2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧
この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた作者: ルイスダートネル,Lewis Dartnell,東郷えりか出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/06/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る先週末HONZに文明が一旦崩壊したあと、いかにして文明を…
スクリプトドクターの脚本教室・初級篇作者: 三宅隆太出版社/メーカー: 新書館発売日: 2015/06/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る先日作品世界観についての記事を書いたばかりだが今度は脚本についての話。脚本について…
面白さというのは基本的には主観的なものであり、「何が面白くて」「何が面白く無いのか」と分類するのは脳科学的な研究でもなければ随分難しいことだ。プロット等の構造的な部分については、受け手側の体験から切り離してある程度穴などをチェックできるか…
僕は正直なところ殊能将之さんの作品を一つも読んだことがないし、本書の元になっている「Mercy Snow official homepage」も本書が出る前は存在すら知らなかった。殊能将之作品を読んだ時の思い出話とか、彼の小説本と本書の関連を論じるとか、なんにもない…
僕も書いているHONZというサイトでたいそう話題になっていていてもたってもいられずに買って読んだが、これがまあ滅法面白い。HONZは訳者解説などをサイト上で公開することがよくあるのだけど、この作品は訳者あとがきだけでなく内容の一部紹介を入れている…
新しい衰退の手触り。未来世界を、人体と価値観の変容を、世界が衰退していく様を派手派手しく演出するのではなく、ただそれは当たり前に起こる日常的な出来事の一つであり、特段不思議なことでもなんでもないといった独特な距離感を保ってこの世界は描かれ…
これは凄く良かった。どこかが突出して良い、コンセプトがいいというよりかは全体的に満遍なく良い。スタジオジブリの「熱風」という一般には販売されていない雑誌に連載されていたもので、「鈴木敏夫さんでもわかるように」書かれているので僕の両親(50代半…
今月発売のSFマガジン2015年8月号の海外SFレビューの中で取り上げている一冊だけれども、これは特別取り上げておこうと思う。三部作の一作目で、なかなかおもしろいだけに売上がなくて続きが出ないようだと困るのだ。時を紡ぐ少女 (創元SF文庫)作者: ジェ…
本書『紙の動物園』は中国生まれ、その後アメリカに移住しマイクロソフトに入社しハーヴァードのロースクールにいって卒業後弁護士へ。今はアプリ開発やらコンサルタント業をやりながら小説も書けば翻訳もするというマルチな才能の持ち主ケン・リュウによる…
久々に新書。なんか五年ぐらい前と比べると今の新書はどれも大変うすっぺらくつまらない上に対談本含有率が高くなって(主観的な割合だが)げんなりなのだが、本書もまた対談本である。それでも何故買ったのかといえば対談相手の一人が森博嗣さんだったからだ…
アニメーター見本市だかなんだかだったり、巨神兵東京に現わるの脚本だったり漫画シナリオだったりといろいろなところで名前を目にする機会が多かったのでそんなにご無沙汰だとはまったく思わなかったのだが実は2013年に出たキミトピア以来、出版された作品…
跡継ぎの石と呼ばれるネックレスを持ち、人知れず森の奥で歴史学者と元近衛兵に育てられていたが、19歳になった日にティアリング国から近衛兵の迎えがやってくる。今は亡き先代女王の娘、次期の国を率いる女王として──という冒頭の流れだけを見ると「おいお…
マクドナルドの失敗が告げる「戦後モデル」の終わり(前篇)wedge.ismedia.jp ↑の対談記事がなかなか面白かったので、話題にあがっている本書を読んでみたのだが、なるほどなあという感じ。マクドナルドの経営が悪化しているのは周知の事実だが、それはなぜ…
つい最近戦後のミステリ史を追うことを目的に行われた名編集者へのインタビュー集が刊行されてそっちについても書いたばかりだが、今度は漫画編集者へのインタビュー集だ。僕はそもそも編集者が書いた本や、編集者が受けているインタビューが好きだ。漫画編…
短編連作の安楽椅子探偵物の中でも傑作と名高い作品。安楽椅子探偵物とはいったいどのようなものをさすのかといえば、安楽椅子に座ったまま事件のあらましを聞いて幾つか質問をしただけで理屈をこねくりあげたちまち事件の真相に至ってしまう、つまるところ…
あー面白かった。江口寿史の正直日記 (河出文庫)作者: 江口寿史出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/06/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る書いている人が誰かによらずに僕はけっこう日記が好きだ。読んだ本のことも音楽のことも映画…
不思議な読み味を残す短篇集。ざらざらとしてはいるものの心地よい味が長く残る感じ。冬が終わりかけのロシアのような。解説によれば本書は1998年及び2993年のハヤカワ・ミステリの復刊希望アンケートで二度にわたって票をいちばん集めたらしい。それほどま…
ほとんど改行なく文章が敷き詰められ、状況は常に動き続け人間はカタストロフの渦へと突き落とされていく。本書『泰平ヨンの未来学会議』は泰平ヨンを主人公としたシリーズの三作目にしてはじめての長編(場合によっては中編)にあたるが、ここから読んでも…
本書『歌おう、感電するほどの喜びを!』は新版となってかつて文庫で二分冊されていたものの合本版になる。『タイム・シップ』が上下にわかれいたのを合本版にしたように、出来る限り一冊で売りたい要望があるのは確かだろう。しかしこの本については文庫に…
このような人生論的な本は、自分としてはほぼそのコアの部分について考えを決めていることもあってあまり読むことはない。結局のところ自分の幸せは自分の幸せであって、人が語る人生論をそのまま受け入れられるわけではないから、うまいこと自分に適合しそ…
SFマガジンの文章やらHONZの文章やらを書いていたらすっかり自分のブログが疎かになってしまっていた。毎度毎度1日にあげていたのに大遅刻である。ぼやぼやしているとあっという間に6月も終わってしまう──というわけで2015年5月の基本読書まとめになる。なん…
普段、線をぐりぐりと引きながら本を読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、本書もいつもと同じよう…