基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』

絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの作者:アン・ケース,アンガス・ディートン発売日: 2021/01/18メディア: Kindle版アメリカでは今、絶望死が増えている。絶望死とは、アルコールや薬物依存による死亡、自殺の死因をまとめたもので、45歳から54歳の…

現代人必読の仕事論『ブルシット・ジョブ』から基礎研究の重要性を問い直す『「役に立たない」科学が役に立つ』まで色々紹介!(本の雑誌2020年10月号掲載)

まえがき 本の雑誌2020年10月号掲載の原稿を転載します。『ブルシット・ジョブ』に『言語の起源』にと大作目白押し。『「役に立たない」科学が役に立つ』も短い本ながらも現代においては重要な観点を持っている本で短くもずっしりと重い。完全に個人的な趣味…

映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』

映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術作者:スティーヴ・ハルフィッシュ発売日: 2021/01/21メディア: 単行本『映像編集の技法』は映像編集技師であるスティーヴ・ハルフィッシュが、スターウォーズにシビル・ウォーなど大作映画から『ブレイキ…

サイバーパンクとは何か、その本質的特徴を、古典的代表作と現代のゲーム・映画・小説でみていく

文章の元はIGN japanに『サイバーパンク2077』発売直前に寄稿した原稿だが、今はもうゲームも出ているので、それを踏まえた内容に全面的に加筆修正している。【PS4】サイバーパンク2077発売日: 2020/12/10メディア: Video Gameもうすぐ全世界待望のゲーム『…

日本でほぼ未紹介の作家を集めた極上の中国・アメリカSFアンソロジー!──『中国・アメリカ 謎SF』

SF

中国・アメリカ 謎SF発売日: 2021/01/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この『中国・アメリカ 謎SF』は書名からして謎だが、柴田元幸と小島敬太の編訳者二人が、日本でほとんど翻訳されていない作家の作品をそれぞれアメリカと中国から持ちよったSFアン…

「折りたたみ北京」の郝景芳による、AIテーマの短篇集──『人之彼岸』

人之彼岸【ひとのひがん】 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:郝 景芳発売日: 2021/01/21メディア: Kindle版この『人之彼岸』は、「折りたたみ北京」を筆頭に中国のみならず世界で高い評価を受けているSF作家郝景芳(ハオジンファン)のAIテーマを中心に集め…

認知科学の観点から最適な脚本を導き出すための一冊──『脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ』

脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ作者:ポール・ジョセフ・ガリーノ,コニー・シアーズ発売日: 2021/01/26メディア: 単行本先日認知科学の観点からみた、最強の英語の勉強法について書かれた『英語独習法』の記事を書いたばかり…

認知科学の観点からいえる、最強の英語学習法──『英語独習法』

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)作者:今井 むつみ発売日: 2020/12/19メディア: 新書この『英語独習法』は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみによる、認知科学の観点から考えた最強の英語学習について書かれた一冊である。『「わかりやすく教え…

医師と患者のコミュニケーションが、治療においてどれほど重要なのか──『患者の話は医師にどう聞こえるのか――診察室のすれちがいを科学する』

患者の話は医師にどう聞こえるのか――診察室のすれちがいを科学する作者:ダニエル・オーフリ発売日: 2020/11/10メディア: Kindle版病気を患っている時、患者側の知識と、診療する医師の知識量と立場は異なっているのが当然だ。医師は膨大な知識を持っていて、…

分厚いハードカバーばかり持っている人間が家の本の電子書籍化に手を出した経過報告

最近家の本の電子書籍化に着手している。もともと僕は本は大量に買うが、それをいつまでもとっておくのではなく、定期的に売るか捨てるかしていた。理由は単純で、家が狭く、引っ越しが多いからだ。転職も多く、乗り物酔いがひどく、電車に乗っただけで吐き…

正確さと著者の声の間で苦悩する校正者の姿を描き出す一冊──『カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話 』

カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話作者:メアリ ノリス発売日: 2020/12/29メディア: 単行本(ソフトカバー)校正とは、印刷物などの文章が正しいのか(誤字脱字が存在しないか、文法的に正しいのか、事実に反する内容はないかなど(こちらは…

多角的な視点で幻覚剤の効用を考察する『幻覚剤は役に立つのか』やイスラエル諜報機関の全貌を暴く『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』まで色々紹介!(本の雑誌2020年8月号掲載)

まえがき 本の雑誌2020年8月号掲載の原稿を転載します。原稿にも書いたが、今回は大作揃い。特に『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』は上下巻でアホみたいに文字が詰まっていてページ数も多くて読むのがゲロ大変だった。おもしろいからいいんだけどね……。『…