基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

週刊文春はなぜスクープを連発することができるのか──『2016年の週刊文春』

2016年の週刊文春作者:柳澤 健発売日: 2020/12/15メディア: Kindle版スクープを連発する日本一の週刊誌「週刊文春」と、その中でも二大編集長である花田紀凱と新谷学を中心に取り上げた文藝春秋闘争記である。僕は特集が気になった月刊文藝春秋を読むぐらい…

東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』

ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ)作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版この『ゲンロン戦記』は、ゲンロンという、SF作家養成や批評家養成スクールを開いたり、批評家や作家や哲学者らの対談イベントを自前のカフェで開いた…

10年代SF傑作選から『サハリン島』まで、多数の傑作SFが刊行されたてんこ盛りな2020年を振り返る

アンソロジーが記憶に残った年 今年を振り返って記憶に残ったのは、やはり10年という区切りの年だったこともあってか優れたアンソロジーが多数刊行されたこと。たとえば、『なめらかな世界と、その敵』の伴名練が編者に入った『2010年代SF傑作選1・2』(大森…

実話怪談×百合SFの『裏世界ピクニック』が各種電子書籍ストアで50%オフ中なのでオススメする

SF

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)作者:宮澤 伊織発売日: 2017/02/28メディア: Kindle版宮澤伊織『裏世界ピクニック』が、アニメ化を記念して先月出たばかりの5巻を除いて電子書籍ストアで半額セール中なのでオススメしておこう。…

意外な形で大気と人間の関係を描き出してみせた化学ノンフィクション──『空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか』

空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか作者:サム・キーン発売日: 2020/12/17メディア: 単行本この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフ…

書評・感想記事の書き方について

なんとなく、一度僕の書評・感想記事の書き方についてまとめておこうかと思った。先日下記のようなブログに関する記事を寄稿したところ、幾人かがこれに触発されてブログを書いてくれたようで、個人的に嬉しかったから、というのが大きい。 blog.hatenablog.…

罪を犯した人間をただ投獄するのは、正しいか──『囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて』

囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて作者:バズ・ドライシンガー発売日: 2020/12/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この『囚われし者たちの国』は、刑事司法教育を教える大学ジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスの女性教…

この10年で最高のロシアSFと言われる傑作終末SF──『サハリン島』

サハリン島作者:エドゥアルド・ヴェルキン発売日: 2020/12/22メディア: 単行本このエドゥアルド・ヴェルキン『サハリン島』は、ロシアのメディアで、この10年で最高のロシアSFと評されているSF長篇である。「この10年で最高」というのは、気軽に使うにはリス…

「最初の患者」たちが果たした役割を正当に評価する──『0番目の患者 逆説の医学史』

0番目の患者 逆説の医学史作者:リュック ペリノ発売日: 2020/12/15メディア: 単行本(ソフトカバー)この『0番目の患者』は、医学においてスポットライトがあたり、病気の名前を冠されることも多い、それを発見したり治した医者の方”ではなく”、その症例をは…

数学を通してミステリの自由に触れる、華文青春本格ミステリの傑作──『文学少女対数学少女』

文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:陸 秋槎発売日: 2020/12/03メディア: Kindle版この『文学少女対数学少女』は前漢時代の中国を舞台にした本格百合ミステリ『元年春之祭』や学園百合ミステリ『雪が白いとき、かつそのときに限り』の陸秋槎に…

サイバーパンクのすべてが内包されているかのような傑作──『サイバーパンク2077』

【PS4】サイバーパンク2077発売日: 2020/12/10メディア: Video Game『サイバーパンク2077』が発売された。もう何年待ったことか。幾度もの延期を繰り返し、ようやくマスターアップしたかと思いきやまさかのそこから再度の延期を繰り返し、と出る前から話題沸…

言語や音楽は、自然界を模倣している──『〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源』

〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源 (ハヤカワ文庫NF)作者:マーク チャンギージー発売日: 2020/12/03メディア: Kindle版この『脳と文明の暗号』はマーク・チャンギージー『ヒトの目、驚異の進化 視覚革命が文明を生んだ』の続編というか、姉妹篇であ…