基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャガーになった男/佐藤賢一

どうせ生など夢幻のごとくなり。悔いのないよう精いっぱい生きれば、どんな生きざまも結構至極ぞ。そののちは深山にしばし、神仙と遊ばん。 ──P352 上は最期の一文なのだが、ここまで読み切ったあとに読むと、走馬灯のように寅吉の生きざまがよみがえってき…

死にぞこないの青/乙一

人生はつねに複雑である。 複雑なる人生を簡単にするものは暴力よりほかにあるはずはない。 ──芥川龍之介 私は暴力に対してひとつの武器しか持っていない。 それは暴力だ。 ──サルトル 再読だが、内容を全く覚えていなかったのでほとんど一回目と大差ない。…

戦総のリアル/押井守・岡部いさく

勝てっ!勝てっ!勝てっ! 勝てば全て解決するっ…………! ──カイジ 押井守が好きなので読んだが、正解だったな。対談と銘打ってある物の、実際85パーセントは押井守が語りつづけるという理不尽っぷり。はたして岡部さんは必要だったのか?と首をひねらざるを…

カラマーゾフの兄弟1/ドストエフスキー

光文社文庫版である。本当は一気に五冊分書いた方がいいと思ったのだが読み終わる前に内容を忘れてしまいそうだったので中間報告的な意味をこめて。 読み終わった瞬間にこれを書き始めたのだが、早く二巻を読みたくてたまらない気分である。まさかこんな続き…

発狂した宇宙/フレドリック・ブラウン

SF

フレドリック・ブラウンといえば本書「発狂した宇宙」と「火星人ゴーホーム」の二作品がフレドリック・ブラウンの最高傑作と名高いと解説で筒井康隆が書いている。天の光が入っていないのが個人的には悲しい。確かに言われてみれば、SF性という点からみれば…

レッドサン ブラッククロス〈7〉バーニング・アイランド/佐藤大輔

ついに地獄の蓋は開かれたのだ。恐ろしい、想像するだけで死臭が漂ってきそうな地獄が7巻で、ついに現出していた。そして自分はといえば、そんな悲惨な状況が書かれている本書を読みながら、あまりの面白さに笑い転げていた。傍から見たら気が狂っているとい…

レッドサン ブラッククロス〈6〉―インディアン・ストライク /佐藤大輔

ショッキングなセリフから始まる。 「貴様たちの命の値段は一銭五厘にすぎない」 まるで終わりなき戦い。言っている内容はまるで違うが。インパクトのあるセリフを冒頭に持ってくるというやり方と、戦争ものであるという点が似ているだけだ。本書では多くの…

こころ/夏目漱石

久しぶりに読み返した。基本的に再読というものをしないのだが、こころだけは教科書に載っていた時から何度も読んでいる。最後に読んだのはもうだいぶ前。今の方がよくわかったような気もするが、確証はない。昔読んだときも、わかった!とひらめきはしなか…

レッドサンブラッククロス〈5〉第二戦線崩壊/佐藤大輔

ついについにイタリア軍vs日英同盟の火蓋が斬って落とされた。それにしてもこの巻、機体説明が多すぎる。あと地図も。280ページしかないのに、60ページぐらいは機体説明と地図だったため、実質内容的には220ページ分しか読んでいない事になる。ま…

第六大陸/小川一水

SF

探検は人間の精神の真髄である ──フランク ボーマン このままなら、人類は永遠に階段の下で上を見つめているだけでしょう。 そこで私が真ん中の段を作りました。 ──小川一水「第六大陸」 おまえはカスタードを焼いてくれ。俺はエンジンを燃やす。 ──フランク…

理性の限界/高橋昌一郎

理性の最後の一歩は、理性を超える事物が無限にあるということを認めること ──パスカル『パンセ』 ディスカッション形式で色々な限界について語り合っていく、という形式をとっている。このディスカッション形式というのが、非常にわかりやすい。神様のパズ…

グイン・サーガ② 荒野の戦士/栗本薫

あらすじ 今後、思いだすためにあらすじを簡単に書いていく事にしよう。 なんていう城か忘れたけど、セム族の来襲を受けて壊滅した、城から死の河に飛び込んだグイン一行。そのまま気絶して死ぬかと思いきや、なんとイシュトヴァーンが運よく発見してくれて…

グイン・サーガ① 豹頭の仮面/栗本薫

終わりのないグイン・サーガレースに参加する時が来るとは思わなかったぜ・・・。 大長編グイン・サーガの記念すべき第一巻である。とりあえず一巻としては文句なしの面白さである。問題は、どこまでこのレースを進むことが出来るか。聞いた話によると、途中…

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック

SF

やべ、ひょっとして早くもディックの傑作から読んでしまったか? これを読んだあと、PKディック作品を読んで、まあ面白いけど、電気羊の方が面白いよね、なんていう結果になったりしないだろうか? ていうかPKディックって略すとどうしてもPKサンダーを…

レッドサンブラッククロス〈4〉『作戦グスタフ発動』/佐藤大輔

やっぱ面白いね。表紙は時代錯誤な感じだけれど。作戦グスタフ発動とはいうものの、したのかしてないのか、よくわからん。作戦グスタフを始動させるための行動なら着々と進行しているから、始動といってもいいのかもしれぬ。そのせいかどうかしらんが、作品…

レッドサンブラッククロス〈3〉反撃の旭日旗/佐藤大輔

前巻あまりの読み飛ばしっぷりに愕然としたので、今回は一字一句漏らさぬよう真剣に読んでみた。おお、理解できるじゃないか。やっぱり今までわからんわからんと思っていたのは、単に読み飛ばしていたせいらしい。じっくり読んだ事によって、気づいた事もあ…

レッドサン ブラッククロス〈2〉迫撃の鉄十字/佐藤大輔

「まったく、何て面倒な変わり方だったのかしら。大きくなったり小さくなったり、この先どうなるかなんて、まるで見当なんかつかなかったものね」 ──ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』 「まさかってな思ってるだろ?まさかこの「オレ様」がなって 「妙…

楊令伝 四 雷霆の章/北方謙三

前回楊令伝三を読んだのが8月27日なので、少し間があいたことになる。そのおかげで一歩引いた目線でこの楊令伝を読む事が出来た。今度はむしろ、粗を探してやろうというぐらいの気持ちで読み始めたのだがやはりたった一つのシンプルな事実を再確認するための…

闇の左手/アーシュラ・K・ル・グィン

SF

この人ゲド戦記の人だったとわ。記憶の彼方に吹っ飛んでいったゲド戦記だけれども、面白かったのは覚えている。ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞らしい。だが考えてみるに、最近読んだ海外SFは例外なくヒューゴー賞を受賞していたかネビュラ賞を受賞していた気…

流れよわが涙、と警官は言った/フィリップ・K・ディック

SF

相棒を見つけたような気分だ。すばらしい。この先どれぐらいの時間がかかるかわからないが、いつかフィリップ・K・ディック作品をすべてよむことになるだろう。気に入る事がわかっていたからこそ、今まで読まなかったのかもしれない。神林長平作品がフィリ…

マイナス・ゼロ/広瀬正

SF

っちょ、おまっ面白すぎる。日本版夏への扉とでも言おうか、だが個人的に言わせてもらえば夏への扉よりも、好きである。そりゃ日本人なのだから日本版と海外版があれば日本版の方が好きだろうと言ってしまえばそれまでなのだが。優れた作品はいづれも、ミス…

あなたの人生の物語/テッド・チャン

SF

バビロンの塔 あまりにも各所で絶賛されていたために、最初に、バビロンの塔を読んだとき失望したのは確かだ。どこまでも続く塔を建設していて、てっぺんまで辿り着いたらそれは地上へとつながっていた。世界はつながっている。オチとしてはどうかと思わざる…

レッドサン ブラッククロス〈1〉合衆国侵攻作戦/佐藤大輔

「我等は増上慢極まりない民族なのだ。何か不愉快なことがあればたちまちひねくれてしまう。だからこそ、諸外国から重んじられる政府の登場をひどく望んでいる。そして、それを実現させるためならば、大きな犠牲──莫大な出費を行っても悪くはないと考えてい…

永遠の王/T.H.ホワイト

まだ下巻を読み終わってないからとりあえず半分だけ・・・。下巻読み終わってからまた追記。予備知識としては、アーサー王伝説の大まかな流れを知っているだけ。それもどこで得た知識かよくわからない。 Fate/stay nightで得た知識と、他にどこかで読んだ事…

七回死んだ男/西澤保彦

いや、あっぱれだねこれはぁ!・とりあえず事件のさわりだけでも― ・主人公は設定を説明する ・登場人物たちが一堂に会す ・不穏な空気はさらに高まる ・そして事件は起きる ・やっぱり事件は起きる ・しつこく事件は起きる ・まだまだ事件は起きる ・それで…

天の光はすべて星/フレドリック・ブラウン

SF

私は月まで届くようなロケットを作りたかった。あの時代のドイツでそのような大型ロケットを開発できるのは、軍だけだった。私は宇宙へ人間を飛ばす目的のためならば、悪魔と手を握ってでも働き続けたと思う。 [ウェルナー・フォン・ブラウン] 号泣した。文…

悲しみよ こんにちは/フランソワーズ・サガン

こんにちは感想ふむん、女性作家だったのか。1ページ目にある写真を見た感じでは、少年と区別がつかない。自分だけかもしれないが。女性作家というものに対する偏見が、自分の中に根強くある事を読んでいて意識する。女性作家といえばなんにでも恋愛をから…

変身/カフカ

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。 爆笑である。しかも虫になっている自分を見て一番最初に思う事が、こりゃいったいどうしたことだ、というのはアホとしかいい…

征途 1衰亡の国/佐藤大輔

「諸君は、私が今まで述べた所には、 ──アルフレッド・セイヤー・マハン (合衆国海軍少将 戦略家1840〜1914) 最初読み始めた時からみょうな違和感を感じていたのだが三分の二ほど読み終わった時に、気づいた事がある。 これ読んだことあるやん・・・・。 …

たのしいムーミン一家/トーベ=ヤンソン

ムーミン一家のこの感じ、とても良い。