすごーく大好きな作品があったとして、そのおすすめのやり方っていうのはけっこう難しい物がある。

そのむずかしさにもいろいろな手段と方法と目的があってそれぞれに難しさがあるものだが、まあ一つおすすめの方法は(方法としておすすめってことじゃなくてね)僕がやっているようにブログやらTwitterやらに、それがどのように素敵で、素晴らしく、生活を一変させる可能性があるのかとか、そういう利点をつらつらと並べ立てて「わぁー素敵ね!」と思ってもらうことだろう。

これのいいところは不特定多数に広く普遍させられる可能性があるところで、同時にそれを読んだ人間も別に自分に個別に訴えかけられているわけではないので「興味があったらまあ」ぐらいの軽いスタイルで受け取ることができる。ただ、熱意をこめてもうまくやらないとなんだか空回りしているようにみえて滑稽だし、だいたいみんな自分に向けられていない文章なんかあんまり真剣に読まないから、不特定多数に向けた文章で人に行動を促すのは大変だ。

もう一つ、今度は逆方向にボールをなげてみると、身近な友人に「きみはこれを楽しむべきだよお」と個別におすすめする方法もあるだろう。ふつうはこっちの方が多いかもしれない。学校や仕事の雑談で、友人同士の会話の中でその人が何を楽しんでいるのかは話題になるものだし、じゃあ君もやってみなさいよという話になったりもする。で、ここからが本題なのだけど、おすすめしている方は既にそれを体験していて、「これはすごい!/すばらしい!」と思っているからこそそれを推しているのだが、おすすめされる側は当然それを体験しておらず、要するに半信半疑な状態でそれを聞いているのだ。あたりまえだけど。

僕が前働いていた場所で、水曜どうでしょうが好きすぎて、仕事が終わって家に帰ったら必ず水曜どうでしょうを流して何かを見る(当然今まで水曜どうでしょうを何周もみている)という人がいて、そのおかげで話し方やツッコミの入れ方、会話のテンポの取り方が完全に大泉洋や番組の藤村Dの生き写しみたいになっていて(いや〜ほんとにやられてるねえ〜〜みたいな)、それもつまらないのならまだしも面白さまで再現している感動的なレベルのファンだったのだ。当然ながら彼は僕に水曜どうでしょうをみなさいよおーといって僕にDVDを押し付けてきて、僕もまあ、そんなに言うなら……と思って義理で見る。

見ると、確かに面白い。確かに面白いのだが、義理で見ているのだ。次会ったら感想を聞かれるだろうからと、面白いながらも休日に嫌々見ている。それで、最終的には10分か20分ぐらいみて、話を適当にあわせるようになってしまった。僕は本もたくさん読むし、ブログも書く。それは毎日非常に楽しい体験だ。その「楽しい時間」を、他者の意向で邪魔されているように感じる。ようは、人間基本的には日々を過ごしているわけである。その日々の生活には当然、予定があってその人特有のリズムがある。お気に入りのテレビ番組があるかもしれないし、ゲームをするのかもしれない。人と会うのかもしれない。「誰かに何かをおすすめするというおことは、そうした普段だったら何かをしていたスケジュールを強制的に変更させることになりえる」

ようは、おすすめをするのならば長い目でみてほしい、というだけのことだけど。その人にはその人の基本的なスケジュールと予定というものがあって、興味範囲の移り変わりというものもあって、いま・そのときに自分がどれだけハマっているものだったとしても、相手がそれを受け入れられる態勢が整っているとは限らない。早く体験してくれとせかしたり、何度も何度もおすすめするしてしまうと、逆に嫌気がさしたりといったことがあるだろう。一度おすすめですよとぽんとボールを相手になげて、それだけでも相手の中ではけっこうじわじわと残るものだ。もちろん最初からおすすめあいをしましょうとか、お互いの好みを把握していて気楽に・おすすめすることそれ自体が日常に組み込まれている場合は問題ないだろうといろんなパターンも存在しているのだけど。

僕も誰かにおすすめするときは(ブログの記事もすべてはそうだ)、「人生のうちのどこかで体験してくれればいい」とすごく長い目で考えている。今日・明日の話ではなく、2年とか10年とか、ある時ふっと受容されるべきタイミングというものがくるものだ。ふっと時間が空いたり、なんとなく趣味の変わり目であったり、たまにはいつもはやらない、たとえば本を読んでみようかなと思うときだったり。意外とそういう時に、過去におすすめされたものがふっと頭のなかに想起されるものだ。

実を言うと僕は今水曜どうでしょうにドはまりしていて、かたっぱしからみているところなのだけど、あの超水曜どうでしょうファンのおすすめから既に3年ほどが経過している。それもふっと思い出したというよりかは、ニコニコ動画に水曜どうでしょうの無料の1話目が上がっていて、そういえばあのおっさんは猛烈に水曜どうでしょうをおすすめしてたなあ……懐かしいなあ……と思ってクリックして見始めたら、そこからドはまりしてしまった。面白くて面白くて仕方がない。今度は僕のしゃべり方と文体が藤村Dや大泉洋さんの影響を受け始めているぐらいだ。

まあ、そういうわけだから、水曜どうでしょう、超おもしろいよ(水曜どうでしょうの話だったのか)。

水曜どうでしょうDVD全集 第1弾 原付ベトナム縦断1800キロ

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