基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ゆりかごから宇宙へ『もしも宇宙に行くのなら──人間の未来のための思考実験』

もしも宇宙に行くのなら――人間の未来のための思考実験作者: 〓島(ぬでしま)次郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2018/10/05メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る人間はもう宇宙に行っているが、本書が扱うのはそのもっと先の話。月…

幻のように揺らめき続ける、汚らしくも美しい街──『黄泥街』

黄泥街 (白水Uブックス)作者: 残雪,近藤直子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2018/10/12メディア: 新書この商品を含むブログを見る中国の作家、残雪の第一長篇の復刊版である。最近、SFファン交流会というイベントの、文学を語ろうの回で、牧眞司さんが『…

チェコSFのたどった道筋を振り返る──『チェコSF短編小説集』

SF

チェコSF短編小説集 (平凡社ライブラリー お 26-1)作者: ヤロスラフ・オルシャ・jr.,平野清美出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2018/10/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『チェコSF短編小説集』である。なぜ突然平凡社からSF、それもチェコ…

存在しないものを奪い返す──『兄弟の血』

兄弟の血―熊と踊れII 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: アンデシュルースルンド,ステファントゥンベリ,ヘレンハルメ美穂,鵜田良江出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/09/19メディア: 文庫この商品を含むブログを見る兄弟の血―熊と踊れII 下 (ハヤカワ・…

失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』

本書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一本の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発さ…

何を、どのように書いてきたのか──『筒井康隆、自作を語る』

筒井康隆、自作を語る作者: 筒井康隆,日下三蔵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/09/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る作家・筒井康隆がこれまで自作をどのような考えのもと書いてきたのかをデビュー作から順々に語ってい…

驚きを与えられたい一方で、心地よさを望む──『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで作者:デレク トンプソン発売日: 2018/10/04メディア: 単行本(ソフトカバー)ヒットの設計図なんてあるわけがないだろうと、書名を見た段階では反射的には思ったわけだが、それはそれとして世の中のヒットの…

ロケットエンジンの基礎が概観できる最高の一冊──『宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来』

宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来 (中公新書)作者: 小泉宏之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る中公新書は『小惑星探査機はやぶさ』や『NASA─宇宙開発の60年』など、素晴…

男と女、虚構と事実、過去と未来、微妙でありながら大胆──『両方になる』

両方になる (Shinchosha CREST BOOKS)作者: アリ・スミス,木原善彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『両方になる』はスコットランド生まれのアリ・スミスによる長編七作目になる。邦訳としては2003年に…

10人の人間とライオンと馬に取り憑かれた魔術師──『魔術師ペンリック』

魔術師ペンリック (創元推理文庫)作者: ロイス・マクマスター・ビジョルド,鍛治靖子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/09/28メディア: 文庫この商品を含むブログを見るロイス・マクスター・ビジョルドの代表作の一つ、五つの宗教や魔術が存在する世界…

〈水なし洪水〉が押し寄せた人類の終末を描く──『洪水の年』

SF

洪水の年(上)作者: マーガレット・アトウッド,佐藤アヤ子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2018/09/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見る洪水の年(下)作者: マーガレット・アトウッド,佐藤アヤ子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2018/09/22メデ…

植物状態の患者に意識はあるのか『生存する意識──植物状態の患者と対話する』

生存する意識作者: エイドリアン・オーウェン,柴田裕之出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2018/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る植物状態というと、通常は意識が完全にシャットアウトされ、意思疎通をはかることが困難な状態だという理解…