基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2010-01-01から1年間の記事一覧

華竜の宮

いやあ、これは傑作。いいですね。どこが良かったのかな。まだ読み終わったばっかりで、結構興奮していて、冷静になれていないのでわかりませんが、一つずつ、確かめるようにして良かったところを順を追って考えていきましょう。いきましょうというか、勝手…

ともだち同盟

ライトノベル分野で作品を発表していた森田季節せんせーのハードカバー本。全部の作品を読んだわけではありませんが、今のところ森田季節せんせーの作品の中ではこれが一番好きですね。女の子が可愛いのが森田せんせーの良いところが、短いながらも存分につ…

月に囚われた男

映画。DVDにて視聴。監督はこれがデビュー作のダンカン・ジョーンズ、評判が良かったのと、なにより「月」というモチーフに惹かれて(原題はMoon)みたのですが、これが大変素晴らしい。月と地球というイメージの圧倒的な美しさと、月の象徴ともいえる孤独の…

魚舟・獣舟

SF

タイトルは「うおぶね・けものぶね」と読みます。2009年の日本SF大賞の候補でもあり、結果的に選ばれた伊藤計劃『ハーモニー』とせっていたのが上田早夕里さんによるこの『魚舟・獣舟』だったとか*1 その時の選評が以下の通り。これも飛先生のブログからの転…

さらば脳ブーム

売れに売れまくった(大学に建物が二つも三つも立つぐらい儲かったらしい)、脳を鍛える大人のDSトレーニングというゲームで監修を務めた川島隆太教授の新書です。僕はDSLiteが発売されるちょっと前にDSを買ったのですけれども、その時からこの脳を鍛える〜…

人生の奇跡 J・G・バラード自伝

SF

読んでいて久しぶりに、ああ読書って楽しいなぁ……と思えた作品。J・G・バラードという有名な英国のSF作家が書いた自伝ですが、その内容は物語のように起伏が富み、まるで自分が著者自身になったかのように、一つ一つの物事が同じ目線で感じられて、感動し…

乱と灰色の世界

『群青学舎』などを書いてきた入江亜季せんせーの現在の連載作『乱と灰色の世界』の二巻が発売されました。*漫画です。靴を履くとガキンチョから超美人な大人の女に成長する(幅広いニーズに応えた)魔女っ子が主人公? ついでに家族もみんな魔法使いで、お…

ひどい釣りタイトル!!──『ゲームキャラしか愛せない脳』

タイトルでおっと思った人は買わない方がいいかも(やわらかく言い直した) まったくゲームキャラが本書に関係がないことは、一番下に書いたこの本の目次を見れば一目瞭然なのでまずは目次を見て下さい。タイトルにつられて買ったら、ゲームキャラに言及する…

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか

最近の音楽業界論。音楽業界はどうやってこの先生きのこるのか、ということを主題にした対談集。新書で対談=短い時間の中で適当に文字数を喋る口調で稼いだだけで内容もまとまっていないクソ本という例が多い最近ですけど、一年以上にわたって複数回に分け…

若い小説家に宛てた手紙

今年のノーベル文学賞を受賞した作家が、この『若い小説家に宛てた手紙』を書いたバルガス=リョサ氏なのであります。言うまでもなく僕は「スゲー! ノーベル賞を取った人の本をなんか読んでみたいなー!!」と思って適当にこれを手に取ったわけですが、これ…

機忍兵零牙

いやーもうこれ、個人的には大好き。好きすぎる。機龍警察 - 基本読書の著者による、別シリーズ。あらすじは以下の通り 凡そこの世に非ず、別の世界より来たる者を忍びと云う——数多の次元世界を制する支配者集団と戦い続ける、伝説の忍び。その一人、零牙に…

USTREAMがメディアを変える

USTREAMって知ってますか? 知っていると思いますけどね。端的にいえばインターネットで映像を生で配信できるサービスのことです。最近あった事件だと、USTREAMで自殺を生放送した若者がいる! ということで大変話題になっていました。怖いですね。まあでも…

織田信奈の野望

現在出ている一巻から四巻まで読みました。ライトノベル。タイトルからもわかるように、戦国時代の武将を片っ端から女性化しております。やったことないけど恋姫無双みたいな感じですね。そんなハーレム戦国世界に突如として現れるのが現代のただの戦国ゲー…

村上ソングス

最近、村上春樹翻訳ライブラリーから出たばかりの(07年に一度ハードカバーで出たものの新書版)、村上春樹が「一曲」について語っていくエッセイ。最初に村上春樹による翻訳した歌詞がのり、次に英語が原文で載り、最後にごく短い、その曲の説明と、村上…

その数学が戦略を決める

今まで「経験」だとか「直感」で決められていたことに対して、数学を突きつけ戦略を決める時代が来ているというような内容。その背景にあるのは言うまでもなく年々増加している「データ」の圧倒的蓄積であり、そこから導き出されるパターン分析である。同様…

猫物語 (白)

言わずもがなの西尾維新、大人気な化物語シリーズの最新刊……にして西尾維新に言わせればこれまでの作品をファーストシーズンにすると、この猫物語 (白) はセカンドシーズンという感じだという。これが本当に、思いがけず良かった。今までの物語シリーズを通…

プシスファイラ

いやあ、凄い作品だった。本書『プシスファイラ』は、第10回日本SF新人賞を受賞した、コミュニケーションをテーマにした本格SF小説。著者の天野邊さんは自身のHPを見たところ『革命結社スフィアコミューンの催主であり、革命活動としてDJ、小説や評…

エクソシスト急募

70年代、イタリア半島全体でわずか20人ほどだったエクソシストは、90年代に200人を超え、現在は300人を数える。にもかかわらず、彼らが暮らす教会や修道院には、ひっきりなしに電話が鳴り、全員が寝る暇もないほど大忙しだという。理由は明白だ。エクソシス…

エンタメを創るのも難しいねえ

ネタバレにつき閲覧注意 今日もやられやく 【バレ 閲覧注意】『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』京介まじかよ・・・僕は一巻しか読んでない上にこれから先読むこともないであろうと判断したのでネタバレを見てみたんですが、それでも衝撃の内容でした、え…

宇宙の未解明問題 (ブルーバックス)

読んだ、けど七割ぐらい理解できなかったのでほとんど読んだとは言えない!! 目次 第1章 加速する宇宙 第2章 暗黒物質の正体 第3章 宇宙線の謎 第4章 無限量の不思議 第5章 ヒッグス粒子は存在するか 第6章 量子重力の難題 第7章 ワームホールは存在するか …

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く

おお、こりゃ面白い。なんか売れているみたいです。で、売れている新書って結構自己啓発書みたいな内容というか、誰でもわかるような単純なこと、「がんばれ!」みたいな。のしか書いていないのが多いわけですが、これはそうじゃなくて普通に内容が濃いです…

遺言

岡田斗司夫著。講演で話した全六回の内容を元に、六章として構成しなおされた一冊。内容は、ガイナックス社長にいかにしてなったか──というところから、アニメをいかにして作ってきたか、どのようにしてアニメを作ってきたか、ナディアはこう作った,DAIKONⅢ…

偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活

SF作家の円城塔氏が読書メーターで『素晴らしい。凄まじい。もの凄い。』と怒涛の三連続コメントを残したのがこの『偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活』であり、読んでみたらたしかにこれは凄まじい。凄まじい人です。本書は1983年に一度発刊され…

デジタル時代の著作権

最近著作権っておもしろいな〜〜と思っていたのですが、本書を読んだらさらに面白くなりました。もちろん現状としては、あんまりいい感じではないんですけどね。改変しがいのある分野というか、色々問題が多く変わっていかざるを得ない分野なので、面白いわ…

SARU 上 下

『海獣の子供』で有名な五十嵐大介による、単行本描き下ろし漫画。描き下ろしという形式が珍しかったのと、いつもいつも長い漫画ばかり読んでいるのに疲れてたまにはコンパクトにまとまった良作を読みたいと思って手にとったのが上巻が発売したばかりの3月。…

円城塔先生が読書メーターで褒めてた本を勝手にまとめた

SF作家の円城塔先生が読書メーターで読書記録をつけているのですが、たまに簡単な一言コメントをつけていて(すばらしい、とか圧倒的だ、とか)これが結構な精度で埋もれた良書を見出してくれるので、僕は個人的に大変読書の参考にしておるのです。今回は…

日本の弓術

『喜嶋先生の静かな世界』における各章冒頭の引用文にこの『日本の弓術』が元として使われており、そこから興味深くなって読んで見た。岩波から出た本で、最初に出たのは1936年だと思われる。著者のオイゲン・ヘリゲル氏が、日本の弓術を阿波研造氏に学びに…

喜嶋先生の静かな世界

森博嗣新刊。帯に「自伝的小説」とあったのだけれども、「え?すでに水柿君シリーズっていう自伝小説みたいなものがあるのにまた?」と一瞬目を疑いました。同じものを二回出すような作家とは認識していなかったので。実際、自伝的な要素はかなりあるものの…

リスクに背を向ける日本人 (講談社現代新書)

社会心理学者の山岸俊男氏と、日本社会の研究者メアリー・C・ブリントン氏による「日本とアメリカの比較文化論」とでもいうべき対談本。注意してほしいのは、「アメリカを見習え」というわけではないと何度も訴える様子が本書には出てくる。がしかし、実際問…

仕事道楽―スタジオジブリの現場

これは大変おもしろかった! お風呂で読み始めたら面白すぎて読み終えるまで風呂から出られず。スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫が語るジブリ、というか基本は宮崎駿と高畑勤のエピソード。このエピソードがどれもこれもぶっ飛んでいて良い面白さ。…