基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

私とは何か――「個人」から「分人」へ

小説家の平野啓一郎さんによる「分人」論。誰だって高校の友だちと小学校の頃の友だちとでは接し方が違うように「いろんな人格」が自分の中にいて、そうした複数の人格こそが「自分」なのだというのが「個人」から「分人」への中心となる主張で、「なに当た…

効率的に資格をとる為のたったひとつの冴えたやりかた

資格勉強をしていて最強の資格勉強法を思いついたのでここに書いておこう。それは毎日コツコツと勉強することだ。おどろくべきことに毎日コツコツと勉強しているといずれ資格がとれるのだ。これは完璧な作戦だ、僕は天才だぜ。ただ毎日コツコツやることが死…

街場のアメリカ論

オスプレイの話、基地の話、尖閣問題などが持ち上がるにつれて、こういうものは「その問題単体」では扱いきれぬものであるということが最近ふむふむと実感を伴ってわかってきた。原理的な(そもそも境界線とはなんぞや)話をふまえていなければいけないのはも…

憑物語

100%終焉に向かう小説ですとシールで貼ってあるとてつもなく言い訳がましい西尾維新の最新長編憑物語が出た。いわずとしれた物語シリーズ、掛け合いを主とし怪異奇譚を主軸としたなんとも変てこな小説だが出るに出まくって本作でシリーズ13冊目……。一読者と…

物語の射程についてと神林長平イノベータ論

SF作家である神林長平先生のロングインタビューが掲載された。⇒「若い人」たちの健闘を祈っている〜SF作家・神林長平インタヴュー:WIREDジャパニーズSFスペシャル【1】 « WIRED.jp この記事へのブックマークコメントで僕は「あらためてなんで世界的作家にな…

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

仕事をしている人と、これから仕事をしようと思っている人は読んでいると少なからずいいことがある本だと思う。本書は副題からも分かる通り「2025年の未来の働き方はどうなっているだろう」についての本なのだが、何しろ今の仕事観というのは世代ごとに…

TARI TARI

TARI TARIとは。つい昨日最終回を迎えたTVアニメシリーズ。女の子と男の子あわせて5人をメインにして青春を描く。江ノ島が舞台。前提知識おわり。おもしろかったねん……。アニメなんか滅多にみたいなのに今期はけっこう見てしまった。SAOとTARI TARIとじょし…

読書会について

読書会について書いていきます。長いですが下の方に結論だけまとめたものがあるので読めない場合、読み飛ばしてください。僕は結構読書会をやってきた。大学生のときは先生と協力して読書会の授業を作って、毎週読書会を十何人でやったこともある。ネットで…

脱貧困の経済学

まあ軽く。雨宮処凛さんと飯田泰之さんの対談本。評判がよいのでちくま文庫で最近出たのを読んだのだけど、これがまたおもしろい。雨宮処凛さんが元フリーターで現場を主として活動する人だというのは知っていたのですが、そうした「現場の貧困の声」と「経…

あたらしい書斎

いしたにまさきさんにより2012年9月22日時点での新刊。今度のテーマは書斎か。いま「書斎」に眼をつけるのは慧眼という他ない。このタイトルをみたとき「わあ、そうか書斎か」と思って嬉しくなりましたよ。グローバル化により安いシンプルな労働は海…

ただ消費する消費者が経験と創造を求め始めたのはなぜだろう

今就活している世代の仕事への意識ってどうなんだろうと考えているうちに思ったことをメモ的に書いてます。あとワークシフトという本を読んでいたのだけど、そこで「消費」と同じぐらい「経験」や「創造」が重視されているとあって、でも理由が書かれてなか…

マルドゥック・ヴェロシティ

麻薬中毒に陥り敵と味方の区別がつかなくなった状態で友軍への誤爆という罪を犯す/消えないトラウマ/同時に存在する爆撃のエクスタシーに悩まされる虚無の男=ディムズデイル=ボイルド。どんなものにでも変身できる万能兵器として生み出され、その上意識まで…

JORGE JOESTAR:ノベライズではなく、コラボレーション

JOJO小説家プロジェクトもついに上遠野浩平、西尾維新と続いてこの舞城王太郎で第三弾! 当たり前だが当たり前の、「JOJOですよー」というJOJOを書いてくる舞城王太郎ではなかった! まるでJOJOという世界観内での整合性を踏みにじって蹂躙してそのまま無視…

その未来はどうなの?

いまはわからない世の中なのかもしれない。情報洪水だとか言われるが、とにかくまわりには問題が山積みになっているように聞こえてきて、そのどれもがよくわからない。たとえば尖閣問題がわからない。どうにも人の話を断片的に聞いている限りでは日本の物を…

ハンガー・ゲーム(小説だよ)

最近iPhoneのBOOKWALKERというアプリで電子書籍を適当に落としながら、適当に読んでいるんですけど『ハンガー・ゲーム』はなかなかおもしろかったので感想を書いておきます。僕は基本的に本には線を引きまくる人なので、今のところあまり電子書籍でガッツリ…

光圀伝:史書は人に何を与えてくれるのか?

すごすぎる。元々とんでもない作家だったけれども、もう底が知れない。冗談じゃなく読んでいて手が震えて本を落としそうになったよ……。小説を読んでいてよかったと思うのはこういう時だ。たった一人の才能が創り上げる、奇跡の塊のような作品に触れるとき。…

毒になるテクノロジー iDisorder

『毒になるテクノロジー iDisorder』を読んだ。現代のようなテクノロジーが溢れかえっている状況にあって、危険性を「精度が高く」認識するのは特に重要だろうと思う。ネットの危険性を挙げたものでは『ネット・バカ』とか反対にネットやゲームがもたらした…

ラーメンと愛国

速水健朗さんの近著であるショッピングモールの本が面白かったので、気になっていたこちらも読んでみました。どうもね、「ラーメン」にまずそそられないし、「愛国」なんて言葉は見るのも嫌なのでなんとも微妙なタイトルだなあと思っていたのですが、読み終…

ビッグデータの衝撃――巨大なデータが戦略を決める

ムーアの法則をご存知でしょうか。コンピュータ製造業における歴史的な長期傾向について論じた1つの指標であり、経験則、将来予測である(Wikipediaより)。ムーアさんは1965年に(凄いですね)約2年ごとに集積回路上のトランジスタ数が2倍になるといっ…

ナイトワールド・サイクル:ホラー界のアベンジャーズ

丁度公開中の映画『アベンジャーズ』は一人一人単体で主役をはれるヒーローたちが、一同に介し世界の危機に立ち向かうという燃える話で大盛り上がり中ですが、そんな今だからこそこのナイトワールド・サイクルシリーズを読みたいのだ。僕も元から知っていた…

カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢:ただの義足デザインの本ではなく、人体と人工物の融合を義足を切り口にして扱った良書

プロダクトデザイナーである山中俊治さんの新刊。その名も『カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢』、かつてなかった『義足のデザイン奮闘記』である。意外に思われるかもしれないが、今まで日本には義足をデザインをした人たちはいなかったのだ。いや、…