基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

日本で行われた大量無差別殺人事件、他者を犠牲に生き延びた少女は「悪」なのか──『スワン』

スワン作者: 呉勝浩出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2019/10/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る異常な傑作『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で呉勝浩の名を衝撃と共に知った僕だが(それがどのような衝撃だったかは前書いた記…

天体物理学と宇宙戦争について──『宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス』

宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス 上作者: ニール・ドグラース・タイソン,北川蒼,國方賢出版社/メーカー: 原書房発売日: 2019/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る宇宙の地政学:科学者・軍事・武器ビジネス 下作者: ニール・ドグラー…

特殊な能力者たちが運営する世代宇宙船《ノア》で起こった、〈ひき肉〉殺人事件を解き明かすディストピア・宇宙SF──『果てなき護り』

SF

果てなき護り 上 (創元SF文庫)作者: デイヴィッド・ラミレス,中村仁美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/10/24メディア: 文庫この商品を含むブログを見る果てなき護り 下 (創元SF文庫)作者: デイヴィッド・ラミレス,中村仁美出版社/メーカー: 東京…

ヴァーチャルの比重が増し、リアルが縮小した世界──『神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned?』

神はいつ問われるのか? When Will God be Questioned? (講談社タイガ)作者:森 博嗣発売日: 2019/10/23メディア: 文庫講談社タイガで刊行中の、森博嗣によるWWシリーズの、『それでもデミアンは一人なのか?』に次ぐ第二巻である。書名に巻数表記もないし、…

汚職についての詳細なメカニズムを解き明かしていく一冊──『コラプション:なぜ汚職は起こるのか』

いったいなぜ汚職が起こるのか、と言われても、それが発生する人間心理についてはそう不可思議な点はない。乱用できる権力があり、さらにそれを振りかざすことで利益が手に入るのであれば、そうすることもあるだろう、と容易く想像できてしまう。「やるだろ…

『ギルガメシュ叙事詩』から『叛逆航路』まで、神話、SF、幻想、ファンタジィ中心の最高のブックガイド!──『世界物語大事典』

世界物語大事典作者: ローラミラー,巽孝之,Laura Miller,越前敏弥出版社/メーカー: 三省堂発売日: 2019/10/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『世界物語大事典』はすごい本だ! この世界には様々な本が存在するが、その中でも「僅かなりとも…

能力者たちが跳梁跋扈するアジア都市を舞台にした、世界幻想文学大賞受賞のSFマフィア物──『翡翠城市』

SF

翡翠城市(ひすいじょうし) (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5045)作者: フォンダリー,大谷真弓出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/10/17メディア: 新書この商品を含むブログを見るこの『翡翠城市』は、少ない作品数ながらも軒並み評価の高いフォンダ・リーに…

神話と現実が入り混じったようなやべーやつ──『魔王:奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』

魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男作者: エヴァンラトリフ,Evan Ratliff,竹田円出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/10/17メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『魔王:奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は、合法的なイン…

技術がもたらした価値観の変容が事件へと密接に関わってくるSFミステリ短篇集──『ベーシックインカム』

ベーシックインカム作者: 井上真偽出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見るベーシックインカムと言うと、普通は全国民に一律3万なり10万なりといった一定額を定期的に振り込み続ける、最低給付保障をさす言葉…

BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』

みんなにお金を配ったらー―ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?作者: アニー・ローリー,上原裕美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/10/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見るベーシックインカムという、最低限所得保障の考え…

科学的で現代的な「人を動かす」──『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』

事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学作者: ターリシャーロット,上原直子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/08/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る事実では人の行動は変わらないという。議論をしたときに「これこれこう…

すべての関係性を精算し、孤独に落ち沈んでいく個人主義の極地のような男を描くウエルベック最新作──『セロトニン』

セロトニン作者: ミシェル・ウエルベック,関口涼子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/09/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『セロトニン』は、フランスの代表的作家ミシェル・ウエルベックの2019年に刊行されたばかりの最新作の邦…