基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

意識と知性を問い続ける、ピーター・ワッツ入門に最適な短篇集──『巨星』

巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)作者: ピーター・ワッツ,緒賀岳志,高島雄哉,嶋田洋一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/03/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るピーター・ワッツは『ブラインドサイト』や『エコープラクシア』とい…

間違いだらけの論文──『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』

生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場作者: リチャード・ハリス,寺町朋子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/03/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る毎年100万件以上の生物医学研究の論文が科学文献に発表されるが、その多くが間違っている─…

未来を見る方法──『WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択』

WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択作者: Tim O'Reilly,山形浩生出版社/メーカー: オライリージャパン発売日: 2019/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見るプログラマからすると頭が上がらない技術書出版社のボス、ティム・オライリーによ…

オリンピック後、移民が急増した東京の姿を描き出す──『東京の子』

SF

東京の子作者: 藤井太洋出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2019/02/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るエンジニア主人公を中心とした、現実から地続きの近未来を舞台の切れ味鋭い国際サスペンスやSFの著作の多い藤井太洋の新作がこの『東京の子…

異世界からの”帰還後に”苦悩を抱き続ける子どもたちを描き出す、ファンタジィ三部作

不思議の国の少女たち (創元推理文庫)作者: ショーニン・マグワイア,原島文世出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/10/31メディア: 文庫この商品を含むブログを見る「不思議の国」や「ナルニア国」のようなファンタジックな世界から”帰還した後”の少年少…

どうして人間はこんなにも多くの本を破壊するのか──『書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで』

書物の破壊の世界史――シュメールの粘土板からデジタル時代まで作者: フェルナンド・バエス,八重樫克彦,八重樫由貴子出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2019/02/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「書物」ではなく「書物の破壊」に注目し、そ…

進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年作者: マットウィルキンソン,Matt Wilkinson,神奈川夏子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る今年読んだノンフィクションの中で最高の一…

『紙の動物園』ケン・リュウによる邦訳最新短篇集──『生まれ変わり』

生まれ変わり (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: ケンリュウ,牧野千穂,古沢嘉通,幹遙子,大谷真弓出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 新書この商品を含むブログを見る『紙の動物園』ケン・リュウによる日本オリジナル編集の短篇集第三弾が…

生まれてきたこと、この本に出会うに至る人生の軌跡、その全てに感謝を捧げるレベルの傑作──《天冥の標》

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るこの天冥の標シリーズが始まる前に僕が小川一水という作家に抱いていた感想は「やるといったらやる…

90を超えてなお新しい作品を生み出し続けた芸術家──『スタン・リー: マーベル・ヒーローを創った男』

スタン・リー: マーベル・ヒーローを創った男作者: ボブバチェラー,Bob Batchelor,高木均出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『アベンジャーズ/エンドゲーム』公開を今か今かと待ちわびている昨今。そん…

騙され、不利益を被らないないために必要な基礎知識──『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』

データは騙る: 改竄・捏造・不正を見抜く統計学作者: ゲアリー・スミス,川添節子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るファクトの価値が高まり続けている昨今だが、そうはいっても何がファクトなのかを見…

文化的な営みは感情に起源を持つ──『進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源』

進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源作者: アントニオ・ダマシオ,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る現代神経科学の巨人アントニオ・ダマシオの最新邦訳である。専門分野である神経…