基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ、この人と話をすると楽になるのか by 吉田尚記

先日みならいディーバというアニメ作品について記事を書いた⇒みならいディーバという奇跡 - 基本読書 この作品の製作総指揮兼演者としても出演しているのがこの吉田尚記さんである。ニッポン放送のアナウンサーでありながらその仕事は(アニメの製作総指揮な…

天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々 by メイソン・カリー

150人以上の人間(たぶん167人だと思うけど正確に数えたわけではない)作曲家や作家、絵描きといったアーティスト系の人間の日課を切り取ってみせた一冊。一人につき1ページから3ページぐらいまででざっくりと日課だけを並べていくので、なんともコンセプチ…

内的な満足の繰り返しが普遍性を産むか

先日こんな記事を書いた⇒みならいディーバという奇跡 - 基本読書 書き終わった後、ふう疲れたと一旦リラックスしてそれを他人が読んだもののように眺めてみたら、なんかこれはけっこうちゃんとした文章だなあと思った。なかなかこの作品についてこれだけ書け…

恋するソマリア by 高野秀行

あの衝撃的な謎の独立国家ソマリランド by 高野秀行 - 基本読書を出してからおよそ2年、高野秀行さんによる続編が出版された。前作は独立国家ソマリランドという「場所」「歴史」「人間」の面白さに相乗効果的に高野秀行さんの視点と行動力、そして文章力の…

暗闇・キッス・それだけで Only the Darkness or Her Kiss by 森博嗣

スマートで面白かった。『ゾラ・一撃・さようなら』という作品と登場人物も時系列的にも連続しているが、どちらから読んでも特に問題はない。個人的にはこっちの方が好きだな。題材的にもキャラクタ的にも惹かれる要素が多い。お話を最初に簡単に説明してお…

みならいディーバという奇跡

この世は常に失敗を怖れない偉大な開拓者たちによって切り開かれてきた。一番乗りの開拓者には、そのリスクと引き換えにあるボーナスが与えられる。後続が洗練され、より優れたことをやる前のことなので、「たとえぐだぐだであっても、クォリティが低くても…

SFマガジンcakes版で「SF BOOK SCOPE」連載開始しました

このブログを書いている冬木糸一です。SFマガジンという月刊雑誌がありまして、それがなんと先月をもって隔月刊化に移行、つまるところ今月はSFマガジンが出ていないわけです。そうか、SFマガジンはじゃあもう奇数月は出ないのだなと思うところですがSFマガ…

イスラーム国の衝撃 (文春新書) by 池内恵

イスラム国関連の書籍をざっと4,5冊読んだが1冊選ぶとしたらこれだな。次点としてロレッタ・ナポリオーニの『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』はイスラム国のメディア戦略とテクノロジー、あとは世界政治の中での立位置にページを割いていてまと…

ドリフトグラス (未来の文学) by サミュエル・R・ディレイニー

SF

ヘビィな短篇集だ。初出は何十年も前のものが多いが、たぶんどれを読んでもその初出の古さに驚くはず。それぐらい鮮明に今の時代にあっても輝いている。表現としてはギリギリまで切り詰められた洗練された、浸かっているだけで心地の良い文体、SFをメタファ…

ロボットの悲しみ コミュニケーションをめぐる人とロボットの生態学 by 岡田美智男,松本光太郎

本書の冒頭は公園でちいさなぬいぐるみ型のロボットを抱いているおばあちゃんの描写からはじまる。おばあちゃんは小さなロボットを抱っこしながら「きれいだねぇ……」「ねぇ、きれい、きれい」などと話しかけながら散歩しているのだ。もちろん現代にはそうし…

人類が知っていることすべての短い歴史(新潮文庫) by ビルブライソン

すべてのと言い切ってしまうのはいくらなんでも誇大広告じゃろうとは思うものの、それはそれとして名著なのに代わりはない。これほどワクワクとした気分で人類が発見してきた科学的な成果を概観し、噛み砕いて教えてくれる本はそうは存在していない。それぐ…

監視機構 (サザーン・リーチ2) by ジェフ・ヴァンダミア

SF

本書『監視機構』は全滅領域 by ジェフ・ヴァンダミア - 基本読書 に続くサザーン・リーチ三部作の第二部になる。シリーズは明確に構成が考えられていることから全滅領域から順番に読んでもらいたいところだが、このシリーズ全体について知りたい場合はこの…

石油の帝国---エクソンモービルとアメリカのスーパーパワー by スティーブ コール

本書『石油の帝国』はアメリカのテキサス州を本拠地とするエネルギー企業であるエクソン・モービルの1990年代から2010年代に至るまでにどのような動きをとってきたのかの著作である。一言で「こういう本です」というのがなかなか難しい本で、俗にいうところ…

翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり by 片岡 義男,鴻巣 友季子

翻訳とは原語があるといってもそれぞれの単語がすべて一対一で対応しているわけではない以上、十人訳せば十通りの訳がぽこんと出てくるものだ。誤訳はあっても正訳はないというところか。しかしだからこそ、揺らぎの世界で第一線を張っている翻訳者の言葉は…

黄金時代 by ミハルアイヴァス

これはまたえらいことをやってのけた小説だなあというのが一読しての第一印象。不定形で流れ続ける事象、その運動それ自体を書き留めたかのような話で──といきなり話をはじめても意味がわからないだろうから、多少の前提情報を共有しておこう。本書『黄金時…

ニッポンの音楽 (講談社現代新書) by 佐々木敦

佐々木敦さんによる1960年代末から現在にまで至る日本のポップミュージックの歴史をおった一冊。歴史をおったっつってもそこには何百何千というアーティストの列があるわけで、すべての動きを追っていったら年表出来事羅列形式でもない限り新書一冊におさめ…

太陽・惑星・天冥の標・鶴田謙二

毎月やっている月ごとまとめを今月もやっていきますよう。2014年の12月はまあいろいろ出ましたなあ。個人的には2014年最大の衝撃の新人作といってもいい『太陽・惑星』を読んだし(出たのは11月の終わりだけど)、巻数を重ねてなおその勢いを失うどころか加…